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あなたの背中&腰の痛み…正体は「内臓の病気」だった

(C)日刊ゲンダイ
「腰や背中が痛い」と言って、マッサージや鍼灸院や整形外科に通う中高年は多い。確かにその多くは筋肉や関節の異常だが、背中や腰の痛みの中には内臓の病気が隠れていることがある。あなたは大丈夫?

「筋肉や関節などに関連する痛みは体を動かしたときに生じ、痛みのポイント(圧痛点)がはっきりしています。しかし、内臓の痛みの多くはどんな体勢や処置でも変わらない。特に心当たりもなく、いつもと違った腰痛や背部痛があったときは早めに内科で診てもらうことです」

 こう言うのは腎臓病の専門医で、「松尾内科クリニック」(東京・桜新町)の松尾孝俊院長だ。

 なぜ、背中や腰の痛みが内臓の病気と関係するのか?
「そもそも肩や腰などの痛みと内臓の痛みはどちらも脊髄を通って脳へ伝えられます。このとき、脳が筋肉と内臓の痛みを取り違えることで、内臓の痛みを肩や腰の痛みに感じてしまうのです。これを『関連痛』といい、肩や腰の痛みは内臓の病気の重要サインになるのです
松尾院長が最も多く経験する内臓の病気が引き起こす腰痛・背部痛は感染症だという。

 デスクワークが中心の40代の男性は、10日ほど前から体のだるさに加え、腰の鈍い痛みに悩まされていた。マッサージにも通ったが、症状は一向に改善しない。ついには熱が出てきたため病院に駆け込んだところ、前立腺炎だった。

「この男性は抗生物質を服用することで完治しましたが、“なんとなく腰が痛い”という男性に前立腺炎は珍しくありません。一方、女性で多いのは腎盂炎です。女性の尿道は3~5センチと短く、膣や肛門と近いため膀胱炎になりやすく、そのまま腎盂炎になるケースもあるからです」(松尾院長)

「背中が痛い」と訴えてきた人の中には、ストレスや過労による帯状疱疹が原因だったケースもあるという。

「数日前に来院された30代の男性はその後、背中に発疹ができたため、病名に納得したようですが、それまでは“整形外科に行くべきですか?”と内科の受診は間違いではないか、と疑っていました」(松尾院長)
背中や腰に痛みを引き起こす病気の中には消化器が原因のものもある。
「例えば胃潰瘍は腹痛やみぞおちの痛みが一般的ですが、腰痛を訴える人もいます。通常の腰痛との違いは食後に痛みが出ること。一方、十二指腸潰瘍は空腹時に腹痛が生じ、食事をすると治まるという特徴があります」

 肝臓で分泌される胆汁の貯蔵などを行う胆のうが原因となることも。
「胆石は胆汁の成分が固まってできる。胆石が原因で発熱などが起こる病気が胆のう炎ですが、腰痛や背中の痛みを伴うことがあります」(都内の消化器専門医)

 お酒を飲んだとき、右肩に不調が起きる人は肝臓に注意が必要だ。
「肝臓・胆のうからつながる神経と右肩からの神経は同じルートを共有していて脳が勘違いするからです。同じ理屈で背中に痛みがある場合は、すい臓の痛みに気をつけた方がいい」(都内の消化器専門医)

 なお、コノ手の話の中には腎臓がんが紹介されるが、実際には珍しいケースだと松尾院長は言う
「腰痛や背中の痛みからがんが発見されるとしたら、骨に転移しているケース。大抵はその前に、他の症状からがんは発見されます」

 また、腰痛や背中の痛みを引き起こす命に関わる重大病として「狭心症」「心筋梗塞」「急性すい炎」「大動脈解離」「腹部動脈瘤」などがあるが、これも突然の耐え難い激痛により、病院にすぐに行くため放置されることは少ない。むしろ問題なのは放置されやすい鈍い痛み。覚えておこう

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