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H-IIBロケット、補給機「こうのとり」4号機を打ち上げ

三菱重工は8月4日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」の4号機(HTV-4)を搭載したH-IIBロケットの打ち上げに成功した。「こうのとり」4号機には水や食料、日常品をはじめ、国際宇宙ステーションに設置される実験装置や超小型衛星など、合わせて約5.4tの補給物資が搭載されており、8月10日にISSへ入港する予定となっている。なお、今回の打ち上げはH-IIBの運用が三菱重工に移管されてから初、すなわち商業ロケットとしてのH-IIBの初打ち上げでもあった。

 「こうのとり」の4号機を搭載したH-IIBロケットは、日本時間8月4日4時48分、鹿児島県の種子島にある種子島宇宙センターの吉信第2射点を離昇した。ロケットは順調に固体ロケットブースター(SRB-A)や第1段を分離しつつ飛行、広く澄み渡った空に美しい軌跡を描きながら軌道速度に達し、離昇から約14分59秒後に「こうのとり」4号機を分離した。分離時点での軌道は高度188 x 301km、傾斜角51.65度で、計画値とほとんど誤差のない値であった。

 「こうのとり」(HTV)は国際宇宙ステーションに食料品や衣類、実験機器などの物資を輸送することを目的として、かつての宇宙開発事業団(NASDA)、現在の宇宙航空研究開発機構(JAXA)によって開発され、三菱重工によって製造されている無人の補給船である。打ち上げ時の質量は約16.5tで、約6tの物資を搭載することが可能だ。大きな特徴として、1気圧に保たれた与圧部と、宇宙空間に曝け出された非与圧部の、2ヶ所の異なる貨物の搭載区画を持っており、与圧部には食料や水、衣類や実験パレットを、非与圧部にはISSの船外に設置される部品や観測機器などを搭載できる。

 今回の「こうのとり」4号機の与圧部には、食料品、水、宇宙飛行士が着る衣類や日用品などに加え、ISSの日本実験棟「きぼう」から放出される、PicoDragonとArduSat-1、ArduSat-XとTechEdSat-3の4機の超小型衛星も搭載されている。そのほか、前回の3号機に引き続いて「こうのとり」が大気圏に再突入する際にデータを取得するi-Ballや、さらに今年末に地球に接近するアイソン彗星の撮影を狙った、4K解像度の超高感度カメラも搭載されている。非与圧部には電力系統切替装置(MBSU、Main Bus Switchnig Unit)と電力・通信インターフェース機器(UTA、Utility Transfer Assembly)と呼ばれる、ISSの運用にとって必要な部品の予備、そしてSTP-H4(Space Test Program - Houston 4)と呼ばれる、複数の実験装置が混載されたアメリカの実験装置が搭載されている

 今後「こうのとり」4号機は徐々に軌道を修正しつつISSに近づき、8月10日にISSの傍らに停泊、ISSのロボットアームによって捕まえられたあと、ハーモニー・モジュールの下部へと結合される予定だ。その後は補給物資の搬出、またISSで出たゴミの搬入が行われ、9月5日にISSから出港、9月7日に地球に大気圏に再突入し、処分される見通しとなっている。

 HTVの打ち上げは今回で4回目で、今後ISSの運用終了までに、少なくとも7号機までの打ち上げが予定されている。それ以降の計画はまだ決められていないが、回収カプセルを持つ発展型のHTV-Rの研究が行われており、実現すればISSから実験試料などを持ち帰ることができるようになるのに加えて、将来の日本独自の有人宇宙活動の可能性も拓ける。

 H-IIBロケットは今回のように「こうのとり」や、また将来的には大型の人工衛星を打ち上げることを目的として、三菱重工とJAXAが共同で開発した日本最大のロケットである。これまでに2009年9月11日に初号機を、2011年1月22日に2号機を、そして2012年7月21日に3号機を打ち上げ、すべて成功を収めている。

 H-IIBはこれまでの日本が開発した中で最も大きな打ち上げ能力を持つ。これほどの大型ロケットを新しく開発しようとすると、通常は多くの費用と時間が掛かり、また開発が失敗する可能性もあるが、H-IIBにおいてはH-IIAで培われた技術が最大限活用され、リスクとコストを抑えつつ、短期間での開発が実現した。その現れの一例として、第1段には新しい強力なロケットエンジンではなく、すでにH-IIAで実績のあるLE-7Aエンジンが2基束ねて使用されている。

 またHTVを搭載する為に新しい衛星フェアリングが開発され、第1段の直径も太くなり推進剤の搭載量は1.7倍に、さらに推進剤タンクのドーム部の国産化やタンク製造時の溶接方式の変更など多くの改良が施されている。H-IIBの見た目はH-IIAを一回り大きくした感じで、確かに部品の多くは共通のものが使われたりはしているが、中身は殆ど別物と言っても良い

 ロケットの全長は56.5m、全備質量は530t。打ち上げ能力はHTV軌道に16.5t、また静止トランスファー軌道へは8tで、この能力であれば静止衛星の2機同時打ち上げも可能であり、商業ロケットの雄であるアリアン5 ECAとも対等に渡り合える実力はある。

 しかしH-IIBはこれまでHTVの打ち上げ実績しかなく、また今後もHTV以外の打ち上げ、つまり商業打ち上げの予定は、現時点では決まっていない。これはH-IIAも同様で、これまで韓国の地球観測衛星アリラン3号しか商業打ち上げの経験がなく、またそもそもアリラン3号にしても、受注できたのは主衛星である「しずく」と相乗りさせることで破格の価格を提示できたためであり、名実ともに商業打ち上げ市場に進出できたとは言い難く、事実、H-IIAも今後の商業打ち上げの予定は現時点ではない。

 両者とも高い打ち上げ成功率を持ってはいるが、例えばアリアン5ロケットに比べると、総打ち上げ回数や、多くの商業打ち上げを捌いてきた実績や信頼性で劣っており、また価格では中国の長征ロケット、特にスペースX社が送り出したファルコン9ロケットに負ける。その他にも、種子島宇宙センターは北緯30度にあり、アリアン5が打ち上げられる北緯5度のギアナ宇宙センターと比べると立地面で不利な上、種子島宇宙センター側も衛星や顧客を迎え入れる体制が整っておらず、老朽化も進んでいるなど、H-IIA、H-IIBが衛星打ち上げロケットとして真に成功するためには、多くの課題が残されている

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