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時代を見通す日本の基礎情報

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止まらない車」を無視して渡り、運転手大慌て信号ない横断歩道事故が起きたら?

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朝の通勤時間帯、信号のない横断歩道なんて無視するかのごとく、ガンガン突っ込んでくる車たち。会社員のマサヒコさんは、歩行者が不便を強いられていることが許せず、車がスピードを落とさずに突っ込んできても、平然と横断歩道を渡る。

驚いた車は慌てて一時停止するが、運転手の表情はどこか不満げ。マサヒコさんは、「朝だから急いでいるのかもしれないけど、信号がない横断歩道なんだから、ちゃんと停止してほしい」と話している。

ただ、一つだけ気になるのが、事故が起きてしまった時の責任だ。マサヒコさんは車が迫ってきていることを把握して渡っている。横断歩道とはいえ、事故が起きた時の責任は車が100%ということにならないのだろうか。平岡将人弁護士に聞いた。

●信号のない横断歩道で一時停止をする車は8.6%

「JAFが2018年に行った『信号機のない横断歩道における車の一時停止率』の全国調査によると、一時停止をした自動車は全体の8.6パーセントしかなかった、という結果がでています。ほとんどの車両は、信号機のない横断歩道で一時停止をしていないのが残念ながら我が国の実態といえます。

道路交通法38条1項は、『車両等は、横断歩道又は自転車横断帯に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならないと規定しています。

つまり、歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときは、車両は一時停止をして歩行者が渡り切るのを待たなければならないので、実はほとんどの自動車は38条1項違反なのです」

では、歩行者の動きについては、法律でどう定められているのか。

歩行者に対しての道路交通法上の規定を見てみると、12条1項は、『歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければならない』としています。マサヒコさんの場合は、横断歩道上を横断しているので、歩行者に道路交通法上の違反はありません

●基本的に歩行者の過失は問われないが…

もし、車が迫っていることを知っていて、それでも横断した場合の責任はどう判断されるのか

「ご質問の過失割合の点ですが、横断歩道を通過する自動車には重い注意義務が課され、反面歩行者は絶対的に近い保護を受けます。したがって、基本的には横断歩道上の事故であれば歩行者のマサヒコさんの過失は問われません

ただし、自動車から発見が容易ではなくなる夜間の場合幹線道路のような交通量が多く広い道路の場合などは歩行者も安全注意義務が問われ、また道路交通法13条1項で歩行者は車の直前・直後で道路を横断してはならないと規定されていますので直前横断などの場合には歩行者にもわずかながら(5%)責任を問われてしまいます。

マサヒコさんのケースですと、場合によっては、直前横断に該当しうる可能性はあると思います」

横断歩道については、どのような心構えが求められるのか。

歩行者としては、絶対的な保護を受けうる横断歩道を横断する場合でも、いったんは立ち止まり、左右の安全確認をした上で渡り始めるのが良いでしょうね。

さて、冒頭述べたJAFの調査結果を受けて、各都道府県警は、自動車の横断歩道前での一時停止を促す方向で動き始めることが予想されます。

自動車対歩行者の事故は、大きな負傷、場合によっては生命を失う事故につながる可能性が高いものです。大けがを負った被害者や大切な人を亡くしてしまった遺族が、どのような苦痛を受けるか、運転手は想像してほしいと思います。

警察の動きがあるから、ではなくて、自動車を運転する責任として、道路上のルールを厳守し、安全に配慮した運転をしてほしいと思います」

【取材協力弁護士】
平岡 将人(ひらおか・まさと)弁護士
中央大学法学部卒。全国で8事務所を展開する弁護士法人サリュの代表弁護士。主な取り扱い分野は交通事故損害賠償請求事件、保険金請求事件など。著書に「虚像のトライアングル」。実務家向けDVDとして「損保会社を動かす!交通事故被害者を救う賠償交渉ノウハウ全三巻」など。

