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時代を見通す日本の基礎情報

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中国、近く国家破綻か 経済&軍部崩壊状態、中韓連携による日米と全面対立で紛争リスクも

中国、近く国家破綻か 経済&軍部崩壊状態、中韓連携による日米と全面対立で紛争リスクも

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中国、近く国家破綻か 経済&軍部崩壊状態、中韓連携による日米と全面対立で紛争リスクも
「Thinkstock」より

経済の破綻が秒読みともいわれている中国。シャドーバンキングは実質的に破綻し、不動産バブルも崩壊寸前との見解を示す経済学者は多い。周辺各国へ軍事挑発を繰り返す一方、国内では政府への不満が噴出し始めている。共産党内部での権力闘争も泥沼化の様相を呈しており、習近平体制は完全に制御不能へと陥りつつある。7月に上梓された『ヤバイ中国』(徳間書店)は、そんな中国の現状を鋭く分析し、現状と今後の予測を的確にまとめているとして話題になっている。

 今回は、同書の著者である経済評論家の渡邉哲也氏に、

・中国が抱える問題点と今後
・中国経済が破綻した場合に、日本や世界の経済に与える影響
・中国の破綻に巻き込まれないためには、どうするべきか

などについて語ってもらった。

●中国が抱える問題の数々

--まず、本書を執筆されることになった経緯をお聞かせください。

渡邉哲也氏(以下、渡邉) 今までに日本経済はもちろん、ヨーロッパ経済、韓国経済などに関しては執筆していますが、中国政府が発表する各種経済統計などの数値が信用できないので経済分析が難しく、中国関連の執筆はすべてお断りしてきたのです。ところが、明らかに数字ではなくて現象面から中国の限界が見えてきました。それも、非常に厳しい状況になっています。従って、明らかになってきた経済事情から中国を読み解くために本書を執筆いたしました。

--渡邉さんは、中国の現状をどのようにとらえていますか?

渡邉 中国はいくつかの問題を抱えていますが、最大の問題は、いわゆる「一人っ子政策」の弊害によって高齢層の労働者が多くなり、経済にとってマイナスとなる構造「人口オーナス(負荷)」という状況に今年、変わっています。

 若い労働者は賃金が安いため、若者が多い社会は経済発展しやすいのです。しかし高齢者が多くなってくると、逆に賃金が上がり社会の負担が大きくなるので、国際競争力が落ちていきます。人口オーナス化自体も問題ですが、中国は年金社会福祉制度がほとんどない状態で人口オーナス化してしまったことが、経済に大きな影を落としています。本来、若い人が多いうちに社会保障制度を充実させなければ、高齢者が増えたときに社会が負担を支えられなくなります。すでに中国向けの介護ビジネスの話が出てきていますが、急速な勢いで高齢化が進んでいます。これが今後の発展を阻む最大の要因です。

次に、環境限界が挙げられます。PM2.5(微小粒子状物質)が大きな問題となっていますが、ほかにも、北京郊外70キロまでゴビ砂漠が迫ってきている状態で、黄砂の影響も深刻になっています。北京で空が見えるのは、年間数日という状況になっており、このような状況下で首都として機能するのか不透明です。中国が工業で発展するためには今まで以上の環境破壊を進めていかなければいけないのですが、環境破壊をすると人が住めなくなるという状況にあり、限界に達しているといえます。

 もう一つ、不動産バブルがあります。中国の不動産価格は、東京よりも高い地域が多数あります。住宅ローンを組む際、一般的には年収の4~5倍くらいが支払いの限界といわれていますが、中国の地価は現在、国民の平均年収の約20倍という状況です。また、家賃の利回りが2%前後まで落ちていますが、平均的なローン金利が8~10%ですので、仮にお金を借りて不動産に投資すると、逆ざやになる状況なのです。1980年代後半の日本のバブル絶頂期よりもひどい状況です。つまり、不動産の価格が上がる要素がないのです。そのような状況で、昨年5月、米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリングという量的緩和の縮小を示唆したことに合わせて、アメリカのお金が一気に中国から抜け出しました。これを機に昨年7月、世界最大の銀行であり、中国四大銀行の一つである中国工商銀行が高利回り金融商品の金利を、08年9月のリーマン・ショック前夜のリーマンの水準まで引き上げ、デフォルト(債務不履行)は目前に迫りました。中央銀行が融資して一時的にはしのぎましたが、経済にとってお金は血液と同じで、血液の流れが滞ると弱いところから壊死していきます。つまりバブルが崩壊していくのです。

