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時代を見通す日本の基礎情報

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サムスンから技術だけ盗まれ“用なし”クビ日本人が急増中!?

経営再建中の半導体大手・ルネサスエレクトロニクスは、同社の早期退職優遇制度に7511人の応募があったと発表した。会社側が想定していた5千数百人を大きく上回る結果となった。一部では整理解雇に踏み切るのではと噂されていたが、杞憂に終わったようだ。

 ただ、人材の地盤沈下は予想以上に深刻だ。早期退職の対象にならない若い優秀な人材までもが、新天地を求めて辞めているケースが目立つからだ。一方、かつて韓国メーカーから引き抜きにあって海を渡った技術者たちも、「クビ」になり国内に職を求めるケースが増えている。半導体関連の人材市場が、「再就職」をめぐり、かつてないほど賑わっている。

●買い手市場の半導体技術者

「人材の質が3ランクくらい一気に上がった」。都内ベンチャー企業の社長はこう語る。同社はソフト開発が主力だが、ここ数年、半導体関連ビジネスの事業を拡大している。「昨年まではなかなか人が採れなかった」が、年初以降、「完全な買い手市場」といい、自然と笑みもこぼれる。気になるのは応募してくる層。「ルネサスやエルピーダメモリ出身の30代半ばまでが多い。会社に切られたというより、会社を見切った人が多い」と指摘する。

 ルネサスなどからの流出組が駆け込むのは、ベンチャー企業だけでない。ルネサスの競合である米フリースケール・セミコンダクタは、今秋までに、年初に比べて自動車向け半導体の技術者を3倍に増やした。「市場には人があふれているからね」と同社関係者はささやく。

●米インテルはエルピーダ流出組に食指

 海外大手では、世界最大の半導体メーカー・インテルが、エルピーダ出身技術者の囲い込みに動いているとの観測も広まる。インテルは、デジタル機器の頭脳の役割を果たすMPU(超小型演算処理装置)が主力。エルピーダは記憶用途に使うDRAMの専業だが、半導体業界では周辺技術を取り込んだシステムでの納入が今後増える見通し。メモリー技術の重要性も増しており、エルピーダ出身技術者の人気も高い。国内の外資系メーカー幹部は「人材紹介会社から、エルピーダ出身技術者の紹介も増えている」と語る。

●韓国からの出戻り組も急増?

 前出のベンチャー企業社長によると、もうひとつ大きな変化があるという。

 サムスンなど韓国企業に在籍する日本人からの応募が、急に増え始めたというのだ。社長は「履歴書を見ると、日本の一流電機メーカーに在籍した後、サムスンに転職したケースがほとんど。韓国企業に引っ張られたが『用なし』になったのでしょう」と推測する。つまり、サムスンが技術を盗むために引き抜いたが、盗み終えたため、彼らを雇用していく積極的理由がなくなったというわけだ。

 彼らは数カ月の猶予を与えられ、その間に職探しに奔走しているという。このベンチャー企業とは別の半導体設計会社の幹部も、「韓国からの『逆輸入』技術者が採用に応募してきた」と語っており、出戻り組は増えているようだ。国内の半導体関連市場は、ルネサス、エルピーダ、そして韓国からの逆輸入組が、三つ巴で椅子を奪い合っている状態というわけだ。

 ルネサス、エルピーダが沈みゆく船であることは間違いない。一方、ぬるま湯である日本の半導体メーカーから出て生き残るには覚悟が必要だが、人材紹介会社の社員は「今のタイミングで飛び出すことは正解だろう」と語る。残るも地獄、飛び出すのも地獄ならば、新天地を求めるのは当然。

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