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□東亜日報(韓国)
■“等距離外交”でバランスを
中国のトップとして初めて、就任後に北朝鮮よりも韓国を先に訪問した習近平国家主席は、日本との歴史認識問題についてリップサービスをした。韓国では評価の一方で、「北東アジア地域での主導権を狙うもの」とする警戒論もある。
5日付の東亜日報は社説で、習主席が訪韓時にソウル大学で講演し、豊臣秀吉軍による“朝鮮半島侵略”(文禄・慶長の役)や、20世紀前半に中韓の人々が共に日本に抵抗したと述べたことに関し、「習主席は韓中が日本と戦った例だけを口にしたが、中国は壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の44年後の丙子胡乱(清による朝鮮半島への侵入制圧)を起こし、北朝鮮を助けるために朝鮮戦争に介入するなど、韓国を煩わせた歴史も明らかにある」と指摘した。
善隣外交の模範を樹立/解放日報(中国)
中国上海市共産党委員会の機関紙・解放日報(電子版)は6日付で、国際問題や朝鮮半島問題の専門家らを集めて開いた座談会をもとに、習近平国家主席の韓国訪問に関する論評を掲載した。
今回、習氏は国家主席就任後、北朝鮮よりも先に韓国を訪問した。中国首脳の外遊は一回で数カ国を巡るのが通例だが、それも破った。専門家も今回の訪韓を「独特な外国訪問」と呼んだ上で、「中韓関係史上、新たな一里塚であり、善隣外交と定義できる。周辺外交に新たなモデルを作った」と称賛した。
政治や社会制度、核心的利益の観点からも中韓には差異が存在する。それにも関わらず、わずか2日間で12項目の協議に署名し、90項目以上の協力事業で最終決定を下した点が、周辺外交の垂範になるという。
専門家らはさらに、習氏がソウルで行った演説に着目し、「習主席は今日の世界、アジア、そして中国の“肖像”をはっきりと描いた」と褒めちぎった。
今回の訪韓で「エネルギーが注入された」中韓関係だが、両国関係の発展にはいまだに「難点」と「挑戦」があるという。専門家が指摘したのは、「北朝鮮の核問題と日本の右傾化という2つの地域の不安定要因をいかに処理するか」という点だ。
同紙は「戦略的角度から今回の訪問を観察すると、北東アジアの戦略的構造にも微妙な変化が発生していることが見いだせる。注目すべきは、習主席の訪韓と同時期に、日本と北朝鮮が微妙なやりとりを展開したことだ」と、1日に北京で開かれた日朝外務省局長級協議に高い関心を示した。
北朝鮮が拉致問題の再調査を行う見返りに、日本は対北独自制裁の部分解除を決定した。同紙は「こうした動向が北東アジアの構造に変化を引き起こさないか、中国は注意深く判定する必要がある」と主張。中韓接近に伴い、北朝鮮の中国離れが加速することへの警戒感がうかがえる。(
中韓の違い浮き彫り/ウォールストリート・ジャーナル・アジア版(米国)
米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は9日付チャイナズワールド欄の論評記事で、中韓首脳会談について「もし中国の最終的な目標が、米国の同盟関係を乱し、アジアでの支配を崩すことならば、韓国は明らかに中国が攻勢に出る場所だ」と指摘した。
中国の習近平国家主席は、「地域のどの指導者よりも韓国の朴槿恵大統領と良好な関係を保ち、すでに5回の首脳会談を行っている」とし、日本の安倍晋三首相を嫌う面でも「共通の関心を持つ」とした。
ただ中韓の良好な関係は「安全保障の重要課題、特に、北朝鮮の核の脅威にどう対処するか」という問題では「すぐに行き詰まる」という。それは、習主席に「(米国主導に代わる)アジア太平洋地域の新たな安全保障の枠組みを追求する上で大きな挑戦を突きつける」としている。
中国は「経済的な魅力にもかかわらず、地域において戦略的パートナーが極めて少ない」。それは「中国の軍事力拡大とその意図が不信感を招いているためで、韓国国民においても同様」だとしている。その根拠に最近の韓国での世論調査を引用し、習主席の印象は極めて良いものの、「66・4%が中国を重大な軍事的脅威」とみなし、「国民の大半は有事の際は米国が守ってくれると考えている」-との結果を紹介した。
中韓首脳会談でも、共同声明で朝鮮半島における核兵器開発への反対が表明されたが、北朝鮮への名指しは避けた。北朝鮮をめぐり中韓の考え方の違いが浮き彫りになったとしている。
結局、「習主席はアジアの安保環境の変化を志向しつつ、根本的には現状の変更を望んでいない」。一方で、朴大統領も「中国との友好と引き換えに米国との防衛関係を失おうとは思っていない」という。その結果、「少なくとも現時点において、アジアの主導権をめぐる争いでは、米国に有利な状況にある」としている