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【シンガポール=吉村英輝】オーストラリア政府は、中国を念頭に、不当な内政干渉を阻止するため、年内に法案を議会に提出する。外国人からの政治献金を禁止するほか、国外から資金提供を受けて活動する国内組織に登録を義務づけて監視を強化する。豪州では、政治家や留学生を利用した中国による政治工作が活発化しているとされており、法整備を通じて対抗措置を講じる。
豪州のブランディス司法長官は14日の連邦議会で、「スパイ活動や内政干渉の工作は、深刻な主権侵害を引き起こす」と述べた。そして問題は「最悪の状況にあり悪化している」と指摘した。現地メディアによると、ブランディス氏は今年7月に渡米し、米国の安全保障当局から、海外からの内政干渉対策についてのアドバイスを受けた。その際、中国共産党が豪州でロビー団体や財界人などを駆使し、地方や連邦政府に組織的な工作を仕掛けている実態についても、情報提供を受けたという。
豪州では近年、中国出身の富豪や実業家が政党などに巨額献金を行い、政治家に圧力をかけて南シナ海問題に関する発言を封じた疑惑が報じられるなど、経済力を背景にした中国による内政干渉が問題視されている。
豪州の外国人留学生は今年9月、対前年同月比13%増の約59万人で、中国出身者は29%と2位のインド(11%)を大きく上回る。市民権を得た学生や移民2世らを加えれば、中国人学生は各キャンパスの一大勢力となっている。
だが、豪州の大学では、これら中国人学生が、在豪の中国大使館や領事館から指示を受け、中国に不利な内容の授業内容に集団で抗議を展開するなど、露骨な中国擁護活動を頻繁に展開している。中国に関する書籍出版が中止に追い込まれたケースもある。
実態報告を受けたビショップ外相は先月「言論の自由を制限するいかなる活動にも、留学生や外国人研究者は参加してほしくない」と、間接的ながら中国に対し警告を発した。