 崩壊の前兆として今年1月、シャドーバンキングが実質的に破綻し、また債券市場も破綻を認めざるを得ない状況になりました。中国は完全な自由主義ではないので、政府がコントロールして破綻を今まで回避してきましたが、いまや政府が抱えきれない規模の状態になっているのです。このシャドーバンキングの規模に関しては、正確な数字はわかりませんが、500~600兆円という巨額に及ぶといわれています。

 また、中国の不動産システムでは、地方政府がデベロッパーをやっています。共産主義ですから、基本的に政府が土地の所有権を持っているので、これを地方政府がいわゆる特別会社に土地の所有権を渡して、それを利用してサブプライムローンとよく似た構造の簿外債務をつくります。これがシャドーバンキングなのです。この債務がほぼすべて焦げ付きそうだといわれています。不動産価格が下落したり分譲に失敗すると、その借金は全部地方政府に行きます。地方政府の借金は、600~700兆円と推測されています。そのすべてが全部不良債権になるわけではないですが、現在抱えている不良債権額もまったくわからないというのが中国の現状なのです。
共産党内部の権力闘争

--そんな状況から、中国は今後どのようになると考えていますか?

渡邉 発展が限界に達し、今まで右上がりで成長を続けていましたが、今度は壊れ始めるわけです。壊れた時に、中国人たちが何をするかということを考えなければいけません。おそらく国民の不満は政府に向かうでしょう。そのような現象は、どこの国にも共通しています。

 中国は共産党独裁体制の下で個人主義が蔓延しており、中国の要人たちは自分の資産をほとんど海外に持ち出しています。先日、党内序列第9位の周永康が粛正されましたが、周永康と彼の親族・関係者だけで1兆6000億円という不正蓄財をしていたと報道されました。ほかにも同じように莫大な資産を持っている人物は多く、アメリカに持ち出された資産は100兆円近いともいわれています。彼らは、妻や子供が妊娠すると、アメリカやカナダで出産させます。出生地主義の両国で出産すれば、子供自身はその国の国籍が得られ、親族はグリーンカード(外国人永住権)が得られます。そのような環境を整えた上で、中国にある自分たちの資産をアメリカに持っていってしまう。このような状況で、国内に資金が滞留しないのです。本来国が資金を投入すべき国土や学校への資金が流れないばかりか、国富が貯まらずに国外へ逃げていく構造になっているのです。

 一党独裁とはいえ、共産党も大きく政治派閥を分けると、北京と上海の2つのグループがあります。政治的イデオロギーや政治思想的に見て、真右と真左の政権の連立政権ですから、この間に調和が取れるわけはなく、敵の敵は味方であるという構造体で、お互いに合致して江沢民派を叩いていましたが、江沢民が亡くなれば、北京と上海の強烈な争いが表面化することになるでしょう。さらに、そこに7つの分閥があり、それらをコントロールできなくなる可能性が高いといわれています。習近平体制の暴走よりも、分閥の暴走に気をつけなければなりません。中国の軍機が、米軍機や日本の自衛隊機に異常接近、などと連日報道されていますが、この根底には中国の軍閥の暴走があると考えられています。つまり、習近平には力が不足しており、抑えきれなくなっているからだといわれています。

 そのような状況下の中国が、もしアメリカや日本との関係がこれ以上悪化した場合、バブル崩壊も一気に進むことになるでしょうし、欧米資本は一気に中国から引き揚げる可能性があります。同時に経済制裁が加えられるような事態になれば、今の中国の体制は崩壊する可能性が高いでしょう。
日本経済や世界経済への影響

--中国経済が崩壊目前ということで、密接した場所にある日本や世界経済には、どのような影響があるでしょうか?

