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時代を見通す日本の基礎情報

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被害者に成りすました加害者 韓国がおびえるオーストリア正史

Austrian Masashi whom assailant Korea which pretended to be a victim is frightened by

 JR恵比寿駅(東京都渋谷区)を通る度「韓国」の二文字が頭に浮かぶ。ホームに流れる発車メロディーが、1949年製作の英国映画《第三の男》のテーマ曲であるせいだ。映画の舞台が第二次世界大戦(39~45年)直後のオーストリアで、加害者が被害者に成りすます筋書きが、韓国を彷彿させるのだ。(SANKEI EXPRESS)

被害者に成りすまし

 オーストリアは「ナチス・ドイツに併合された、ナチスによる最初の犠牲国」と、先頃まで言い張った。韓国の朴槿恵大統領(62)も「日本が加害者で、韓国が被害者」と、繰り返し強弁する。教科書では「対日戦争」を教えてもいる。しかし、史実は全く違う。近代に入り、朝鮮と本格的に戈を交えてはいない。10年に大日本帝國が併合し、日本と成った朝鮮は、欧州・植民地兵のようにではなく枢軸国・日本の将兵として大戦を戦った。朝鮮人の軍人・軍属は24万2000人以上。志願兵の競争率は62倍強に沸騰した。2万1000柱の英霊が靖国神社に祀られる。今、韓国の反日勢力が最も行きたくない国は90年代以降、枢軸国側で連合国と戦った歴史を一転して認めたオーストリアに違いあるまい。オーストリアを訪れれば日本への“説教”、即ち「歴史を正しく直視し、責任を取る姿勢を持て」(朴氏)が、木霊と化して自らに襲い掛かってしまう。


韓墺国交正常化50周年の2013年、韓国政府は首都ウィーンで記念行事を催したが、文化・芸術一色だった。さらに3カ月後の9月、朴氏はベトナムを訪れた。ベトナム戦争(1960~75年)中、韓国軍はこの国で民間人や捕虜を大量虐殺し、多くの女性を陵辱したが、謝罪は皆無。日本に執拗に要求する「正しい歴史認識」とは何かを自覚し悩む「墺太利(オーストリア)症候群(シンドローム)」や「越南(ベトナム)症候群」に苛まれる時代は来るのか? その日を迎え、初めて一人前の独立国に昇華する。

 《第三の男》の話をもう少し。映画ではなぜ、多数の人々を死なせる質の悪いペニシリンを闇で横流しするオーソン・ウェルズ(15~85年)演じるハリーが暗躍可能で、ハリーの親友・三流作家ホリー(俳優ジョゼフ・コットン/05~94年)が射殺するまで逮捕されなかったのか…。なぜ、ハリーに怒ったホリーが英軍治安当局の囮(おとり)捜査に協力したのか…。

「偉人の捏造」も共通癖

 オーストリアは38年、ナチス・ドイツが併合。独総統アドルフ・ヒトラー(1889~1945年)を歓迎する国民も多かった。ドイツとして将兵80万人を動員し、30万人前後が戦死した。従って1945年のポツダム会談で、ソ連/米国/英国/フランスが墺全土とウィーンを、それぞれ分割統治する方針が決まる。4地区には軍政が敷かれ、各国の主権が保障された。ハリーは、英軍の捜査権が及ばぬソ連支配地を根城に、地下下水道を使い他地区に潜入して闇商売で儲けた。逮捕には、英国支配地におびき寄せる必要があった。

オーストリアは55年に主権回復し永世中立国と成るが、ドイツのように国家分断の悲劇は回避できた。米英ソ首脳発信の《モスクワ宣言=43年》が影響している。宣言では、大戦中の残虐行為を戦争犯罪と指定し、主に独軍将兵とナチス党員を該当者と明記。その際、墺併合は無効と認定された。以来、オーストリアは宣言にすがり、万人単位のユダヤ人虐殺の暗部を覆い隠す。ところが、国連事務総長を経て大統領に就任したクルト・ワルトハイム(1918~2007年)の独軍突撃隊将校という軍歴が暴かれ、自身は残虐行為を否定したが、大統領再選(1992年)を断念。それでも、ユダヤ社会や国際社会は墺非難を高めていく。結局、首相がイスラエルを訪問し、初めて謝罪する。

