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「対日政策が寛容すぎた」
重慶青年報は中国共産党のエリート養成機関、共産主義青年団系の新聞。「きのこ雲」が描かれた日本地図は3日付の「公益広告」のページに掲載され、「Jpan wants a war again(日本が再び戦争をしたがっている)」と題している。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、重慶青年報は、きのこ雲が描かれたイラストとともに「われわれは日本と友好的すぎたのではないか」などとした、実に独り善がりな論評も掲載している。
論評では、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更は「自由に戦争に参加する力を得ること」などとし、「第二次世界大戦の殺人者、日本の血塗られた手は乾いていない。集団的自衛権の足かせを外すことは、殺人者の手に刀を返すことに等しい」などと論じている。
さらに1990年代以降、政治的には冷却関係にあるが、経済面では結びつきが過熱しているという意味の「政冷経熱」という関係は誤りだったとし、「日本企業が稼いだ金は次の戦争の予算となる」などと述べている
その上で、「過去40年間の中国の対日政策は度量が広すぎ、寛容すぎた」などと論評。「遠くない将来、軍事的な対立があるかもしれず、警戒を高めなければならない」としている。
あまりに傲岸不遜な言い方ではないか。それに「日本」と「中国」を逆にしたほうが、むしろ実態と符合しはしないか。
またしても論理のすり替え
もっとも、記事以上の「問題」がある。それは中国政府の対応だ。明らかに非常識な報道に対し、何の対応も取らないどころか、論理をすり替えて、日本批判を展開しているのだ。
「日本の軍国主義が発動した侵略戦争により中国とアジアの人民が深刻な災難を受けた」
中国外務省の洪磊報道官は7月9日の定例記者会見で、「きのこ雲」イラスト問題について問われると、そう答え、さらにこう続けた。
「日本はこのところ、歴史問題で騒動を起こし、軍事安全政策では空前の調整を行い、中国とアジアの人々の強い関心を招いている」
洪氏はイラストに関するコメントを避けたが、さらにイラスト自体の是非を問われると、「この問題についてこれ以上付け加えることはない」と述べ、さっさと切り上げてしまった。
毎年、軍事費を増やし続けて世界第2位の規模まで拡大して、日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)をはじめ、東シナ海、南シナ海で無用な対立を引き起こしているのは、いったい誰だろうか。世界各国で資源を買いあさり、稼いだ金を軍備強化に当てているのは、どこの国だろうか。日本でないことは明白だ。
「きのこ雲」イラストに関し、被爆地・広島選出の岸田文雄外相は7月8日の記者会見でこう述べている。
戦争被害者で騒ぐくせに「被爆者」感情を逆なで…世界平和の覚悟あるのか?
「極めて遺憾だ。掲載は誠に不見識で、唯一の戦争被爆国の外相として、被爆地である広島出身の政治家として、容認はできない。被爆者の感情を逆なでするものだ」
二度と、戦争はしてはならない。「きのこ雲」イラストをめぐる騒動は、その覚悟があるかどうかを問うている。他国の感情を逆なでし、挑発するような国に、その覚悟があるとは思えない。