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時代を見通す日本の基礎情報

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幼稚、暗愚、無神経…USJ騒動で判明 大学生は“嫌になるほど低レベル”

神戸大(神戸市)の文学部2年の男子学生(19)がテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市)で迷惑行為を繰り返した問題は、同志社大(京都市)や関西外国大(大阪府枚方市)の学生らも加担したことが発覚し、世間を騒がせた。一連の行為が発覚したきっかけは、いずれもインターネット上での“悪さ自慢”だった。ネットでの「炎上」がリアルに飛び火した格好で、ネットでのウケ狙いのために現実世界で蛮行に走ったともみてとれる。最高学府のそれも有名大学の学生がやることとは思えない行動だが、学生たちの無軌道ぶりはネットにあふれている。
「アトラクションで手首折った」

 「乗り物から乗り出したら柱にあたって手首を折った」「アトラクションが運休した」-。今年3月、ネット上のサイトに骨折した手首を撮影したレントゲン写真とともにこんな文言が掲載された。

 このアトラクションはUSJに新設されたばかりで人気だっただけに、ネットユーザーが「非常識だ」「乗るのを楽しみにしている客もいるのに」などと猛反発。この投稿は別のサイトへと転載され、瞬く間に「炎上」する騒ぎとなった。

 ほかの投稿などに実名や大学名を書いていたため、ユーザーが神戸大文学部2年の男子学生と特定し、大学側に通報することで問題が発覚した。しかし、問題はこれだけでは終わらず、芋づる式に学生の行為が明らかになった。
その後の調査で、男子学生は入学前の平成24年3月から、今年3月までに友人らとたびたびUSJに入園。大型ボートのアトラクションなどの乗車時に安全バーをゆるめて身を乗り出したり、裸になって立ち上がったりした。

 さらに、ジェットコースターに10数人で乗り込み、上半身裸で腕組みをしている様子も撮影。また、2人乗りのボートをわざと傾けて転覆させた。少なくとも7回に渡って迷惑行為を繰り返したという。

 USJは学生の保護者に連絡したほか、「迷惑行為をしない」という宣誓書を書かせたが、効果は全くなかったという。

 さらに、問題が発覚するきっかけとなった「アトラクションでけがをした」という書き込みが虚偽であることも判明した。USJ側は安全管理を徹底しているとし、「ジェットコースターからどれほど身を乗り出しても柱にはぶつからないよう設計している」と主張した。実際は、サッカーで負傷した傷であることが発覚した。

 問題の学生はネットの書き込みや虚偽の投稿に対して「人と違うことがしたかった」などと説明しているという。

次々と明らかになる迷惑行為

 さらにその後の調査で、同志社大の学生も迷惑行為に加担していたことが発覚。同志社大の学生は、ボートが水路を進むアトラクションの途中でボートから岸に飛び移り、再びボートに乗り込んでいた

この影響で、安全確認のためアトラクションは約30分間運休した。多くの乗客が迷惑をこうむった形だが、学生らはその様子を短文投稿サイト「ツイッター」に投稿し、「偉業」などと自慢するような書き込みもしていたという。

 また、関西外国語大の学生も迷惑行為を行っていたことが、大学側の調査で判明した。いずれもネット上での投稿が原因で迷惑行為が発覚したという。

 「運行中のイタズラはほかのお客さんがけがをする可能性もあり、絶対にやめてほしい」。ある遊園地の関係者はこう前置きし、「どの遊園地にもマナーが悪かったり、アトラクションの運行中に悪ふざけをするお客さんはいるが、これほど悪質なのは記憶にない」と、驚きとともに厳しい口調で語った。

 また、「誕生日などの特別な日に遠方からわざわざ来てくれるお客さんもいる」とし、「運行が休止になったことで、大切な思い出が台無しになったかもしれない。学生のしたことは悪ふざけでは済まない」と語気を強めた。

炎上する学生たち

 大学生が不適切な言動をネット上に書き込んだり投稿したりしたことで、批判が殺到してネットが炎上するケースは後を絶たない。

 今回の学生が所属する神戸大では、平成21年にもネット上の書き込みが原因による炎上騒ぎがあった。4年の男子学生が友人とホームレスを襲撃する映像を自作自演し、仲間内で観賞するために交流サイト「mixi」に掲載したところ、不特定多数に流出して大学に抗議が相次いで学部長が口頭注意する騒動もあった。
22年には首都大学東京の男子学生2人が「ドブスを守る会」を名乗って、街頭で女性に声をかける様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」に無断で投稿。大学には非難の電話やメールが殺到し、大学は2人を退学処分にした。

 23年には電車内で口を開けて眠っていた乗客の男性を大学生とみられる女性が無断で撮影し、ツイッター上に画像を載せて「歯がありません」と中傷。別の学生が地下鉄の車内で男性の頭部を撮り、「ヅラ(カツラ)」と揶揄する書き込みをしたこともあった。

 さらに、甲南大(神戸市)では昨年、ラグビー部の男子学生が寺院でアルバイト中に下半身を露出して接客していた画像がネット上に流出。兵庫県警が学生を軽犯罪法違反(身体露出)容疑で書類送検する事態になった。

「自由」の意味わかっているのか

 大学教授や企業の幹部ら有志で構成され、ネットの適正利用の啓発活動を行っている社団法人「インターネットコンテンツ審査監視機構」(I-ROI)の松原卓理事は、「学生はネットの怖さを分かっておらず、自由の意味を拡大解釈している」と指摘する。

 同法人は、青山学院大(東京)や東北福祉大(仙台市)など5大学と連携し、4月から学生のネットマナー向上に取り組む講義を実施している。各大学は著作権や個人情報の適切な保護方法などネット利用に関する講義を年間10~30回行い、学生のネットリテラシーの向上に取り組むという。

松原理事は「ネットに投稿をするのは個人の自由だが、電車内で他人を無断撮影することはプライバシーの侵害にあたるし、明らかに他人を不快にさせる内容を投稿することは非常にマナー違反」と指摘。「親がしっかりと教育をすればこういった問題は防げる」とした上で、「われわれ大人がそういったネットマナーをしっかりと教え、法令遵守を徹底しなければならない」と話している。

 「注目を集めたいという浅い考えと仲間内の悪ノリ感覚で投稿している」と炎上ユーザーの心理を分析するのは、同じく大学生向けのSNS炎上トラブル対策支援を行っている「アキナイスデザイン」(大阪府豊中市)の平野逸平社長。  過去に大阪市内の公立大学で講義を行った際、過去の炎上事例を紹介したが、出席した学生はほとんど知らず、「気軽に使っていたネットでこんな事態になることがあるのか」と驚いた様子だったという。

 平野社長は「書き込みに対するアクセスを増やしたいという安易な考えで投稿し、どんどん内容が過激になった結果、炎上する」と指摘し、「炎上の事例はいくつもあるが、まさか自分がそうなるとは夢にも思っていない。ネットの書き込みは半永久的に残るし、就職にも差し支える可能性がある」とネットに対して甘い認識の学生らに対し、苦言を呈した。

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