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時代を見通す日本の基礎情報

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暴かれた「河野談話」の嘘

暴かれた「河野談話」の嘘

 「テレビでも放映されているから、河野さんも聞いていると思う。(河野さんは)言論の府の最高責任者(衆院議長)を一番長く務められた。桐花大綬章という立派な勲章も受けた。ぜひ、河野さんご本人が責任者としても国会できちっとした話をしてほしい。河野さんが経験したことをきちっと証言してほしい。心からお呼びかけします」

 次世代の党の山田宏暫定幹事長は七月十四日の衆院予算委員会で、河野洋平元官房長官に対し、慰安婦募集の強制性を認めた平成五年の「河野談話」について国会で説明するよう呼びかけた。この日の予算委はNHKで全国中継されており普通の政治家ならばここまで言われたら受けて立つはずだ。

 だが、河野氏がこれに応じる気配は一切ない。山田氏が求める河野氏の参考人招致は自民党が「議長経験者の招致は、犯罪への関与が取り沙汰された場合以外に例がない」として拒否しているが、たとえ自民党が考えを改めても参考人招致には強制力がない。河野氏が「出たくない」と言えばそれまでである。

メディアを選別、自己正当化図る

 河野氏はこのところ、自分の殻に閉じこもりながら都合のいいメディアを選別して取材に応じ、自己正当化を図っている。一方で、厳しい質問や追及が予想される場所は徹底的に避け続けてきた。国会証言だけでなく、産経新聞の取材要請も何度も断っている。
 政府が六月二十日に公表した河野談話の作成過程の検証報告書は、政府が実施した関係省庁や米国立公文書館の文書調査、旧軍関係者や元慰安所経営者からの聞き取り、韓国の元慰安婦支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」の慰安婦証言集の分析などを通じ、こう結論付けている。
 「一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できないというものであった」
 また、報告書は政府が韓国側に対し、「『強制性』に関し、これまでの国内における調査結果もあり、歴史的事実を曲げた結論を出すことはできないと応答した」との記述もある。
 慰安婦問題にかかわる日韓間の協議の報告を受けた当時の事務方トップ、石原信雄官房副長官がこう発言した場面もある。
「慰安婦全体について『強制性』があったとは絶対に言えない」

看過できない強制連行の独断公認

 
ところが河野氏は、平成五年八月四日の河野談話発表時の記者会見で、この政府の共通認識を独断でひっくり返してしまった。記者に「強制連行の事実があったという認識なのか」と問われ、勝手にこう答えたのだ。
「そういう事実があったと。結構です」
 日本が慰安婦を強制連行して性奴隷にしたという「伝説」に、河野氏が「政府公認」というお墨付きを与えた瞬間だった。現在の政府高官はこれについてこう批判する。
 「それまで政府は強制連行は証拠がないという一線を守っていた。それなのに、河野氏の発言で強制連行説が独り歩きすることになった。あの記者会見は完全な失敗だ」
 実際、河野談話には「強制連行」という言葉は一切出てこない。河野氏が故意か不用意にか自身の名前を冠した談話すら踏み外した答弁をしたため、それを現在も韓国などに利用されているのである。
 この経緯について山田氏は、七月十四日の衆院予算委ではこうも指摘している
 「河野さんが勝手に独りで強制連行を認めてしまったという、この点を初めて明らかにしたのがこの検証報告書だ。この問題は、ご本人しか説明できない」
 その通り、なぜこんな発言をしたのかは河野氏自身にしか分かるはずがないが、河野氏はこの肝心な点について黙して語ろうとしない。安倍晋三首相もこう答弁した。
 「この談話を作成してきた政府のチームの認識とはやや異なるという印象を、チームの人たちも持ったようだ。どのような認識で河野氏がそう答えたかは承知していない」
 河野氏はこの核心的な部分については口をつぐむ。それでいて、全く沈黙を守っているかというとそうでもない。

 例えば、政府が検証報告書を公表した翌日の六月二十一日、山口市での公演ではこんな自己弁護を展開している。
 「私は日本を貶めるようなことを言うはずがない。そんなことするはずがない。官房長官として自国を貶めるようなことを言うはずがないじゃないですか。誠心誠意、将来にわたって日韓関係を良くしたい。そうした気持ちで努力した。ぜひ理解してほしい」
 河野談話の欺瞞性が各方面から批判されていることへの悲鳴のようにも聞こえるが、現実に河野氏の言動が原因で、日本は現在に至るまで内外で誹謗中傷を受けている。その結果責任から目をそらし、自分の努力を「理解して」と訴える河野氏に対しては政治家としての幼児性を指摘せざるを得ない。

