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目の前に広がっていた光景はまさに異様だった。42万平方メートルの建設面積で、アジア最大といわれる北京南駅の入り口ゲートの前には、自動小銃などで武装した黒ずくめの屈強な男たち数人が乗降客を威嚇するように、横一列に並んでいた。(
昆明事件からほぼ1カ月後の4月30日には新疆ウイグル自治区のウルムチ駅で爆弾が破裂し、3人が死亡し、79人が負傷するという惨劇が起きた。さらに、その6日後の5月6日には広東省の広州駅でも男が刃物で乗客らに切りつけ6人が負傷する事件が発生した。
それから、ほぼ2週間後の22日、再びウルムチの朝市で爆弾テロが発生し、死者39人、負傷者91人という惨劇が繰り返された。
中国英字紙チャイナ・デーリーはこれらの事件について、「驚くべき類似性があり、中国全土に衝撃を与えた」と伝えた。「2度あることは3度ある。3度あることは4度ある」ではないが、今後も中国各地の主要駅や主要施設で同様のテロ事件が繰り返される可能性は否定できない。
このため、中国の警察トップ、郭声●(王へんに昆)・公安相は6日夜には湖南省長沙に飛び、長沙駅を視察した。22日の事件では急きょ、ウルムチに飛んだ。同省次官で北京市公安局長を兼務する傅政華氏も北京市内の各駅を巡回。やはり同省次官の劉彦平氏は上海に赴き、上海駅や近隣の江蘇省蘇州駅などを回り、厳重警備を指示した。
中国各地では駅構内やショッピングモールなどで、「通り魔だ」と一声叫ぶと、数百人の群衆が一斉に悲鳴を上げ、われ先に逃げ出すなどのパニック状態に陥る現象が多発しているという。
中国が「第2の中東」と化すのかどうかは即断できないが、「中国はテロに怯えている。それだけでも実行犯の目的は達したのではないか」というのが筆者の偽らざる実感だ。