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メコン川やタンルウィン川、ブラマプトラ川のみならず、黄河や揚子江などアジアの大河の多くはチベット高原に源を発している。1949年に中国共産党が独立国家だったチベットを侵略した理由はその豊富な地下資源の確保だったとされるが、もうひとつの狙いは水資源だった。チベット独立の動きに神経を尖らせ、過酷な弾圧を繰り返しているのも、いったん手中にした水資源を手放したくないのだと考えれば納得がいく。
そして日本の水源地にも中国資本の触手が伸びている。林野庁が統計データをとり始めた2006年以降、外資による日本国内の森林買収は8道県68件、801haに上る。中国資本の買収件数が最も多く、目的は資産保有、住宅用地、別荘分譲などさまざまだが、地元自治体の多くが本当の狙いは森林の水資源ではないかといぶかっている。
自民党を中心とした国会議員の間からも、水源地をはじめ国家の安全保障上重要と思われる地域の土地売買には規制をかけようという声が上がるなど、水に餓えた中国の動きに警戒感が広がっている。
中国共産党が政権を奪取した当時、中国にはダムが大小合わせて22しかなかった。それが今では8万5000を超えている。世界中のダムを合わせたよりも多い数だ。そのうち、高さ15m以上、貯水量300万立方メートル超の大規模なものが5万以上ある。
それでも水不足に喘ぐ中国は、今後10年間で6350億ドル(約63兆円)の水関連投資を行なうと発表している。その多くが国際河川の上流のダム建設などに使われるのは間違いない。水資源を巡る周辺国との紛争はさらに増えるだろう。