 オーストリアの「連合国気取り」は終わった。ただ、ヒトラーを独生まれ、ルートウィヒ・ベートーベン(1770~1827年)を墺生まれと偽るオーストリア人が少なからずいるそう。実際は逆だ。

 「偉人の捏造」。哀れな行為に、日韓併合に反対した初代朝鮮統監・伊藤博文(初代首相/1841~1909年)を暗殺した頓珍漢なテロリスト・安重根(アンジュングン)(1879~1910年)を英雄と粉飾し、歴史から絞り出す韓国が透ける。

「連合国気取り」ウィーンにある国連事務局。かつて第二次世界大戦の被害者に成りすまし、「連合国」を気取ったオーストリアはその態度を改めたが、韓国は今なお被害者を装い、歴史の捏造を続けて恥じない=14日(ロイター)

The United Nations Secretariat in Vienna. I pretend to be a victim of World War II, and Austria which posed as "allied powers" changed the manner, but Korea continues still forging the history posing as a victim and is never ashamed

 しかも、オーストリアがやめた「連合国気取り」も続けて尚、平然としている。韓国の教科書にも載るが、2013年9月の《韓国光復軍》創立73周年、韓国メディアは光復軍について講釈した。

 《英軍と連合して1944年のインパール戦闘をはじめ、45年7月までミャンマー(ビルマ)各地で対日作戦を遂行した》

 韓国光復軍は40年9月、中華民国=国民党政権の臨時首都・重慶で立ち上がった朝鮮独立を目指す亡命政府=韓国臨時政府の武装組織。だが、動員計画は遅れに遅れ、創軍1年目の兵力は300人に過ぎぬ。米CIA(中央情報局)の前身で、レジスタンス活動を支援するOSS(戦略諜報局)協力の下、朝鮮半島内で潜入破壊活動を考えたが、日本降伏が先になった。

 45年8月15日、最後の朝鮮総督は日章旗を降ろし、太極旗掲揚を命じたのも束の間。9月、軍政施行に向け半島に上陸した米軍は太極旗を降下させ、再び日章旗を揚げさせる。以後3年間軍政を実施し、臨時政府樹立など論外であった。臨時政府の金(キム)九(グ)主席(1876~1949年)は個人資格で“故国”に帰り、光復軍も武装解除された。韓国は日本を打ち負かして独立したのではない。米国より棚ぼた式に独立を譲ってもらっただけ。金も自伝で憂いた。

《心配だったのは、この戦争で何の役割を果たしていないために、将来の国際関係においての発言権が弱くなること》

 《何の役割も果たしていない》韓国が戦争責任をすり抜けられた理由の一つは、オーストリアのように“ユダヤによる追及の構図”がなかった幸運。ナチスと「喧嘩」しながらもユダヤ人を守った日本の役割は小さくない。だのに、韓国人は被害者たる“ユダヤ人”を装う。

 ところで、韓国外交官にとり墺駐在は出世街道とされる。国連の潘基文事務総長(69)や金星煥・前外交通商相(60)らはいずれも駐墺大使の経歴を持つ。韓国民からオーストリア正史を遠ざける功績が認められたわけではなかろうが…。

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習近平氏の訪韓、自ら招いた孤立打破へ韓国“抱き込む” 6年前と一変した外交環境

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中国の習近平国家主席が初訪韓する目的の一つには、北東アジア地域での外交的孤立を回避したい思惑があるとみられる。4月にアジアを歴訪したオバマ米大統領は、対外拡張姿勢を強める中国を念頭に、日韓や東南アジア諸国との関係緊密化を進めた。習氏は今回、韓国を懐柔し、できるだけ中国側に引き寄せることで、米国主導で形成されつつある“対中包囲網”を崩す狙いがありそうだ。

 中国の最高指導者が前回訪韓したのは、北京夏季五輪が閉幕した直後の2008年8月のことだった。当時の胡錦濤政権は「調和の取れた世界」を外交スローガンに掲げ、日本を含む周辺国と比較的良好な関係を構築していた。

 しかし6年後の今、中国を取り巻く環境は一変した。「中華民族の偉大なる復興」を唱える習体制が12年秋に発足して以降、周辺国とのトラブルが急増し、伝統的友好国の北朝鮮やミャンマーとの関係も悪化した。

