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時代を見通す日本の基礎情報

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日本製継ぎ目なし鋼管のAD税期間延長審査を開始、

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メキシコ経済省は11月5日、連邦官報において日本製の継ぎ目なし鋼管に課されているアンチダンピング(AD)税の適用期間延長審査の開始を公告した。現時点で日本製の継ぎ目なし鋼管には99.9%のAD税が課されているが、同AD税の撤廃を望む事業者(日本の輸出者、メキシコの輸入者など)は、28営業日以内(12月16日の午後6時まで)に経済省に対して必要な情報を提供する必要がある。情報提供フォーマットは、経済省の国際通商措置ユニット(UPCI)のウェブサイトからフォーマット(輸出者用輸入者用)がダウンロードできる。

日本製継ぎ目なし鋼管に対するAD税は2000年11月11日に適用が開始され、過去3回にわたり適用期限が延長され、2020年11月11日に適用が終わる予定だった(2015年11月13日記事参照)。WTOのAD協定およびメキシコの貿易法の規定に基づき、2020年9月23日にベラクルス州にある継ぎ目なし鋼管製造大手のTAMSAがAD税適用延長審査の開始を要請、同要請に基づくかたちで今回、延長審査の開始が公告された。TAMSAは国内唯一の継ぎ目なし鋼管の生産者で、現在はイタリア・アルゼンチン系鋼管大手テナリスの傘下にある。

延長審査対象の継ぎ目なし鋼管は、メキシコ側のHS8桁で7304.11.01、7304.11.02、7304.11.03、7304.11.99、7304.19.01、7304.19.02、7304.19.03、7304.19.91、7304.19.99、7304.39.10、7304.39.11、7304.39.12、7304.39.13、7304.39.14、7304.39.15、7304.39.91、7304.39.92、7304.39.99、7304.59.11、7304.59.12、7304.59.13、7304.59.14、7304.59.15、7304.59.16、7304.59.91、7304.59.92、7304.59.99に分類されるもの。継目無し鋼管は、石油・ガス開発用の油井管や石油・ガス・液体資源の輸送用のラインパイプとして用いられる。

現時点で日本からの継ぎ目なし鋼管輸入は少ない

2019年の日本製継ぎ目なし鋼管の輸入量は前年比97.2%減の約160トンで、全世界からの輸入量の0.5%に過ぎない。ただし、前回、前々回の調査とも、AD税が撤廃された場合の輸入急増の可能性を考慮して適用延長が決定されており、日本側からの情報提供がない場合は、WTOのアンチダンピング協定の第6.8条に基づき、「知ることができた事実(facts available)」に基づき、今回もTAMSAの主張を全面的に採用するかたちで延長決定がされる可能性がある。なお、2020年11月時点で日本製の産品に対してAD税が課されているのは、継ぎ目なし鋼管に加え、スチレン・ブタジエンゴム(SBR、2019年1月29日記事参照)、鉄鋼厚中板(2019年5月7日記事参照)がある。

(中畑貴雄)

(メキシコ)



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