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時代を見通す日本の基礎情報

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「反日親北」路線で墓穴掘る文政権「自分で自分の首を締める」形に

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は日本を攻撃して、自分の国をどうしたいと思っているのだろうか。

 「反日・親北」路線で北朝鮮と南北統一を果たし、中国の勢力圏に入ったとしても、韓国の自由だ。だが、それで経済が回っていくかといえば、難しい。韓国経済は日本依存で成り立っている面が大きいからだ。文政権は「自分で自分の首を締める」形になってきた。

  •  韓国は輸出の国内総生産(GDP)比が2015年で45・9%(世界銀行)と半分近くを占めるように、貿易で稼いでいる。とりわけ、日本は中国、米国に次ぐ3番目の貿易相手国である。

 問題はその中身だ。

 日本からは部品や素材、工作機械を輸入し、それらを使ってつくった製品を輸出している。精密部品や精密加工をする日本の機械は、他の追随を許さない。言い換えれば、韓国は日本の部品や素材、工作機械がないと「メイド・イン・コリア」を世界に輸出できない構造になっている。韓国は恒常的に対日貿易赤字でもある。

 そうだとすると、日本企業が「俺たちをいじめるなら、韓国とは取引しない」と言い出せば困るのは韓国ではないか。例えば、日本が独占状態にある高品質なフッ化水素を供給しなくなれば、韓国は半導体を製造できなくなる半導体製造にフッ化水素は不可欠だからだ。自民党内では「政府承認が必要な戦略物資であるフッ化水素の輸出を止めるべきだ」という意見が出ている。実際に昨年、「一部が止まった」という報道もある。

 それでなくても、韓国最大手の企業であるサムスン電子は半導体事業の不振から昨年10~12月期の業績が前期に比べて大幅減収減益になった。ここで日本がフッ化水素の供給を止めれば、同社が大打撃を被るのは避けられない

 貿易だけではない

 いわゆる「元徴用工」裁判で勝訴した韓国の原告は、日本企業の資産を差し押さえに動いたが、文政権は何の手も打たず、傍観している。そんな姿勢が続くなら、現地の日本企業が投資を手控えるのはもちろん、撤退する企業も出てくるだろう。そうなれば、取引のある韓国企業は仕事が回らなくなる。

 米中新冷戦の影響もある

 韓国の対中輸出は全体の25%に上る。だから、文政権は「日本が離れても、中国がいれば大丈夫」と思っているかもしれない。ところが、その中国は米国の制裁関税にのたうち回っている。米国企業は中国から脱出し始め、生産のサプライチェーンを見直しつつある。めぐりめぐって、頼みの対中輸出も先細りになる可能性が高まっているのだ。まさに「親がこければ、子もこける」関係である。

 足元の韓国経済はどうかといえば、若者の失業率が約10%に達し、ソウルでは就職難にあえぐ若者や労働者による街頭デモが頻発している。最高幹部クラスが相次いで逮捕された「財閥いじめ」と最低賃金の大幅引き上げの結果、企業は雇用拡大に二の足を踏むようになった

 文政権は「赤い朝鮮半島の実現」に懸命だ。だが、「経済を元気にできない政権は長続きしない」という「政治の絶対法則」は韓国も同じである。文政権は反日親北路線を突き進んで、結局、自ら墓穴を掘っているのだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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