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「本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい」
なるほどあれから20年余がたつが、慰安婦問題はいまだに国際的にも関心が寄せられており、民間の研究も進んだ。河野談話がそれらに「十分に関心を払っていく」と強調したのは、国際環境や最新の調査・研究に従い、談話自体も不断の見直しを図るという表明とは読み取れないか-。
折しも27日、問題意識を共有する約10団体でつくる「『慰安婦の真実』国民運動」(加瀬英明代表)が内閣府の担当者に、慰安婦問題の再調査と河野談話撤廃を求める請願書を手渡したので取材した。
請願書は、河野談話の根拠となった韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査が極めてずさんな内容だったことを受けて、政府に次の5点を求めている。
(1)慰安婦問題についての専任大臣を置き、問題を再調査して真相究明を行う(2)再調査の一環として国会で河野氏を喚問する(3)元慰安婦の証言の裏付け調査を行う(4)他国軍隊の「慰安施設」と旧日本軍のそれとを比較検討する(5)再調査の結果、「強制連行」が証明されなかった場合、ただちに河野談話を正式撤回する。
いずれも至極もっともな主張であり、河野談話の締めくくり部分の趣旨にも合致する。内閣府の担当者も真剣な表情でメモを取りつつ説明を受け、こんな率直な感想を漏らしていた。
「河野談話については、(作成にかかわった)石原信雄元官房副長官もかなり以前からインタビューなどで事実認定というより政治的文書だったという発言をされていた。個人的な感想では、(談話は)事なかれ主義というかその場を取り繕ったというか…」
そんな河野談話の弊害について、「国民運動」幹事で在米の陶守倶行(すもり・ともゆき)氏が訴えた言葉が印象的だった。
「米国では、日本人の子供たちがつばを吐きかけられたり、韓国人の子供に取り囲まれて『お前たちの国はひどいことをやった』といわれたり、そういう問題が起きている。子供たちがかわいそうだ」
また、同じく幹事の藤岡信勝拓殖大客員教授は「河野談話によって、日本は世界で相当ひどいことをやったとみられている」と語り、河野談話を引用した2007年の米下院の対日非難決議の問題点を示した。
「決議には慰安婦の四肢切断という残虐な言葉まで出てくる。日本にはそんな慣習はないが、抗議しても米側に『でも、日本政府が認めているじゃないか』と理解してもらえない」
もちろん、河野談話を撤回すれば問題がすべて解決するというわけではない。ただ、一挙にそこまで行かずとも、談話の作成過程とその結論の欺瞞(ぎまん)性を再調査して明らかにすることで、談話が垂れ流す害毒は薄められるはずだ。安倍政権には、いずれその決断を望みたい