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北朝鮮外務省のパク・ミョンホ次官は中国駐在の北朝鮮公使、大使代理を歴任した「中国通」で知られ、中央党(朝鮮労働党中央委員会)からその外交手腕を認められた超エリートだ。
国営の朝鮮中央通信が昨年10月に配信した、金正恩氏が朝鮮戦争に参戦した中国の軍人を顕彰する党に献花したことを伝える記事にも、随行した人員として彼の名前が登場する。
(参考記事:金正恩氏「中朝友誼塔」に献花…朝鮮戦争参戦70周年に際して)
そんなパク次官が処罰されたと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」金正恩、軍人虐殺の生々しい場面)
首都平壌を流れる大同江(テドンガン)を挟んで、西岸には金日成広場、朝鮮労働党庁舎など国の中枢機関が、東岸には各国の大使館が集まっている。新型コロナウイルスの超特級非常防疫措置が発動中の現在、大使館の集まる区域は非常防疫区域に指定され、その中に住む外国人との接触は禁じられている。
(参考記事:北朝鮮が「超特級非常防疫措置」発動…移動制限は50日間)
ところがパク次官は、規則を破って外国の大使館に出入りし、外国人と接触していたことが露見した。外務省の党委員会への通報があったとのことだ。
先月1日から今月末までの2ヶ月間の厳重警告という処罰を受けたが、具体的にどのような不利益が生じたのかについて、情報筋は触れていない。また、隔離されたかも不明だ。
(参考記事:3割が生きて出られない…北朝鮮コロナ隔離施設の劣悪な実態)
ちなみに米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は先月、平壌駐在の西側諸国外交官や国際機関の職員の多くが撤収したと報じた。ドイツ外務省関係者はRFAに対して、北朝鮮の防疫措置により、北朝鮮からの撤収を強いられたことに対して遺憾の意を示すと述べ、フランス、スイスも外交官を出国させたことを認めている。
ただ、いずれも昨年の3月のことで、パク次官の件とは直接関係ないようだ。また、中国、ロシア、南米、アフリカの各大使館は詳細を明らかにしておらず、平壌に残っている外交官が全くいないというわけではないようだ。
当局は、外務省のイルクン(幹部)が、職権を乱用し特権層であるかのように振る舞う現象が頻繁に起きていると指摘し、国境地域で貿易機関、会社のイルクンが行っている「無規則な行為」、つまり規則を破って貿易を行う行為に対しては、無慈悲に処罰すると警告した。
そして、彼らの活動が外貨稼ぎというメリットより、新型コロナウイルスの国内流入というデメリットの方が大きいと判断し、問題を起こす前に平壌に召喚するように指示を下した。
国境地域では、早ければ来月にも貿易が再開されるのではないかとの噂が飛び交い、一部の貿易機関、会社は再開に向けた準備を進めているとのことだが、今回の召喚命令でぬか喜びになってしまったようだ。