日韓すり合わせを否定していた河野氏

 百歩譲って、河野談話と記者会見での河野氏の独断による強制連行認定で日韓関係が本当に良くなったのなら、まだ一定の評価は可能だろう。とはいえ実際には、日本の安易な政治的譲歩と事実軽視の姿勢が韓国側の増長を生み、日韓関係をこじらせている。
 こうした経緯は、これまでも繰り返し指摘されてきたことだが、検証報告書によって、誰の目にもより明らかになった。この講演では、河野氏はこうも語っている。
 「あの報告書には足すべきところはない。全く正しい。引くべきことはない。正しい」
 語るに落ちる、とはこのことである。この言葉は、図らずも河野氏がこれまで河野談話について語ってきたことが真っ赤な嘘であることを証明している。
 今回の検証報告書は、河野談話作成過程における日韓間のすり合わせについて次のように記している。
 「文言の調整は、談話発表の前日となる八月三日までの間、外務省と在日本韓国大使館、在韓国日本大使館と韓国外務部との間で集中的に実施され、遅くとも七月三十一日には韓国側から最初のコメントがあった」
 「(韓国側は)具体的発表文を一部修正されることを希望する。そうした点が解決されることなく日本政府が発表を行う場合は、韓国政府としてはポジティブに評価できない旨述べた」
 その結果、産経新聞が今年元日付の記事「河野談話 日韓で『合作』 原案段階からすり合わせ」でスクープした通りの文言修正が行われた。
 すなわち、慰安所の設置に関する軍の関与について、日本側の当初案の「軍当局の意向」が調整を経て「要請」へと変わり、日本側が提示した「心からお詫び申し上げる」との表現に韓国側の求めで「反省の気持ち」が付け加えられるなどしていた。
 だが、河野氏は検証報告書が出るまで、日韓間のすり合わせを明確に否定していたのである。平成九年三月三十一日付朝刊の朝日新聞のインタビュー記事ではこう語っていた。
 「談話の発表は、事前に韓国外務省に通告したかもしれない。その際、趣旨も伝えたかもしれない。しかし、この問題は韓国側とすりあわせをするような性格のものではありません」
 国民に向けて嘘を発信していたことになる。また、河野氏はこれまで、河野談話の主な根拠は平成五年七月二十六日から三十日まで韓国で実施された元慰安婦十六人への聞き取り調査だと述べてきた。同じ記事の中でもこう強調している。
 「政府が聞き取り調査をした元慰安婦たちの中には明らかに本人の意思に反してという人がいるわけです。つまり、甘言によって集められた、あるいは強制によって集められた、あるいは心理的に断れない状況下で集められた、といったものがあったわけです」
 「実際に聞き取り調査の証言を読めば、被害者でなければ語り得ない経験だとわかる。相当な強圧があったという印象が強い」
 その聞き取り調査の中身が、元慰安婦の氏名もまともに記されておらず、慰安所がなかった場所で働いていたとの証言が複数あるなど極めてずさんなものだったことは、これも産経新聞が既報(昨年十月十六日付)の話だ。実際は聞き取り調査報告書を読んでも、河野氏が「被害者でなければ語り得ない経験」と言うような迫真性は感じられない