 今や周辺の主要国の中で中国との関係が比較的良好なのは、経済と外交で中国への依存を強めている韓国だけと言っていい状況だ。

 習氏は今回、韓国国会での演説が実現した場合、韓国の反日世論も意識して「歴史問題で日本を批判する可能性が高い」(中国の外交筋)とみられている。

 また首脳会談では、日朝両国が拉致問題などで交渉を前進させている状況をめぐり、その対応を話し合う可能性がある。

対北関係は悪化も

 北朝鮮が中国に相談をせず日本と接近したことについては、「中国は大きな不快感を覚えている」(同筋)とされる。

 習氏としては今回、北朝鮮よりも先に韓国を訪問する姿勢を示すことで、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)政権を強く牽制(けんせい)する思惑もある。しかし北朝鮮がこれに反発し、中朝関係がさらに悪化するとの見方も出ている。

 これまで中国の最高指導者は就任後、必ず北朝鮮を先に訪問してきた。また最高指導者の韓国訪問前には別の指導者を訪朝させ、北朝鮮のメンツをつぶさないように配慮している

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北朝鮮側、訪日に前向き 菅長官「必要なら対応」 拉致再調査合意で

北朝鮮の宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使は2日、拉致被害者の安否調査に関する日朝合意を受け、日本政府の招請があれば訪日を前向きに検討する意向を示した。「われわれは今まで日本側の要請を断ったことはない」と北京の空港で記者団に語った。菅義偉官房長官も記者会見で「必要なことであれば、政府として当然対応する。それが日本の基本的な考え方だ」と安否情報の提供を受けるために、北朝鮮当局者を招請することを検討する考えを表明した。

 日スウェーデンでの日朝協議後、経由地の北京で報道陣の質問に答える北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使=2日(共同)

スウェーデンでの日朝協議後、経由地の北京で報道陣の質問に答える北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使=2日(共同)

本による対北朝鮮制裁緩和も明記した5月29日の日朝合意に関し、宋氏は「せっかく合意が成立したのだから、双方が今後、誠実に努力することが重要だ」と述べ、日朝関係の進展に期待感を示した。宋氏は5月26~28日にスウェーデンで日朝政府間協議に出席。30日に北京入りしていた。

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「美味しんぼ」論争・科学者からの反論~非科学的な“風評加害”は許せません

放射線による甲状腺がんは発生しない

 レベルC(線量0.1~0.9シーベルト)は無症状です。ただし、受精から15週までに瞬時にレベルCの線量を受けた妊婦の場合に、流産、奇形、精神遅滞のリスクがあるので要注意です。繰り返しますが、福島の超低線量ではこのリスクはありません。広島と長崎の被災者のなかでレベルC以上(線量0.2シーベルト以上)の生存者は、白血病、胃がん、甲状腺がん、乳がんなどの悪性腫瘍のリスクが高まりました。一方、レベルC未満のケースでは、悪性腫瘍のリスクは見られませんでした。福島県民の外部被曝はレベルDであって、レベルC以上はいません。白血病、固形がんのリスクは増加しないのです

 小児の甲状腺影響の心配に対し、福島県は10メガヘルツのエコープローブ(超音波探触子)を使用して甲状腺検査を実施しています。しかも、確かな疫学調査とするために、ケース(福島県)&コントロール(他県)スタディが実施されています。平成24年度、福島県民13万4074人と県外(青森県、山梨県、長崎県)4365人の両者の甲状腺検査結果に統計的有意差はありませんでした。高分解能超音波エコーを用いた10万人規模の検査は世界でも珍しいものです。通常、100万人に一人の小児甲状腺がんとは、未検査の場合に見つかる甲状腺がんの確率であり、10万人規模の実検査で発見される確率ではありません。県内外の比較で、異常なしのA判定が99.3%(県内)に対して99.0%(県外)、二次検査の必要ありのB判定は0.7%(内)に対して1.0%(外)、直ちに二次検査の必要なC判定は0.001%(内)、に対して0.0%(外)でした。

 すなわちこの疫学調査の結果は、福島の子どもたちに特別な甲状腺の異常は発生していないことを示しています。県内外で、特段の差異は見つかっていません。今回の事例は、多数の検査で、普通の生活のなかで発生するごく稀な甲状腺異常が見つかった範囲です。

