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ユリア・リプニツカヤ
フィギュアスケートは13日の男子SPを皮切りに、いよいよ山場に入る。最後に控える女子フィギュアを前に、韓国メディアが、キム・ヨナの“金色ファイナル”に向けた興味深い記事を展開した。前哨戦といえる団体の女子ショートプログラム(SP、8日)の浅田真央の3位に終わった演技を取り上げ、「ライバルは浅田ではない」とし、一方でSPで1位の得点をたたき出した15歳のユリア・リプニツカヤ(ロシア)に急遽、方向転換、焦点を絞り始めた。
リプニツカヤの演技をめぐっては、日本でも驚きをもって報じられたが、ついこの間まで日本の報道陣を上回る数で浅田を追いかけ回していただけに、変わり身の早さは相変わらず。浅田の演技を見守った安倍晋三首相が「沈痛な表情を浮かべた」などと余計なことまで報じてもいる。
浅田の8日の演技を振り返ってみよう。直前にリプニツカヤが演技し、地元の大歓声で会場は異様な雰囲気に包まれた。これに浅田は「緊張してしまった。不安が出てきました」。平常心を保てなかった浅田は冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の着氷に失敗して転倒。その後も普段の演技とはほど遠く、精彩を欠いた。
すると、10日付の中央日報(電子版)は「キム・ヨナのライバルはすでに変わったようだ。浅田真央は尻もちをつき、ロシアのユリヤ・リプニツカヤは羽ばたいた」と報じた。練習でたびたび成功させたトリプルアクセルの失敗で、日本のスポーツ紙が「不安を残す演技」「五輪の重圧」などと報じたことを踏まえ「浅田が団体戦で失敗したため雰囲気は反転した。自信が落ちる危機に陥った」とまで伝えた。
一方で「リプニツカヤの勢いは恐ろしかった」。具体的な技術論も展開し「SPの難易度(基本点31・93点)はキム・ヨナの演技(基本点32・03点)に劣らない。かなり難しい演技をリプニツカヤはミスなしでやり遂げた」と分析した。
もちろん、これだけでは終わらない。世界選手権5度優勝などの実績がある米国のミシェル・クワンに登場願い、「女子シングルではキム・ヨナが優勝する可能性が高い。リプニツカヤはまだ若く大変な挑戦になるだろう」という言葉で力量差を印象づけている。
ただ韓国メディアも認めるように、15歳で輝くばかりの可能性を示したリプニツカヤ、失敗したとはいえ団体戦の経験を個人戦に生かす機会を得た浅田に対して、団体戦のなかったキム・ヨナと本番の舞台での実戦経験値で差がつくのは事実だ。そのあたりも加味して、さて、メダルの行方はどうなるのか。注目のSPは19日、決戦のフリーは20日(いずれも現地時間)に行われる