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出版社の秋田書店(東京)で雑誌の読者プレゼントの当選者数水増しが発覚、消費者庁が「景品表示法違反(有利誤認)にあたる」として再発防止を求める措置命令を出す異例の事態になった。読者への背信ともいえる行為に「許せない!」と「懸賞女王」の異名を持つ売れっ子ライターが怒りをあらわにさせた。
問題があったのは、2010年5月から12年4月に発売した女性向け漫画雑誌「ミステリーボニータ」「プリンセス」「プリンセスGOLD」。雑誌に付いたアンケートはがきを送ると、抽選で家電製品や雑貨が当たるとしていたが、実際の発送人数は記載した当選者数より少なく、1人も発送しないこともあった。
同社は消費者庁の調査に「企業提供だった懸賞品が不景気で減り、アンケートに大勢答えてもらおうと始めた」と答えたが、読者にとっては詐欺のような話。
ありえない不祥事に、懸賞ライターの「ガバちゃん」こと長場(ながば)典子さんも「絶対にやっちゃいけないこと」と苦言を呈する。
生涯当選実績3000万円以上を誇る懸賞の達人である長場さんは、「私のように懸賞を楽しみにしている読者もたくさんいる。(不正によって)そうした読者の期待を裏切ることになる」と指摘。ただ、不正に手を染めざるを得なかった背景に業界の苦しい裏事情があるという。
「各出版社は、長引く出版不況で、懸賞に出されるプレゼントを確保しにくくなっている。これまで提供してきたスポンサーさんがどんどん渋チンになってきていると聞いた。それでも懸賞を期待する読者はいるわけで出版社側も大変なんでしょう」(長場さん)
それでも、ダメなものはダメ。長場さんは「苦しい台所事情の中で誠実にやっている所もある。一部の不正が明るみに出て全体がそういう目で見られるようになると業界にとってもマイナスだ」とくぎを刺していた。