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湖南省臨武県で7月17日、スイカの露天商が城管(都市管理局)に殴られ、即死する事件が発生した。地元城管は「スイカ売りは突然倒れて死んだ」という言い訳をしていたが、微博(中国版ツイッター)で血まみれの死体や城管の身分証などの証拠写真が出回り、現地では抗議デモが起こった(『鳳凰網』)。
路上の秩序維持を担当する城管が、近年、横暴さを増している。全国で露天商や市民への暴行事件が相次ぎ、暴動に繋がるケースも増えているのだ。一方、城管は人員を大幅に増加させており、例えば北京市の場合、’97年には100人前後だったのが、’10年には約1万2000人と100倍もの人員になっているのだ(『毎経智庫』)。
深セン市の不動産会社勤務・岡本宏大さん(仮名・27歳)は話す。
「最近、城管が立派な腕時計をしていたり、勤務中に車に座ったままiPadで遊んでいるヤツもいる。キャバクラで豪遊している城管に出くわしたこともある。彼らの月収はせいぜい5万円のはずなのに、不思議ですよね」
個人だけでなく組織も羽振りがいい。陝西省延安市の城管局が30階建ての豪華な“自社ビル”を建設。さらに同局長には約720万円の高級車が支給されていたことがわかった。地方政府の予算では到底、賄えるわけもなく、ネット上では、「小市民から巻き上げた罰金と賄賂の賜物」との批判に晒されている(『江南晩報』6月7日付)。
広東省仏山市の自営業・林田岳男さん(仮名・35歳)は、彼らの商売繁盛の要因をこう指摘する。
「中国全土で都市化が進み、地方都市の路上にも『商業活動禁止』が広がって、城管の“漁場”も増えている。しかし、彼らがいくら罰金を徴収し、そのお金がどこへ行ったかは、本当のところは誰も知りません。最近、販促でビラ配りをしたとき、城管への届け出が必要だったのですが、数千円の手数料を要求してきた。習近平の反腐敗政策のせいか、警察が露骨に賄賂を要求することは少なくなった。一方、地方政府単位で独立し、準公務員扱いの城管は関係ないようです」
一方、広州市の日系メーカー勤務・大倉翔平さん(仮名・39歳)は、城管の錬金術について話す。
「日用品が格安で売られている卸売市場があるんですが、一部の店舗では、城管が露天商から没収した商品を仕入れているそうです。商品を仕入れにくるのは主に露天商。再び路上に出回った商品は、また城管によって没収され、払い下げされて市場にまた戻ってくる。まさに無限増殖です(笑)」
暴力や不正蓄財など、ヤクザ顔負けの行為を政府が放置するのはなぜか。中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏はこう話す。
「現在、中国で発生する暴動の大半は城管による暴力がきっかけだといわれています。それでも政府が彼らを黙認するのは便利な存在だから。中国のような混沌とした社会では、正義だけでは解決できない問題も多い。半官半民的組織のため、警察と比べ不祥事を起こしたときも政府批判に繋がりにくい。汚れ仕事を任せるのにうってつけなのです」
しかし、必要悪と割り切るには巨悪すぎる気もするが……。