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時代を見通す日本の基礎情報

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海自・救難飛行艇 魅力を語る世界で唯一の技術



離水する海上自衛隊の救難飛行艇「US2」=神戸市東灘区 離水する海上自衛隊の救難飛行艇「US2」=


神戸市東灘区神戸市東灘区の新明和工業甲南工場で生産された海上自衛隊の救難飛行艇「US2」を紹介する企画展「救難飛行艇の世界」が、配備先の海自岩国航空基地近くの岩国徴古(ちょうこ)館(山口県岩国市)で開かれている。US2は世界で唯一、波高3メートルの外洋での離着水が可能な国産機。4月中旬には同社幹部や開発の舞台裏を描いた漫画の著者らが同市内に集い、約200人のファンの前で機体の魅力を語った。(土屋宏剛

 企画展ではUS2の模型や写真のほか、旧海軍や海上自衛隊が運用した歴代飛行艇の資料なども展示。5月12日まで開かれている

 4月13日にはトークイベントが開催され、“超理系コミック”として話題の漫画「US-2救難飛行艇開発物語」(小学館のビッグコミック増刊号で連載中)を執筆する漫画家、月島冬二さん(54)や、新明和工業でUS2の開発主任だった石丸寛二副社長が登場。石丸副社長は、同社の前身の川西航空機が開発した旧海軍の「二式飛行艇」や戦闘機「紫電改」など、かつて日本の国防を担った歴代の機体について解説し、「失敗にめげず、改良を繰り返したことで世界最高水準のUS2が完成した」と述べた。

 

続いて月島さんと石丸副社長のトークセッションが行われ、月島さんは「紫電改など戦闘機は好きだったが、飛行艇には興味がなかった」と執筆前の心情を暴露。開発現場のリアルさを伝えるため、100人以上の関係者を取材したことを明かしてファンを驚かせた。その上で「作品を通じて日本の飛行艇や技術力を誇りに思ってもらえれば」と語った。

消防飛行艇の開発も

 救難飛行艇「US2」は海上自衛隊が5機保有し、米軍と共同使用する海自岩国航空基地で集中的に運用されている。初飛行から今年で16年。主な任務は海上遭難者の救出や離島の急患搬送だが、開発元の新明和工業では、US2の機体に改造を加えた消防飛行艇の開発を目指し、独自で研究を進めている。

 US2(全長33・3メートル、幅33・2メートル、乗員11人)の最高速度は時速約580キロで、航続距離は約4700キロ。波高3メートルの荒波でも離着水が可能で、船と飛行機の両方の特徴を持つ。平成25年には、ヨットで太平洋を横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さんら2人を救助して注目された。

 同社は7年の阪神大震災で工場などが被災した経験を踏まえ、US2の機体をもとにした消防飛行艇の製造研究を開始。空からの消火活動で、ヘリコプターの約7倍に当たる約15トンの水を運ぶことができるという。開発に向けた国の作業は具体化していないが、同社ではUS2の胴体部分に水を格納するためのタンクを製造し、都市災害の発生時における効果などを検証している。

 同社の石丸寛二副社長は「US2をもとにした消防飛行艇が誕生すれば、世界中の災害現場で役に立つ。広く飛行艇のすばらしさを知ってもらいたい」と力を込めた。

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離水する海上自衛隊の救難飛行艇「US2」=神戸市東灘区 離水する海上自衛隊の救難飛行艇「US2」=


神戸市東灘区神戸市東灘区の新明和工業甲南工場で生産された海上自衛隊の救難飛行艇「US2」を紹介する企画展「救難飛行艇の世界」が、配備先の海自岩国航空基地近くの岩国徴古(ちょうこ)館(山口県岩国市)で開かれている。US2は世界で唯一、波高3メートルの外洋での離着水が可能な国産機。4月中旬には同社幹部や開発の舞台裏を描いた漫画の著者らが同市内に集い、約200人のファンの前で機体の魅力を語った。(土屋宏剛

 企画展ではUS2の模型や写真のほか、旧海軍や海上自衛隊が運用した歴代飛行艇の資料なども展示。5月12日まで開かれている

 4月13日にはトークイベントが開催され、“超理系コミック”として話題の漫画「US-2救難飛行艇開発物語」(小学館のビッグコミック増刊号で連載中)を執筆する漫画家、月島冬二さん(54)や、新明和工業でUS2の開発主任だった石丸寛二副社長が登場。石丸副社長は、同社の前身の川西航空機が開発した旧海軍の「二式飛行艇」や戦闘機「紫電改」など、かつて日本の国防を担った歴代の機体について解説し、「失敗にめげず、改良を繰り返したことで世界最高水準のUS2が完成した」と述べた。

 

続いて月島さんと石丸副社長のトークセッションが行われ、月島さんは「紫電改など戦闘機は好きだったが、飛行艇には興味がなかった」と執筆前の心情を暴露。開発現場のリアルさを伝えるため、100人以上の関係者を取材したことを明かしてファンを驚かせた。その上で「作品を通じて日本の飛行艇や技術力を誇りに思ってもらえれば」と語った。

消防飛行艇の開発も

 救難飛行艇「US2」は海上自衛隊が5機保有し、米軍と共同使用する海自岩国航空基地で集中的に運用されている。初飛行から今年で16年。主な任務は海上遭難者の救出や離島の急患搬送だが、開発元の新明和工業では、US2の機体に改造を加えた消防飛行艇の開発を目指し、独自で研究を進めている。

 US2(全長33・3メートル、幅33・2メートル、乗員11人)の最高速度は時速約580キロで、航続距離は約4700キロ。波高3メートルの荒波でも離着水が可能で、船と飛行機の両方の特徴を持つ。平成25年には、ヨットで太平洋を横断中に遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さんら2人を救助して注目された。

 同社は7年の阪神大震災で工場などが被災した経験を踏まえ、US2の機体をもとにした消防飛行艇の製造研究を開始。空からの消火活動で、ヘリコプターの約7倍に当たる約15トンの水を運ぶことができるという。開発に向けた国の作業は具体化していないが、同社ではUS2の胴体部分に水を格納するためのタンクを製造し、都市災害の発生時における効果などを検証している。

 同社の石丸寛二副社長は「US2をもとにした消防飛行艇が誕生すれば、世界中の災害現場で役に立つ。広く飛行艇のすばらしさを知ってもらいたい」と力を込めた。

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