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ドナルド・トランプ米大統領が先月31日に、米国では買物するときに身分証(ID)が必要だと発言したことを受け、同大統領が一般市民の生活を知らないのではと非難する声が上がっている。
トランプ氏は南部フロリダ州タンパで開かれた、「アメリカを再び偉大に」と題された支持者集会で、「そうそう、出かけたときに食料品を買おうとすると、顔写真が張ってあるカードが必要なんだ。IDが必要なんだよ」と述べた。
米国のスーパーマーケットでは、酒類を買う場合、あるいは一部でクレジットカードを使って商品を買う場合以外で身分証の提示は求められない。
トランプ大統領の発言は、投票時の身元確認を厳格化すべきだと訴えるなかであった。トランプ氏は、「この国では、大統領選で投票するとき、上院選で投票するとき、知事選や下院選で投票するときだけ、IDが必要ないんだ。これはクレイジーだよ、クレイジー。だが、我々はこれを変えようとしている」と語った。
トランプ大統領がスーパーマーケットを最近利用したのがいつかは不明。
米CNNテレビのジム・アコスタ記者はツイッターで、「トランプ氏はこの点で実態を分かっていない。(中略)食料品を買うのにIDは必要ない」とコメントした。
その後、アコスタ記者は生中継の放送中に、トランプ氏支持者たちから「うそつき」「CNNくそ食らえ」と罵声を浴びた。
アコスタ記者はツイッターに、集会の参加者たちから激しい言葉で非難される様子を撮影した動画を投稿し、「タンパのトランプ氏支持者集会で我々が直面した悲しい場面のほんの一例。トランプ氏や保守系メディアの一部があおった敵意のせいで、誰かが暴力を振るわれるようなことがないか非常に心配している。こんな扱いを同じ米国人にするべきじゃない。報道関係者は敵じゃない」とコメントした。
https://twitter.com/Acosta/status/1024467940257738752
大統領を批判する声が上がるなか、テキサス州議会のキャロル・アルバラド下院議員(民主党)はツイッターで、「これには驚かなかった。平均的な米国人をあまりにも理解していないトランプ氏が中間層を壊滅させるのは、そんなに遠くない将来だろう。私の地元の店でどうやって食料品を買うのか彼に見せてあげてもいい」と投稿した。
https://twitter.com/RepAlvarado145/status/1024654840998318080
1日にホワイトハウスでの記者会見で、前日のトランプ氏の発言について質問した記者がスーパーマーケットで身分証を求められたことはないと指摘すると、サラ・サンダース大統領報道官は、「食料品店でビールやワインを買うときは、もちろんIDを見せるでしょう」と応じた。
平均的な米国人の生活を理解していないとみられるような、気まずい状況に陥った政治家は、過去にもいる。
1992年には、食料品小売業の展示会を視察した当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が、商品をスキャンする機器に驚いた様子を見せたことで、揶揄(やゆ)された。
しかしホワイトハウスは、ブッシュ大統領は損傷のあるラベルでも機器が読み取れることに関心しただけだと説明した。
ヒラリー・クリントン氏は2014年に、過去20年近く車を運転していないと明らかにし、からかいの対象となった。
2007年には、大統領選の候補だったバラク・オバマ前大統領がアイオワ州の農家の人々から好感を得ようとして語った内容が批判された。オバマ氏は、「(高級スーパーの)ホールフーズに最近行って、ルッコラがいくらで売られているか見た人います?」と語った。
共和党支持者のトランプ氏の支持率は約87%で、過去の大統領が就任後同時期に得た支持率の中では比較的高水準だが、最高ではない。エイブラハム・リンカーン大統領よりも人気だとトランプ氏は繰り返し主張してきたが、検証可能な世論調査が当時なかったことから、証明はできない。
2016年の大統領選で、メキシコとの国境に壁を建設するのを公約に掲げたトランプ氏は、連邦予算から250億ドル(約2兆8000億円)の支出を求めているが、確保できたのは15億ドルのみで、それも新たな壁建設ではなく既存の障壁に使われる予算となっている。トランプ大統領は今週、壁建設の予算が確保できないなら、連邦政府機関の閉鎖も辞さないと述べた。
現場にいたBBCの取材チームは、大きなスクリーンは目にしなかったと語っている。これは地元紙タンパ・ベイ・タイムズの記者も同様の指摘をしている。