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幹部自衛官を養成する防衛大学校での、ある女子学生の“中国問題”が防衛省や公安当局の間で関心を集めている。
事の発端は5月12日の参議院決算委員会。みんなの党の和田政宗議員による防衛大学生についての質問だった。和田議員は全寮制である防衛大の女子学生が、大学の外に1人でアパートを借り、そこに不特定多数の人物が出入りしていると指摘。さらにこの学生は所定の手続きを経ず、何度も中国に無断渡航している可能性があると発言したのだ。改めて和田議員が語る。
「防大生は外出の際、制服を着替える必要があるため、県人会や出身高校ごとに複数名でアパートを借りることは慣例としてあります。ただ、彼らの給与が手取りで約8万円であることを考えると1人で借りることは難しいはずです。防大生は実習などの際に基地の管制室にも入れ、戦闘機にも触れることができます。そうした国防上、秘匿性の高い情報が漏洩している懸念を質(ただ)したのです」
この国会質問の後、問題の防大生の“素性”を巡って、様々な情報が駆け巡った。小誌の取材ではこの人物は関西地方出身の20代の現役女子学生で、両親は中国出身。1997年に家族揃って日本に帰化している。
「父親は日本と中国を行き来しており、母親は翻訳家とされています。当該学生には兄が1人いて、実は彼も少年工科学校出身の陸上自衛隊員で、飛行幹部候補生になっている。もちろん帰化者であっても防衛大への門戸は開かれていますが、問題は彼女が借りていたアパートに教官や防大生が頻繁に出入りしていたことです。その部屋で、ハニートラップのような“工作”が行なわれ、彼女を通じて情報が中国側に漏洩していたのではないかとの話が飛び交っていました」(防衛省関係者)
そのため防衛省のみならず、警察庁や防衛大が所在する神奈川県警もこの件を注視していたのだという。
「防衛省側は当該学生に綱紀粛正を呼び掛け、アパートを解約させるなど一定の措置はとったようです。ただ、疑惑は完全に払拭(ふっしょく)されたわけではなく、彼女は将来的に任官させず、民間就職させる方向だと言われています」(同前)
果たしてこれは防衛大を標的にした中国の国家的工作の一端だったのだろうか。