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だが、中国メディアは、こうした報道自体が西側諸国の陰謀であるかのように反論している。
「助けになるより障害」
米紙ニューヨーク・タイムズ傘下の国際紙インターナショナル・ニューヨーク・タイムズは16日、「航空機捜索で中国は助けになるより障害だとみられている」と題する記事を掲載した。記事が問題視したのは、中国の巡視船「海巡01」が4、5の両日、不明機の「ブラックボックス」の可能性がある電子信号を探知したとする出来事だ。この事実は5日、中国国営新華社通信の報道で明らかになった。捜索を主導するデビッド・ジョンストン豪国防相(58)は5日、「(中国側から)報告は受けていない」と述べた。
記事は、中国の巡視船が捜索していた海域は、調整役の豪州当局が設定した捜索区域の外側だったと指摘。新華社が配信した写真で、巡視船の乗組員が使用していた機材が、水深4000メートル超とされる現場海域では役に立たない浅い海域用の水中聴音器だったことも「(中国の)主張の価値に疑念を投げかけた」
さらに、この情報を確認するため英海軍の海洋調査艦が現場に向かったことで、より有力な情報があった海域での捜索に「数日間」加われず、「捜索範囲を狭める機会を犠牲にした」としている。混乱の時期が、ブラックボックスの電波発信寿命とされる水没後約30日の目前だったことも、関係者のいらだちを強めたようだ。記事は、中国の捜索活動自体が「中国政府の決断力と技術力を国内の聴衆に示す絶好の機会だった」として、中国当局のスタンドプレーに厳しい視線を投げかけた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)も16日付の記事で、海巡01が、探知情報を周囲で捜索中の他国の艦船や航空機ではなく、約8000キロも離れた北京に報告していたことを疑問視する「西側の軍高官」の話を伝えている。この記事は、北京のマレーシア大使館へのデモで、乗客の家族が説明に現れた大使を罵倒したり、ひざまずいて謝罪するよう怒鳴ったりするのを、同行した中国の警察官が黙認していた様子を批判的に取り上げた。
中国側のマレーシア当局に対する批判は、3月8日の行方不明直後から続き、今月12日には、5月末の両国の国交樹立40周年を記念するパンダの貸与が延期されたことが報じられた。これに対し、マレーシア側はひたすら隠忍自重のようだ。
マレーシアの英字紙ニュー・ストレーツ・タイムズ(電子版)は17日付社説で、数々の非難にも関わらず「中国は敵に回せない友人だ」と世論に自制を求めた。社説はその理由として、中国が核兵器を保有する軍事大国であることや、最大の貿易相手国としてマレーシア経済の浮沈を左右することを強調し、自国の対応に問題があることも認めた。ただ、こうした不手際も「中国人家族がマレーシア当局を殺人者呼ばわりする口実にはならない。同情は無限ではない」と不快感をにじませた。
「陰謀論」すら展開
一方、中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)は10日、「マレーシア航空機報道、西側メディアは自国の利益のために尽力」とする社説を掲載。「ある西側の在中国大使館が、意図的にメディアに中国人家族の状況を報道するよう仕向けているとの情報がある」と“陰謀論”を展開し、事件を機に中国とマレーシアの関係が悪化すれば「フィリピンと日本が大喜びすることは言を俟(ま)たず、戦略的再均衡に尽力する米国もひそかに喜ぶだろう」と述べた。さらに、西側メディアは家族や世論の不満が中国政府に向かうことを楽しんでいる-などと主張し、自国民や政府に対応改善を求めるそぶりすら見せていない。(国際アナリスト