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尖閣周辺海域を守るのはイージス艦を擁する佐世保の第2護衛隊群と呉の第4護衛艦隊群から臨時編成される海自護衛隊群だ。周辺にはAIP(非大気依存推進システム)潜水艦の「そうりゅう」や「おやしお」など数隻の潜水艦を遊弋させ、万全の態勢をとる。
近代化を進める中国海軍の戦力は侮れないが、カタパルトを持たない空母「遼寧」は未だ武器弾薬を搭載した艦載機を発艦できず、戦力としてはほぼ無意味だ。中国版イージス・システムも性能が疑問視されており、「張り子の虎」と見る専門家は多い。
航空兵力では、J-10やJ-11など最大で百数十機の「第四世代機」が尖閣紛争に投入される可能性がある。対する日米軍は主力戦闘機のF-15を70機程度、F-2を20機程度投入することが可能だ。米空母の艦載機F-18を入れれば最大で160機ほどの戦闘機が投入可能で、航空優位を保つことができる。このケースでは米軍主体で航空作戦が展開される可能性が高い。
軍事ジャーナリストの清谷信一氏はこう指摘する。
「約200機ある自衛隊のF-15の半数は近代化改修されておらず、米軍機との間で敵、味方、位置情報のデータリンクができません。そのため、航空自衛隊が米軍と共同作戦を行なうのは難しい。米軍が作戦に参加する場合、『空戦は自分たちに任せろ』ということになるかもしれません」
大量飛来する中国軍機に対抗するため嘉手納基地からF-22ラプターが投入されることも考えられる。2006年に米国で行なわれた模擬演習では、144機のF-15をラプター1機で撃墜したとの報告もある。
「ラプターは突出した機動力とステルス性能を誇り、世界最強の戦闘機と言われています。ラプターと戦うのは、いわば透明人間と鬼ごっこをするようなもの。1機で約10機程度の第四世代機を相手にできる実力があります。仮に20機程度が投入されれば無傷で中国軍機を殲滅できるでしょう」(軍事アナリスト・毒島刀也氏)
魚釣島奪還作戦は、陸自の西普連と米海兵隊による日米合同作戦になる。島嶼防衛、離島奪還を主任務とする「西部方面普通科連隊(西普連)」は2005年から米海兵隊との合同演習「アイアン・フィスト」を実施してはいるが、魚釣島奪還作戦の主体となるのは、ここでも経験豊富な米海兵隊だ。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏が語る。
「尖閣周辺の制空、制海に問題がなくなれば、米軍は普天間の海兵遠征部隊MEUを投入するでしょう」
武装兵が対空砲や対戦車砲を所持していることが判明すれば、1次攻撃は航空機によるピンポイント爆撃が実施される。陣地を叩いたのち、オスプレイから落下傘で投下された海兵隊員が残党を制圧。続いて洋上からLCAC(エアクッション艇)で上陸した西普連隊員が加わり武装兵の確保に当たる。
米軍が参加した場合、魚釣島奪還作戦は日米軍の圧勝に終わり、中国は尖閣への野心を捨てざるを得ないだろう。