事務所名:弁護士法人サリュ銀座事務所
事務所URL:http://legalpro.jp/


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朝の通勤時間帯、信号のない横断歩道なんて無視するかのごとく、ガンガン突っ込んでくる車たち。会社員のマサヒコさんは、歩行者が不便を強いられていることが許せず、車がスピードを落とさずに突っ込んできても、平然と横断歩道を渡る。

驚いた車は慌てて一時停止するが、運転手の表情はどこか不満げ。マサヒコさんは、「朝だから急いでいるのかもしれないけど、信号がない横断歩道なんだから、ちゃんと停止してほしい」と話している。

ただ、一つだけ気になるのが、事故が起きてしまった時の責任だ。マサヒコさんは車が迫ってきていることを把握して渡っている。横断歩道とはいえ、事故が起きた時の責任は車が100%ということにならないのだろうか。平岡将人弁護士に聞いた。

●信号のない横断歩道で一時停止をする車は8.6%

「JAFが2018年に行った『信号機のない横断歩道における車の一時停止率』の全国調査によると、一時停止をした自動車は全体の8.6パーセントしかなかった、という結果がでています。ほとんどの車両は、信号機のない横断歩道で一時停止をしていないのが残念ながら我が国の実態といえます。

道路交通法38条1項は、『車両等は、横断歩道又は自転車横断帯に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならないと規定しています。

つまり、歩行者が横断歩道を渡ろうとしているときは、車両は一時停止をして歩行者が渡り切るのを待たなければならないので、実はほとんどの自動車は38条1項違反なのです」

では、歩行者の動きについては、法律でどう定められているのか。

歩行者に対しての道路交通法上の規定を見てみると、12条1項は、『歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければならない』としています。マサヒコさんの場合は、横断歩道上を横断しているので、歩行者に道路交通法上の違反はありません

●基本的に歩行者の過失は問われないが…

もし、車が迫っていることを知っていて、それでも横断した場合の責任はどう判断されるのか

「ご質問の過失割合の点ですが、横断歩道を通過する自動車には重い注意義務が課され、反面歩行者は絶対的に近い保護を受けます。したがって、基本的には横断歩道上の事故であれば歩行者のマサヒコさんの過失は問われません

ただし、自動車から発見が容易ではなくなる夜間の場合幹線道路のような交通量が多く広い道路の場合などは歩行者も安全注意義務が問われ、また道路交通法13条1項で歩行者は車の直前・直後で道路を横断してはならないと規定されていますので直前横断などの場合には歩行者にもわずかながら(5%)責任を問われてしまいます。

マサヒコさんのケースですと、場合によっては、直前横断に該当しうる可能性はあると思います」

横断歩道については、どのような心構えが求められるのか。

歩行者としては、絶対的な保護を受けうる横断歩道を横断する場合でも、いったんは立ち止まり、左右の安全確認をした上で渡り始めるのが良いでしょうね。

さて、冒頭述べたJAFの調査結果を受けて、各都道府県警は、自動車の横断歩道前での一時停止を促す方向で動き始めることが予想されます。

自動車対歩行者の事故は、大きな負傷、場合によっては生命を失う事故につながる可能性が高いものです。大けがを負った被害者や大切な人を亡くしてしまった遺族が、どのような苦痛を受けるか、運転手は想像してほしいと思います。

警察の動きがあるから、ではなくて、自動車を運転する責任として、道路上のルールを厳守し、安全に配慮した運転をしてほしいと思います」

【取材協力弁護士】
平岡 将人(ひらおか・まさと)弁護士
中央大学法学部卒。全国で8事務所を展開する弁護士法人サリュの代表弁護士。主な取り扱い分野は交通事故損害賠償請求事件、保険金請求事件など。著書に「虚像のトライアングル」。実務家向けDVDとして「損保会社を動かす!交通事故被害者を救う賠償交渉ノウハウ全三巻」など。

事務所名:弁護士法人サリュ銀座事務所
事務所URL:http://legalpro.jp/


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