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いかにも韓国らしい「お笑い事件」があった。盗作=パクリが、ほとんど「韓国の国技」と言えることは、もはや韓国ウオッチャーの常識だ。しかし、パクリをするにしても、主要な部分の一部だけとか、自前の部分も少しはあるものだ。
ところが、この「お笑い事件」では、ある作家が書いて文学賞を取った小説を、最初から最後まで「丸パクリ」したのだ。
登場人物の名前を変えるとか、表現を少し変えるとか、そんな“努力”もしなかった。ネットで見つけた原作の全文を、そのままコピー&ペーストしたらしい。
それをもって別の文学賞に次々と応募して、「第16回沙渓・金長生文学賞新人賞」「2020フォーチュン38文学賞大学部最優秀賞」「第7回慶北日報文学大展佳作」「第2回グローリーシニア新春文芸当選」「季刊誌『小説美学』2021年新年号新人賞」と、5つの賞をものにしたのだ。
5つの文学賞の審査委員とは、どんな人々なのだろうかと思う向きもあろうが、原作自体が取った賞(白馬文化賞)も、韓国ネイバー事典に載っていない。日本で言えば、県レベルの文学賞なのだろう。そんな作品を、審査員が読んでいなかったとしても無理からぬことだ。
むしろ、「いかにも韓国」らしいと、ますます笑ってしまうのは、この「丸パクリ」をした人物が、CBSラジオのニュースショーに堂々と出演して、自分の境遇や動機を語ったことだ。
同ラジオをトレース報道した朝鮮日報(2021年1月22日)によると、彼は「17年に空軍少佐進級を前に部隊で発生した事故により不名誉除隊した後、自暴自棄になって公募に挑戦した」という。不名誉除隊とは、クビになったということだ。
「不名誉除隊させられて人生をすべて失ったような気がした」「酒に依存して、人に会うのが嫌になって」までは分かる。
しかし、「このような形ででも、賞をもらったら、すごくうれしい」「盗用については、まったく罪の意識がなかった」となると、どうか。
日本製のスナック菓子をパクって、「韓国の国民菓子」と称賛されているメーカーの“開発”担当者も、同じような気持ちなのかもしれない。
丸パクリした男は「謝罪を受け入れてくれる人には謝罪したい」とも述べているが、これは「謝罪しない」の言い換え表現だ。
韓国の人気作家、申京淑(シン・ギョンスク)の小説の文章に、三島由紀夫の作品からの盗用があるとして騒動になったことがある。すると出版元は「彼女の描写の方が、三島のものより比較優位にある」と強弁して論点をすり替えた。
ある絵画が「梅原龍三郎の盗作だ」と批判を浴びると、取り扱っていた画商は「日本の作品を盗作したのではなく、日本の作品を克服し、深化させたのだ」と言ってのけた。
地方大学の教授が、別の地方大学の教授が書いた学術書を丸パクリして、表紙と奥付の名前だけ変えて出版したこともあった。
どれほど破廉恥なパクリをしても、自己弁護を続け、詭弁(きべん)を弄し、決して素直には謝罪しない。これは文化・芸術作品やスナック菓子に限らない。
「自己弁護」「詭弁」「謝罪せず」…パクリではないが、韓国の前国会議長もそうだった。新任の駐日大使も、どうやら「自己弁護」「詭弁」「謝罪せず」の人のようだ。
■室谷克実(むろたに・かつみ