論争に終止符を求める朝日社説の欺瞞

 しかも、今回の検証報告書は、この聞き取り調査が河野談話の根拠だったという河野氏の主張もあっさり否定している。
 「河野談話との関係については、聞き取り調査が行われる前から追加調査結果もほぼまとまっており、聞き取り調査終了前に既に談話の原案が作成されていた
 河野氏はここでも嘘をつき、国民を騙してきたのである。当時の政府がいくら調査しても、韓国側が盛り込みを求める「強制性」の裏付けが得られなかったので、元慰安婦の経験こそが事実関係を表していると強弁してきたというわけだ。
 その元慰安婦の証言のデタラメさが白日の下にさらされ、河野談話の原案は事前にでき上がっていたという事実が判明した今、河野氏の虚言はもう覆い隠しようがない。河野氏自身が検証報告書は「すべて正しい」と言っているのだからそういうことになる。
 ちなみに、こうした河野氏の嘘を無批判に垂れ流してきた朝日新聞は、検証報告書が公表された翌々日の六月二十二日付の社説「これで論争に終止符を」で、他人事のようにこう書いた。
 「談話の正当性を巡る論争は一区切りにして、歴史家や研究者に任せよう」
 「談話の信頼性や正当性が損なわれたと考えるのは誤りだ」
 「過去をこれ以上、掘り返しても(日韓の)互いの信頼が損なわれるだけだ」
 自分勝手というのかご都合主義というべきなのか、とにかくあきれ果てるしかない。
 これまで河野談話をときに神聖視し、ときに利用して飯のタネとし、慰安婦問題に火をつけ、薪をくべ、うちわで扇いできたのは朝日ではないか。今さら談話のどこに信頼性や正当性があるというのか。
 検証報告書は、慰安婦問題で朝日が果たした役割にも言及している。当時の宮沢喜一首相の訪韓五日前の平成四年一月十一日付朝刊一面トップで、六本もの見出しをつけて朝日が報じた次の記事のことだ。
 「慰安所 軍関与示す資料」「防衛庁図書館に旧日本軍の通達・日誌」「部隊に設置指示」「募集含め統制・監督」「『民間任せ』政府見解揺らぐ」「参謀長名で、次官印も」
 記事本文とは別に「多くは朝鮮人女性」という解説記事もあり、「約八割が朝鮮人女性だったといわれる」「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」「人数は八万とも二十万ともいわれる」と、いずれも事実と異なる根拠不明の説明を加えている。
 ところが、朝日がおどろおどろしく飾り立てた記事が示した文書とは、一言で言うと「悪質な業者には気をつけろ」と軍紀粛正を命じるものだった。この記事に関して検証報告書は一ページ目の「河野談話の作成の経緯」で淡々とこう指摘している。
 「この文書について朝日新聞が報道したことを契機に、韓国国内における対日批判が過熱した」
 検証報告書はことさら朝日を批判してはいないが、河野談話作成のきっかけの一つが朝日の一連の報道だったことは明々白々だ。それを忘れたかのような現在の朝日の姿勢は無責任そのものである

「歴史を直視せよ」ではなかったのか

 検証報告書をまとめた検証チームの一人によると、「報告書ではあえて一切の評価は避けた」という。そうして私見や思想・信条が混じらないようにし、事実をして語らしめる手法をとることでより説得力を増すためだ。
 もともと河野談話に否定的な安倍晋三政権下での検証で下手に評価を加えると、色眼鏡で見られるということも考慮した。
 また、検証チームに資料を提供し、事務作業を手伝う側の外務省からは「なるべく穏便に済ませたい」との雰囲気を感じたという。だが日韓間のすり合わせについて、国民に事実関係を伝えるという安倍首相の強い意向が、日韓関係に波風が立つのを恐れて資料提供に消極的になりがちな外務省の背中を押した。
 案の定、検証結果に韓国側は反発してきたが、外務省内には「韓国だって2005年に日韓基本条約に関する外交文書を一方的に公開したではないか」(アジア大洋州局幹部)という突き放した声も多い。
 外務省内には伝統的な「事なかれ主義外交」の旧弊が今も残るが、常軌を逸した韓国の対日批判にはうんざり感も漂い、韓国に向ける視線は概ね冷めている。その点は一般の国民感情とそう変わらない。
 ところが、そんな中にあっても河野氏はまた都合のいいメディアで今回の検証に難癖をつけ、これに反発した韓国を擁護している。毎日新聞の七月九日付夕刊では性懲りなくこう語っている。
 「明らかに日韓の友好関係が深まることを望んでいないかのように思える人たちがいて、彼らから押されるようにして『談話を検証しろ』という提案が出された」
 「韓国側からすれば、二十年も前に決着した話を蒸し返され『何を今さら』と感じたのでしょう。しかも日本政府は一方的に検証結果を発表した」
 河野氏は自分とは考え方の異なる人々を「日韓の友好関係が深まることを望んでいない」と悪者にして陰謀論を展開することで、自分こそは善であると強調したいようだ。
 さらに、日本政府のやり方を「一方的」と指摘して韓国側の肩を持つが、慰安婦問題を河野談話以後もずっと蒸し返し続けてきたのは韓国の方ではないか。
 韓国はこれまで日本に対し、耳にたこができるほど「歴史を直視しろ」と要求してきた。それならばなぜ、河野談話の作成過程を検証し、それを直視する作業を批判するのか。河野氏はこの検証報告書を「すべて正しい」といったん認めておいて、「何をいまさら」けちをつけているのか。
 河野氏はつまるところ、やってもいないことを認めてわれわれ日本国民の父祖の名誉を傷つけても、韓国にいい顔をして見せたかっただけではないか。
 自分は率直に日本の非を認められる勇気ある善人だと内外にアピールし、自分でもそう信じ込みたいがために、河野談話の成り立ちについて国民に嘘をつき、その実態を糊塗してきたのだ。一人の「いい子」ぶった幼児的な政治家のために、われわれが被った損害は計り知れない。
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