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9月30日付の毎日新聞は、「取材のために定期的に組員に食事をおごって話を聞いている」専門誌編集者の「不安げ」とされる声を紹介しているが、長年ヤクザの取材に従事する専門誌記者Aは、呆れ顔でこれを否定する。
「メシの代わりに話しをするなんてのは所詮チンピラ。記事にしたいような、本当に良いネタをくれる親分や幹部クラスは、逆にしつこいくらい我々に奢ろうとするものなんです」
業界内で“山口組広報誌”とも言われている週刊誌の担当記者Bの言葉も同様だ。
「山口組本家の前で幹部の写真を撮っていると警察関係者から『お前らいくら払ってやってるんだ』と聞かれる。『いいえ』というと『じゃぁ、いくら貰ってるんだ』とも言われるが、金銭の授受は一切ない。この商売、ヤクザに舐められたら終わり。貸し借りを作らないのは基本中の基本ですよ」
どうやら、記事とは裏腹に、暴排条例完全施行におののく“ヤワな”ヤクザ誌担当記者はほとんどいないようだ。しかし、水面下でヤクザと出版社の関係を考える上で、重要な問題が起きているとヤクザ誌ライターのCは指摘する。
「’07年、各ヤクザ誌が刑務所行政を批判したことを契機に、各刑務所が囚人によるヤクザ雑誌購入を禁止しました。この前例を元に、今回の条例施行で、ヤクザを扱った記事の検閲、削除が続いています。受刑者がこぞって購入するお得意先の刑務所にこういう対応を取られると各誌にとっては痛恨です。さらに、福岡県ではヤクザを描いたコミックを売り場から撤去するよう当局から要請があった。我々ヤクザ誌記者の取材活動は法に抵触しないとはいえ、販売の現場で締め付けるやり方には違和感を覚えます」