 加えて福島県民の甲状腺線量は35ミリシーベルト以下でした。私も、震災の翌4月に浪江町民40人、二本松市民24人、飯舘村民2人の計66人を検査した結果、最大の人でも8ミリシーベルトでした。この値は、チェルノブイリ事故周辺住民の最大線量50シーベルトの1000分の1以下しかありません。

 チェルノブイリと同じリスク係数を当てはめても、放射線由来の小児甲状腺がん年間発生リスクが1000万人に1人以下と予測されます。すなわち、放射線による甲状腺がんは福島県で発生しない、と判断できます。

 福島県の親御さん、心配無用です。

 

政府の誤推定では未来永劫、浪江町に帰れない

 私は先述のように、東日本大震災の翌4月8~10日に福島県民の放射線衛生を調査しました。浪江町民から、残してきた牛たちを見てきてほしいといわれ、末の森に行きました。一人で畑の放射能測定をしていたら、遠くにいた20頭ほどの黒毛和牛たちが集まってきました。飼い主たちがいなくて淋しかったのでしょう。そのなかで下痢や脱毛など、急性放射線障害を示す牛は一頭もいませんでした。これは低線量率の証拠です。現地では、牧畜家の元浪江町議会議長の山本幸男さんに偶然出会いました。それ以来、牛たちの放射線衛生調査を継続しています。最大の悲劇は、政府による非道な殺処分です。牛3500頭、豚3万頭、ニワトリ44万羽、馬100頭が犠牲になりました。民主党政権から始まった風評加害事件はまるで中世の魔女狩りです。

 誤解されるようですが、放射能は伝染病ではありません。放射能は弱まり、消滅する法則があります。半減期が短い核種ほど強い放射線を出しますが、最初に消滅します。半減期が約8日間の放射性ヨウ素は、すでに消滅しています。大気中および体内のセシウムも3年たったいまでは大幅に減少しています。

 福島第一原発の境界敷地でも2日間の測定をしました。胸に装着する個人線量計で積算線量を確認すると、0.1ミリシーベルト。震災元年4月の2泊3日の現地調査では1日当たり0.05ミリシーベルトです。この低線量率は危険でないので、私は持参していた防護服とマスクを着用しませんでした。もちろん当日、私に鼻血はなく、脱毛もなく、いまも髪はフサフサです。

 2年目の3月に、政府が年間50ミリシーベルトを超えると断定し、帰還困難区域と指定した浪江町末の森にある山本さんの自宅で、2泊3日の調査を行ないました。すると1日の実線量は0.05ミリシーベルト、年間17ミリシーベルトだったのです。政府の調査は畑での空間線量率を測り計算しているので、3倍くらいの過大の線量評価になっています。政府の誤った線量推定では未来永劫、浪江町には帰還できません。この地は政府が放置し、まったく除染がされていないのです。放牧地と自宅周辺の除染をすれば、すぐに年間5ミリシーベルト以下に改善できます。

 5月14日、日本人初の国際宇宙ステーション船長を務めた若田光一さんが、半年ぶりに、ソユーズ宇宙船でカザフスタンの草原に帰還しました。そのときの映像をテレビで観ましたが、彼は至って元気そうでした。もちろん、鼻血は垂れていません。宇宙飛行士が、国際宇宙ステーション内で受ける線量率は1日1ミリシーベルトです。この線量率は、地表の平均値の30~300倍です。今回の若田さんの場合は188ミリシーベルトになります。

 私の調査グループは、宇宙飛行士522人の線量と死因を調査しています。522人の宇宙飛行士とアメリカの一般人の死因を比べて、特段の違いは見つかっていません。月面着陸したアームストロング船長は2012年8月に、82歳でこの世を去りましたが、アメリカ人の平均寿命79歳よりも3年長く生きました。

 生命にとって、受けるエネルギーは総量よりも毎日の量がとくに重要です。放射線でいえば、1日当たりのエネルギー=線量・線量率(ミリシーベルト/日)です。生命活動は休みなく持続し、細胞に寿命があって再生されているからです。たとえば、白血球であれば3~5日、小腸栄養吸収細胞が24時間です。だから、各細胞が受けたエネルギーは蓄積しません。宇宙飛行士が健康を維持している理由がここにあります。

