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全国の地方議会で、慰安婦問題をめぐり、公的謝罪や国家賠償などにつながる「誠実な対応」を政府に求める意見書や決議の可決が相次いでいる。
意見書などの可決は平成20年3月の兵庫県宝塚市議会をはじめ、今年6月末現在で44議会に上る。21年9月の民主党政権誕生以降、市民団体による働きかけが活発化し、民主や共産だけでなく公明会派も賛成するケースが目立つ。
政権交代後の今年に入ってからでも島根県議会を含め4議会が可決した。各地の意見書は根拠がない慰安婦の強制連行を前提としており、似通った文面が多いのも特徴だ。
「県議会は信じられないことをやらかしたな」
島根県議会の決議を受けて急遽(きゅうきょ)発足した「島根県議会の歴史認識をただす、実行委員会島根県民の会」の代表世話人、石原倫理(ともただ)(56)は、県外の知人からこうあきれられるという。
意見書の撤回を求める石原の懸念は深い。
「韓国に間違ったメッセージを出してしまい、もはや黙っていられない。このままでは他の自治体に広がりかねない。この問題を大きくしているのは日本人自身だ。本当に情けない」
意図しないところで地方自治体が「反日」に利用されたケースもある。慰安婦像がある米カリフォルニア州グレンデール市のホームページ(HP)に、姉妹都市の東大阪市が設置に賛同したかのような記述が掲載された問題だ。
「姉妹都市交流もほとんど途絶えているのになぜうちの名前が出されるのか。まったく理解できない」
東大阪市文化国際課長の米田利加(48)は、怒り混じりに首をかしげた。
HPでは東大阪市を含めた6姉妹都市が碑や記念物の設置に興味を寄せていると表明した、としたうえで、維持のための基金は姉妹都市が賄う-などとありもしない内容が記述されていた。
7月9日に記載を見つけた東大阪市は同月25日、「事実とまったく異なる記載」だとして修正を求める文書を野田義和市長名でグレンデール市に送った。
像設置について東大阪市には何ら事前相談はなく、基金についても了承した経緯は一切ない。そもそも東大阪市は像設置の動きを注意深く追いかけ、外務省に「有効な対抗処置」を求める意見書を送るなど、国内でも関係先に注意を促してきた。
「なぜ抗議しないのか」「何もしないのか」。東大阪市には積極的な対応を求めるメールや電話が相次いだが、本紙が8月2日、「東大阪市がグレンデール市に抗議文」と報じて、流れが大きく変わった
「よく頑張っている」。ほとんどが東大阪市の対応を激励するものになった。6月24日から9月9日までに寄せられた意見は622件。像設置に賛意を示す意見はないといい、米田は「東大阪市の毅然(きぜん)とした対応が支持されている」と話す。
問題は、グレンデール市に抗議文を送ってから2カ月が経過したものの、未だに返答や具体的な動きはなく、なしのつぶての状態であることだ。いらだちを募らせた市は9月25日、修正を要求する抗議文を再度送った。米田は「姉妹都市提携の解消も選択肢の一つとして慎重に考えている」と、“次のステップ”を見据える。
慰安婦問題におけるウソを指摘し続けてきた東京基督教大学教授の西岡力(57)は警告する。
「悪意を持って日本の名誉を傷つけようとする政治勢力が国内外にある中で、地方議会や自治体は、反日勢力に利用される危険性が高いことをよく考えなければならない