渡邉 例えば、中国の債務は人民元建てです。借金額は大きいのですが、海外からは借りていません。人民元だけなので、中国政府は貨幣を刷って埋めることはできます。ところが、当然、刷れば刷るほどインフレーションが進んでしまいます。現在、人口オーナスや国際競争力の低下によって賃金を上げられない状況になっていますから、急激にインフレを引き起こせば、スタグフレーションなど国民生活が苦しくなる現象が発生するでしょう。

 ただ、これが海外にどのように波及するかというと、一部投資商品やファンドなどに影響が出ることはあっても、著しい影響が出るということはないと考えられます。アメリカなどは中国からかなり資本逃避をしていますし、中国は世界の金融の一部にはまだなりきれていません。ローカルカレンシー(現地通貨)、オリジナルマーケットですから、その中で経済が破綻しても、リーマンのような影響が出ることはないでしょう。どちらかというと、中国の崩壊はジワジワ真綿で首を絞められるような展開が考えられます。ただし、それがかなりの速度で訪れる可能性があります。経済的な影響よりも、経済破綻によって軍部・軍閥、政治が不安定化しますから、政府がそれをどのように抑え込めるかが大きな焦点になるだろうと思います。

--経済の破綻により、対外的軍事行動が増えるようなこともあり得るでしょうか?

渡邉 それはあり得ます。最もやってはいけない政治の手法ですが、内政の不満を外政に向かわせることは、多くの国の政府がよくやる方法で、1993~2003年に国家主席であった江沢民が一貫して取り続けた反日政策もそうであったといわれています。国内の不満を日本にぶつけさせることで目をそらせ、国威発揚に持っていく可能性はないとはいえないです。

--今後、中国の動向を見守る上で、特に注視するべきポイントはありますか?

渡邉 すでに銀行の取り付け騒ぎが起きていますし、シャドーバンキングも実質的に破綻しています。不動産の下落も継続し、バブルははじけているので、経済的にはすでにあらゆる現象が破綻を物語っています。日本にとって一番のリスクは、在日中国人ではないかと思います。帰るべき国が崩壊し、国からの仕送りも途絶えたらどうなるのか、想像すると怖いです。
--中国に工場を持つ外国企業の多くは、他国に引き揚げている状況ですが、中国と取引をしている企業はまだかなりあります。そのような企業が、中国の経済破綻に巻き込まれないためのポイントはありますか?

渡邉 かつてチャイナプラスワン、中国とは別の国や地域にも工場をつくるという動きが強まっていました。最悪、中国の生産拠点を捨てても生き残れるような体制、ワールドサプライチェーンに組み替えているのです。つまり、中国の影響度を低下させています。今、中国の経済に大きく依存している企業は、早々に撤退することはできないでしょうが、少なくとも拡大をしないようにリスクマネジメントすることが重要です。最悪な事態が起きた場合、そこの部分だけを切り捨てることができるような状況にしておくのが望ましいです。

--最後に、中国経済以外で注目されていることは何かありますか?

渡邉 アジア全域で一番ハイリスクだと思われているのが、タイです。タイも中国同様に中進国の罠にはまっていて、今は国王が非常に強い指導力と人気で統治していますが、この国王が亡くなられた後、クーデターを抑えきれなくなるという非常に高いリスクがあると懸念されています。11年に起きたタイの大水害以降、日本企業の撤退が相次いでいます。その後、タイへの投資はすべて他国へ切り替えている状況で、タイ発の通貨危機が起きかねない状況にあり、現時点で非常に危険だと思います。

 あとは、韓国も経済状況はかなり悪い中で、中国とアメリカを両天秤にかけているといえます。この点に関して、アメリカ側がかなり憤慨しています。安全保障においても韓国抜きでいいのではないかと言いだしています。従って、安全保障で大陸の橋頭堡である韓国が日米の敵に回る可能性もあり、早急に対応を進めなくてはいけないという状況なのです。

 これに対する一つの回答が、北朝鮮との国交回復、ロシアとの安全保障関係樹立となるのですが、ロシアに関しては本来9月にプーチン大統領が来日し、安全保障に関する条約等が結ばれる予定でしたが、クリミア問題で白紙化しています。北朝鮮に関しても、拉致問題が解決すれば国交回復に進む可能性は高いといえます。例えば、韓国が中国と安全保障条約や軍事同盟などを結び、日本やアメリカに敵対することになった場合、北朝鮮と国交を回復させれば両側から韓国を挟み込み、日本海全域の安全性を守れるのです。世界中の紛争リスクが上がっている中で、今までと環境が違うという認識のもと、とり得るさまざまな施策を準備しておくべき立場に、今の日本は置かれていると思います。



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