 震災から3年たったいま、福島県民の多くは、セシウムによる線量は年間1ミリシーベルト程度か、それ以下です。これは、食品摂取による体内セシウムも含めての値です。線量率は宇宙飛行士の300分の1程度で、健康被害のリスクはまったくありません。食品流通の目的で農地や放牧地さえ除染すれば、20km圏内の産業も再建できます。

 昭和20(1945)年8月、広島は70年間、草木が生えないといわれました。しかし同年10月には、市内電車も全線再開し、人たちも少しずつ戻ってきました。翌年には市内で農作物が収穫できていますし、広島市の女性の平均寿命は日本一に輝いたこともあります(86.3歳、2005年)。当然、福島県は完全に復興できます。

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「美味しんぼ」論争・科学者からの反論〔1〕非科学的な“風評加害”は許せません

<誤認されやすい放射線と放射能の実態を徹底解説/高田純(札幌医科大学教授・理学博士)>

◆無責任な差別表現◆

 未曾有の地震津波に襲われた被災地が復興に向けて歩むなか、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)掲載、雁屋哲氏原作のマンガ「美味しんぼ」が福島県民をいじめています。4月28日発売号では、現地を訪れた主人公の山岡士郎が突然、鼻血を流し、井戸川克隆元双葉町長が「私も鼻血が出ます。今度の立候補をとりやめたのは疲労感が耐え難いまでになったからです。福島では、同じ症状の人が大勢いますよ」と、鼻血の原因は放射線と仄めかす驚きの発言が飛び出しています。さらに、5月12日発売号に掲載された「福島を広域に除染しても人が住めるようにするなんてできない」という福島大学・荒木田岳准教授の無責任な差別表現も見逃せません。

 急性放射線障害を引き起こす線量は、1シーベルト以上です。白血病や発がんの後障害を誘発する線量は0.2シーベルト以上です。これらは瞬時の線量であり、年単位の積算値ではありません。「美味しんぼ」で指摘されているマイクロシーベルトのマイクロはその100万分の1しかなく、急性症状も発がんなどの後障害も絶対に生じない範囲です。

 レントゲン博士がX線の発見で世界最初のノーベル物理学賞を受賞し、その2年後には、マリーおよびピエール・キュリー、アンリ・ベクレルらが放射能の発見で同賞を受賞しました。これらを背景として、低線量率放射線診断であるCT(コンピュータ断層撮影)やPET診断(陽電子放出断層撮影)が発明されて、医学・医療が大きく進歩しています。

 医学界では、放射線の安全利用に努めています。放射線防護学は100年以上の歴史があります。毎時1マイクロシーベルトの超低線量率や毎日1ミリシーベルト低線量率では、人体被害はありません。

 福島の超低線量率放射線にリスクはないにもかかわらず、マンガ「美味しんぼ」による実害が急性に発生しました。人気観光地・飯坂温泉のある旅館では、県外の学校や団体(数百名分)が宿泊をキャンセルしたと5月13日のニュース番組(福島テレビ)で報じています。「美味しんぼ」の表現を気にした保護者からの反対が理由とのことです。医科学を逸脱し、人権問題をも引き起こした小学館は風評加害者であり、出版業の道を踏み外しているといえます。

 3.11の東日本大震災で誘発された福島第一原発事故以来、国内は放射線情報で混乱しました。3年目のいま、あらためて医学物理および放射線防護学の専門家として、放射線の医科学を解説したいと思います。私は震災の翌4月以降、福島第一原発周辺を含む現地を継続的に調査してきました。併せて、現地の超低線量率の現状の真実も読者に向けてお伝えします。

 初めに、放射線とは何かを、皆さんに説明します。おそらく、100パーセントに近い読者が知らない話でしょう。

 放射線とは物質が放射するエネルギーのことで、宇宙に充満しています。その実態は、基本粒子(素粒子)の光(光子)や粒子(電子、陽子、中性子、重イオン)です。各基本粒子のエネルギーで分類すると、熱的作用しかない非電離放射線(赤外線、可視光)と、化学作用を伴う電離放射線の二種です。どちらも生命に不可欠です。

 地球にエネルギーを放射する太陽は巨大な核反応炉で、核融合が46億年も休みなく続いています。惑星のなかで、地球の軌道は生命の誕生と維持にとってちょうどよい線量率の放射エネルギーが届いています。真夏の地表面で、1平方メートル当たり1000Wです。このうち、紫外線、X線、ガンマ線などからなる電離放射線は7%の70Wです。

