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時代を見通す日本の基礎情報

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崩壊の危機 中国 習政権 強圧政治 第二の文化大革命前夜

1月24日、中国の新疆ウイグル自治区トクス県でむごい「射殺事件」が起きた。政府当局の発表では、爆発事件の捜査をしていた公安警察が爆発物を投げつけられ、警官1人が軽傷を負った。それに対し、警官隊は6人の「暴徒」を射殺し、さらに6人のウイグル人を拘束した。そして警官らに追いつめられて、別の6人のウイグル人が自爆して死亡したという。

 要は、警官1人が軽傷を負った程度の爆発事件で12人のウイグル人が命を失うこととなった。これはどう考えても、圧倒的な武力を持つ当局による、度が過ぎた虐殺ではなかったのか。

 このような虐殺が起こった背景には、同月初旬に習近平国家主席が行った「内部講話」があった。1月23日付の香港紙明報によると、習主席は講話の中で、今の自治区トップが推進してきた「柔性治疆」(柔軟に新疆を統治する)の政治路線から「鉄腕治疆」(強硬路線)への転換を指示したという。それが事実なら、前述の虐殺事件は、まさに習主席の指示が貫徹される中で起こるべくして起きたものだ。

 実は少数民族問題への対応だけでなく、国内のあらゆる反対勢力に対し、習政権は容赦のない厳しい弾圧を加えている。たとえば先月26日に懲役4年の実刑判決を受けた新公民運動活動家の許志永氏の場合、政権転覆の意思などはまったくなく、単に「公民としての権利」を求めただけである。穏健派といわれる彼までが弾圧の対象となったことは、習政権が行う弾圧の峻烈(しゅんれつ)さを物語っている。まさに毛沢東の「文革」をほうふつさせる「粛清運動」がいま展開されているのだ。

 胡錦濤政権時代には、「協調社会の建設」のスローガンの下で、反対勢力を取り締まる際には、対立の拡大を避けて弾圧を必要最小限にとどめるバランス感覚が一応あったと思う。だが、今の習政権となると、「協調」よりも「対決」が基本的姿勢となって、無鉄砲な強硬一辺倒路線がまかり通っている。

 それは逆に、共産党政権自身の首を絞めることとなろう。ウイグル人に対する乱暴な虐殺は彼らの政府当局に対する憎しみを増幅させ、抵抗運動のいっそうの激化に火を付けてしまう。

 民間の人権運動などへのむやみな弾圧は結局、心のある知識人全員を敵に回してしまい、穏健な改革を望む人々までを激しい反体制派へ変えていくこととなろう。

 習主席のやっていることは結果的に、政権にとっての敵を増やしていくばかりだ。前述の許氏の場合も、今は穏健派である彼が4年後に出獄したとき、「過激な革命派」となっている可能性は大であろう。

 つまり習主席の強硬一辺倒路線はむしろ、反対勢力のよりいっそうの拡大と、政権と民衆との対立の先鋭化をもたらす結果となるが、その行き着くところはすなわち「革命」の発生である。

 歴史的に見ても、政権末期になると、権力者が余裕を失ってむやみな強硬路線に傾倒していくことがよくある。一方では、権力者の強硬一辺倒路線が逆に反乱と革命の機運を作り出し、政権の崩壊を早めるのも歴史の常である。

 強硬路線で猪突(ちょとつ)猛進中の習主席はすでにこのような出口のない袋小路に突入しているように見える。

 心配なのは、対日外交においても同じ強硬一辺倒路線を突き進める習政権が、国内の混乱と反乱を力ずくで抑えきれなくなったときに、国民の目を外に向かわせるため、矛先を日本に向けてくることだ。安倍政権に対する中国の全面対決の姿勢はその前兆であるかもしれない。習政権の暴発を防ぐためには、日本はこれからあらゆる備えを固めていくべきだ。

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