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中国が防空識別圏の設定を発表してから3日後の26日には、米軍の軍用機「B52戦略爆撃機」2機が、防空識別圏内を事前通告なしで飛行。さらに28日までに、自衛隊機と海上保安庁の航空機が、この空域を中国への通告なしで飛行した。
一方、「新華社通信」は29日、東シナ海上空に設定した防空識別圏に同日午前に進入した米軍機と自衛隊機に対し、中国空軍が戦闘機をスクランブル発進させたと報じている。空軍の報道官が明らかにしたというが、小野寺五典防衛相はその事実を否定しており、中国当局による国内向けアピールである可能性が高そうだ。
「防空識別圏が、自分のクビを絞めることとなってしまっている」と指摘するのは、広東省ブロック紙社会部記者だ。
「当局は、防空識別圏を日米にこれほどあっさりと無視されるとは思っていなかった。まさにメンツ丸つぶれ。中国のネット上では、防空識別圏の設定を支持する声が上がっており、対日強硬論も高まっている。そんな中、日米の航空機の進入を許し、さらに結局何もしなかったというのでは、一気に『弱腰だ』という批判が高まりかねない。当局は、それを一番恐れている。そこで『スクランブル発進を行った』と強調しているのだろう。微博(中国版Twitter)では、自衛隊機が防空識別圏内を飛行したという日本の報道を翻訳した投稿に対し、空軍の探知能力やスクランブル発進技術を疑う書き込みも目立ったが、その後、一斉に削除されたようだ」
国際社会での立場と、国民のナショナリズムとの板挟みとなってしまった中国当局。自業自得ではあるが、国民からの弱腰批判を恐れるあまり、最悪のシナリオになることだけは回避してもらいたい。