 太陽からのエネルギー吸収によって、地表では植物や海藻類が光合成をしています。また、動物も吸収した紫外線によって、血中コレステロールからビタミンDを合成します。つまり、生命にとって適度な線量率の太陽放射線によって地球環境は保たれているのです。これが不足すると、骨格形成不良や大腸がんのリスクを増大させます。

 人体が吸収する放射エネルギーの量を線量と呼びます。体重1kg当たり1ジュールのエネルギーを吸収したときの線量が1シーベルトです。その量の1000分の1が1ミリシーベルト、100万分の1が1マイクロシーベルト。皆さんご存じのカロリーもエネルギー単位の一つです。1カロリーは4.2ジュールに等しく、水1グラムを1℃上昇できるエネルギーのことです。つまりマイクロシーベルトとは、微々たるエネルギーだと理解できるでしょう。

 つぎに太陽からの紫外線について、人体が受ける線量率を計算しましょう。肌の露出面積を30×30平方センチメートルと仮定し、毎日30分間、日光浴をしたとします。その紫外線は皮膚近くの毛細血管を流れる血液が吸収します。血流は1分間で全身を一周しますので、紫外線効果は、すぐに全身に行き届くのです。したがって、線量率は190シーベルト/日です。この線量によって日々、体内でビタミンDが合成されています。


◆第五福竜丸の船員ですら鼻血は出なかった◆

 2002年に、私は放射線防護学の研究成果に基づき、放射線の危険度(リスク)を判断するための「線量6段階区分」を発表しました。

 6段階区分は、もっとも危険なAからまったく問題のないFまでに分かれています。AからCが危険な範囲、DからFが安全な範囲です。CとDは10倍の差があり、そのあいだは放射線の取り扱いを職業とする人たちの年間線量限度の範囲にあります(レベルD+)。職業人の線量限度は他産業のリスクと同じレベルにあると考えられています。運輸業での交通事故、医療従事者の院内感染など、どの職業にもリスクはあります。

 レベルA(線量4シーベルト以上)のリスクは死亡です。チェルノブイリ黒鉛原子炉暴走事故の運転職員、東海村臨界事故時の現場職員、広島・長崎の爆発直下の市民、中国の楼蘭地表核爆発周辺住民が、レベルAの線量を受けた事例です。短時間に嘔吐し、下痢症状を示します。

 レベルB(線量1~3シーベルト)では必ずしも致死リスクはないのですが、顕著な急性症状が現れます。症状は、嘔吐、めまい、皮膚熱傷、脱毛、血球数変化などです。「美味しんぼ」で描かれた鼻血が垂れる症状は、レベルBの一般的な症状ではないし、死亡した東海村のウラン燃料会社職員にも鼻血を垂らす症状はありませんでした。しかも、福島第一原発の職員のなかで急性放射線症状を示した職員は一人もいません。

 昭和29(1954)年3月1日、アメリカの水爆実験海域に接近し、核の灰を浴びたマグロ漁船第五福竜丸の船員たちはレベルBに属します。彼らは、核が放射するベータ線による皮膚熱傷、脱毛、頭痛、めまいはありましたが、鼻血は出ませんでした。帰国後、売血輸血の治療が原因で23人中、17人が急性肝炎になったのです。とくに肝臓障害が重かった一人が9月に亡くなりましたが、放射線が原因で死んではいません。

 私は、マーシャル諸島のロンゲラップで暮らした島民の調査を二度、1999年と2005年に実施しましたが、島民たちに急性肝炎も鼻血の症状も見られませんでした。皮膚熱傷、脱毛、血球数減少の急性症状です。64人中、一人の少年が後年、白血病で亡くなりました。線量はレベルBでした。当時レベルBだったロンゲラップの島民でさえ鼻血がないのに、レベルD以下のいまの福島で鼻血が出ることは絶対にありえません。

 当時の放射能を比べると、ロンゲラップは福島の1000倍以上です。北海道がんセンターの西尾正道名誉院長の発言「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」(5月24日付『朝日新聞』)は、まったくありもしない妄想です。非科学的な風評加害は許せません。

(『Voice』2014年7月号より/〔2〕福島県の親御さん、心配無用です 

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