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ジャマイカなどカリブの14カ国が、奴隷制度による被害の賠償を、英、仏、オランダの3カ国に求めることを決めた。この分野に詳しい英国の法律事務所の支援を受け、3カ国との交渉次第で国際司法裁判所(ICJ)に持ち込むという闘争方針を描く。2世紀以上もさかのぼる「過去」に対する賠償請求は、国際法廷でほとんど例がないとみられる。過去はどこまで裁きの対象になるのだろうか-。
(坂本英彰)
「奴隷制に対する直接的な賠償を」
「人道に対する恐るべき負の遺産はなおカリブ諸国に残っている。国々と人々の発展のため、償いが行われなければならない」
9月、ニューヨークで行われた国連総会一般討論演説で、英連邦の小国セントビンセント・グレナディーンのゴンサルベス首相が訴えた。賠償請求運動の先頭に立つゴンサルベス氏はカリブ共同体の会合で、参加各国にも国連演説で賠償問題を盛り込むよう求めていた。英植民地だった同国やフランス植民地だったハイチなど14カ国は7月、委員会を設置し、賠償問題で統一行動を取っていくことを正式発表した。
カリブ諸国にはアフリカにルーツを持つ人々が多く住む。16世紀から18世紀にかけて盛んに行われた奴隷貿易によるものだ。英国などはアフリカから新大陸側に奴隷を輸出し、新大陸側から農産品を輸入する三角貿易を展開。植民地のプランテーションで奴隷を働かせた。取引した奴隷は英国だけで300万人以上といわれる。
ブレア英首相(当時)は2006年、奴隷貿易廃止200年にあたって「深い悲しみ」を表明。この年、奴隷貿易にかかわった英貴族の末裔(まつえい)がアフリカを訪れ鎖をつないで謝罪した。カリブ諸国が求めるのは言葉ではなく具体的な償いだ。人口約9万人の9割をアフリカ系が占める英連邦の小国アンティグア・バーブーダのスペンサー首相は、「奴隷制による被害に対する直接の救済がなければならない」と主張する。
誰に対し、いくら支払えばいいのか
いまになってカリブ諸国が勢いづく背景には、英政府が6月、ケニアを統治していた1950~60年代の独立運動で弾圧した被害者に1990万ポンド(約30億円)の賠償金支払いを認めたことがある。賠償を勝ち取った英国の法律事務所「リーデイ」を法律顧問に据え、同社の知識や経験で闘争を乗り切ろうとしているのだ。
問題はケニアの事例とは比較にならない時間の隔たりである。誰に対していくらの賠償金を求めるべきなのか。関係者はすでに遠い歴史の中に埋没している。
英紙インディペンデントによると、英政府は1833年、植民地における奴隷制度を廃止した際、約3千人の奴隷所有者に計2千万ポンドの補償金を支払ったという。推計した研究者は当時の国家予算の4割にあたる巨額だとし、受取人のなかにはキャメロン英首相や作家ジョージ・オーウェルの祖先も含まれていたとしている。
カリブ諸国は賠償請求の相手については植民地宗主国と決めているが、その金額は未定。リーデイの担当者はAP通信に、「奴隷制度が今日の社会に与えた影響に基づいて交渉することになる」と説明。奪われた教育や経済発展の機会、健康や栄養面の問題などに基づく被害額を集計しはじめている国もあるという。
欧州だけでなく、イスラム、アフリカ諸国にも
しかし、賠償請求の動きにはさまざまな批判も投げかけられている。欧州の人権団体は政府主導のトップダウン方法に疑問を呈す。カリブ諸国のなかには奴隷的な境遇に置かれたインド系の人々に対する補償を求める声もあり、アフリカ系との確執が高まる恐れがある。さらに奴隷貿易に手を染めていたイスラムやアフリカ諸国にも賠償を求めるべきだとの意見も出て、対欧州宗主国という構図にも疑問が投げかけられた。
法的な問題もある。米紙ニューヨーク・タイムズは、国際法に詳しいケンブリッジ大学のロジャー・オキーフ氏の厳しい見方を伝えた。「賠償は行為が行われたときにそれが国際的に違法であったことに対してのみ生じる。奴隷制や奴隷貿易は帝国主義諸国によって行われていた当時、国際的には違法ではなかった」
オキーフ氏によると、カリブ諸国が国際法で救済されると考えるのは「幻想」に過ぎず、何らの結果ももたらさないだろうという。
憎しみが詰まったパンドラの箱
カリブ諸国による賠償請求が実現すれば、日本でいえば江戸時代にさかのぼることになる。当時の大阪で起きた事件で、被害の救済を求めるようなものだが、これが国際法廷にのぼった場合、さまざまな波紋が投げかけられるだろう。奴隷制に限らず世界各地では民族などの受けた扱いをめぐる過去の糾弾が噴出しているからだ。
多くは歴史を媒介とした現代の闘争といえる。カリブの国々も欧州に対する発言権の強化といった政治的な思惑を持つ。
ブレア氏が「深い悲しみ」を表したのも社会における機運の高まりを受けたものだった。英紙デーリー・テレグラフ電子版には当時、「ローマ人やバイキングに謝ってもらうまで英国人は奴隷貿易で謝罪すべきではない」という読者の声が載った。現代の価値観で見た過去は侵略や残虐行為がありふれている。糾弾の連鎖は憎しみの素材が詰まったパンドラの箱を、開け放つことにもなりかねない。