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前原誠司元外相が産経新聞の取材に対し、2010年9月7日に沖縄県・尖閣諸島沖の領海内で発生した中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事件で、当時の菅直人首相が、逮捕した中国人船長の釈放を求めたことを明らかにした。旧民主党政権は処分保留による船長釈放を「検察独自の判断」と強調し、政府の関与を否定してきたが、菅氏の強い意向が反映されたとみられる。証言が事実なら、旧民主党政権は国民にウソをついたことになる。主要メンバーが参加する立憲民主党と国民民主党などによる合流新党にも直撃しそうだ。
衝撃証言は、産経新聞が8日朝刊の1面トップで報じた。
前原氏によると、外相として国連総会に出席するための10年9月21日の訪米出発直前、首相公邸に佐々江賢一郎外務事務次官ら外務省幹部とともに勉強会に参加。その場で、菅氏が公務執行妨害容疑で勾留中の船長について、「かなり強い口調で『釈放しろ』と言った」という。
前原氏が理由を聞くと、菅氏は同年11月に横浜市でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議があるとして、「(当時の中国国家主席の)胡錦濤が来なくなる」と主張。中国側は船長の釈放を要求し、政府間協議や人的交流の中止などさまざまな報復措置をとっていた。釈放しない場合、胡氏が来日しなくなることを懸念したとみられる。
前原氏は「来なくてもいいではないか。中国が国益を損なうだけだ」と異を唱えたが、菅氏は「オレがAPECの議長だ。言う通りにしろ」と述べた。前原氏はその後、当時の仙谷由人官房長官に「首相の指示は釈放だ」と報告した。
当時の外務省幹部も「菅首相の指示」を認めた。菅氏は産経新聞の取材に「記憶にない」と答えている。