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時代を見通す日本の基礎情報

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 国内“借金漬け”で機能不全か沈没船”韓国から英米金融が続々脱出

韓国の金融市場に異変が起きている。海外の投資家が株式や債券に投資した資金引き揚げを加速させると、カネの切れ目は縁の切れ目とばかりに、外資系の大手金融機関が相次いで韓国からの事業撤退や縮小を決めている。一方で家計の債務は“借金漬け”の状態で、金融機関の経営や消費への打撃が懸念される。八方ふさがりのなか、朴槿恵(パク・クネ)政権は解決策を見いだせるのか。

 今月5日、英金融大手のHSBCホールディングスは韓国での個人取引と資産運用部門を閉鎖し、11カ所の支店中10カ所を閉鎖することを明らかにした

 米金融大手のゴールドマン・サックスグループも昨年11月、2007年に開始した韓国での資産運用事業から撤退を発表、オランダ保険大手のINGや英保険大手アビバも韓国事業の売却や撤退を進めているという。

 グローバル展開する金融機関では、拠点の縮小や撤退はよくあることだが、韓国から急いで脱出しているようにも見える。

 朝鮮日報の報道によると、外資系金融機関を招致するためにソウルの金融街に国際金融センタービル3棟が建設されたが、「3号棟は入居希望企業がまったくなく、2号棟の入居率は38%とガラガラ、1号棟も外資系大手金融機関は入居していない」という

 外資撤退の背景にあるのが、アジアなど新興国からの資金引き揚げが進んでいることだ。2008年のリーマン・ショックで落ち込んだ経済を立て直そうと、米欧の中央銀行が大規模な金融緩和を行い、投資家のマネーは高成長が期待される新興国に流れ込んだ。

ところが、新興国の成長鈍化懸念が浮上するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策が年内にも縮小される可能性が浮上すると、投資家はいち早く資金を回収しようと、新興国の通貨や株式、債券を売り始めた。

 「投じられた資金が大きければ大きい国ほど、通貨、株式、債券の値下がりが大きい」(準大手証券ストラテジスト)という構図だ。

 韓国の金融市場も縮小傾向だ。2011年に世界首位だったデリバティブ(金融派生商品)の取引規模は急減し、今年1~6月には11位にまで転落している。

 株式市場の時価総額も昨年末時点に1262兆ウォン(約112兆円)あったのが、6月末には1200兆ウォン(約106兆円)まで減少、約6兆円が失われた。

 また、4~6月期の韓国への海外からの直接投資は、前年同期に比べ3・3%減少した。日本からの投資が半分以下に減ったことが響いている。

 韓国経済にとっては、株や債券の暴落が景況感を悪化させるうえ、中国をはじめとする新興国を対象とした取引のウエートが大きいため、経済を支える輸出入に大きな打撃となる。

 泣きっ面に蜂となったのが、アベノミクスによる円安ウォン高だった。「ウォン安や景気回復のために利下げを行えばキャピタルフライト(資本流出)が、資金流出の回避目的で利上げすれば株式や債券の下落は続くし、景況も一段と悪化するジレンマに陥っている」(前出のストラテジスト)

 海外からの資金が引き揚げられる一方、内需にも頼れないのが韓国経済の実情だ。韓国の家計の負債は年々増え続け、今年3月時点で約961兆ウォン(約85兆円)と、2012年の名目国内総生産(GDP)の約75%にも相当する
韓国経済に詳しい日本総合研究所上席主任研究員の向山英彦氏はこう解説する。

 「家計の負債が大きい要因は3つある。1つは投資目的のものを含めて住宅ローンが増加したこと、第2に韓国の大企業ではサラリーマンが40代後半から50代で肩たたきされること。再就職は難しいため、多くの人が個人で店を持ち、事業資金の借り入れを行っている。そして第3に、景気低迷で生活が厳しい低所得層がノンバンクからお金を借り入れている

 住宅価格の下落や景気悪化で負債が焦げ付けば、お金を貸している金融機関の破綻につながる恐れもあるため、韓国政府の危機感も強い。

 向山氏は「朴政権は、債務免除や高金利ローンの金利を下げるなどの救済策を行っているが、家計のバランスシートを改善しようとすると、消費に力強さがなくなるというジレンマを抱えている」と指摘する。

 韓国政府など公共部門の負債額は1500兆ウォン(約133兆円)に達しており、公的資金による救済にも限界がある。

 海外の資金は流出し、国内は借金漬け。経済の血液といわれる金融は機能不全の状態だ。

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ところが、新興国の成長鈍化懸念が浮上するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策が年内にも縮小される可能性が浮上すると、投資家はいち早く資金を回収しようと、新興国の通貨や株式、債券を売り始めた。

 「投じられた資金が大きければ大きい国ほど、通貨、株式、債券の値下がりが大きい」(準大手証券ストラテジスト)という構図だ。

 韓国の金融市場も縮小傾向だ。2011年に世界首位だったデリバティブ(金融派生商品)の取引規模は急減し、今年1~6月には11位にまで転落している。

 株式市場の時価総額も昨年末時点に1262兆ウォン(約112兆円)あったのが、6月末には1200兆ウォン(約106兆円)まで減少、約6兆円が失われた。

 また、4~6月期の韓国への海外からの直接投資は、前年同期に比べ3・3%減少した。日本からの投資が半分以下に減ったことが響いている。

 韓国経済にとっては、株や債券の暴落が景況感を悪化させるうえ、中国をはじめとする新興国を対象とした取引のウエートが大きいため、経済を支える輸出入に大きな打撃となる。

 泣きっ面に蜂となったのが、アベノミクスによる円安ウォン高だった。「ウォン安や景気回復のために利下げを行えばキャピタルフライト(資本流出)が、資金流出の回避目的で利上げすれば株式や債券の下落は続くし、景況も一段と悪化するジレンマに陥っている」(前出のストラテジスト)

 海外からの資金が引き揚げられる一方、内需にも頼れないのが韓国経済の実情だ。韓国の家計の負債は年々増え続け、今年3月時点で約961兆ウォン(約85兆円)と、2012年の名目国内総生産(GDP)の約75%にも相当する
韓国経済に詳しい日本総合研究所上席主任研究員の向山英彦氏はこう解説する。

 「家計の負債が大きい要因は3つある。1つは投資目的のものを含めて住宅ローンが増加したこと、第2に韓国の大企業ではサラリーマンが40代後半から50代で肩たたきされること。再就職は難しいため、多くの人が個人で店を持ち、事業資金の借り入れを行っている。そして第3に、景気低迷で生活が厳しい低所得層がノンバンクからお金を借り入れている

 住宅価格の下落や景気悪化で負債が焦げ付けば、お金を貸している金融機関の破綻につながる恐れもあるため、韓国政府の危機感も強い。

 向山氏は「朴政権は、債務免除や高金利ローンの金利を下げるなどの救済策を行っているが、家計のバランスシートを改善しようとすると、消費に力強さがなくなるというジレンマを抱えている」と指摘する。

 韓国政府など公共部門の負債額は1500兆ウォン(約133兆円)に達しており、公的資金による救済にも限界がある。

 海外の資金は流出し、国内は借金漬け。経済の血液といわれる金融は機能不全の状態だ。

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