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時代を見通す日本の基礎情報

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再燃する「韓国軍ベトナム人虐殺事件」から考える

ベトナム戦争に参戦した韓国軍の民間人虐殺についてこの前、触れた。月刊誌「正論」7月号に続き、たまたま今月10日発売の月刊情報誌「SAPIO(サピオ)」(小学館)8月号がこの問題を特集している。ここに来て、韓国軍によるベトナム人虐殺という問題が再燃した感がある。

ライダイハン…歴史を忘れたのはどちらか韓国軍がベトナム各地で行った大虐殺。強姦した少女を焼き殺す(1=ベトナムの慰霊廟)など、犠牲者3万人にも推計されるという(月刊誌「正論」7月号の特集ページから)

韓国軍がベトナム各地で行った大虐殺。強姦した少女を焼き殺す(1=ベトナムの慰霊廟)など、犠牲者3万人にも推計されるという(月刊誌「正論」7月号の特集ページから)

 慰安婦問題でことあるごとに歴史認識を持ち出す朴槿恵大統領と、反日に狂喜する韓国国民の姿勢が、この問題の再燃という事態を招いたといってよい。韓国人ブロガーで、日本で出版した「韓国人による恥韓論」が評判になっているシンシアリー氏も今回、「SAPIO」に寄稿し次のようにいっている。

 「韓国は日本に対し謝罪と反省、そして賠償の“おかわり”を執拗(しつよう)に求めているが、自国の戦争犯罪についてはいっさい振り返ろうとしない。嘆かわしいかぎりだ。(略)朴槿恵大統領は日本に対して『歴史を忘れた民族に未来は無い』と傲岸不遜に言うが、歴史を忘れたのはどちらなのか」

 このような見解を持っている韓国人はごく少数ではあろう。だが日本人の気持ちを代弁している。というより、これが未来志向の国際人の考え方ではないだろうか。どの国にも暗い過去はある。そこから教訓をくみ、なお未来に向けて他国と関係を築いていこうとすることが、国際時代に必要なことではないか。

 筆者の考えでは、それが国際時代に、なお国民として誠実に生きるということだ。国家をいたずらに罪悪視したり、世界市民的な理念でもって国家を軽視したりするのではなく、国家を自分のなかで受け止め、かつ将来に向かって自ら開いていくべきなのである。

 それなのに自らの過去は見ず、70年以上前の日本の過去をいまだに執拗(しつよう)に言い募る。そんな国は自分で首を絞め、国際的にも孤立していくだろう。自らが天に向かって吐いた唾は、自分の顔にそのまま降りかかってくる。

虐殺3万人…金大中“談話”を封印した「退役軍人13万人の希望」朴大統領

自国の過去は見ない朴槿恵氏

 「SAPIO」は雑誌「正論」と同じく、ベトナムで現地調査を行った北岡正敏・神奈川大学名誉教授らの報告を特集の軸の1つにしている。ベトナムでは各地に、韓国軍によってなされたとされる虐殺の犠牲者を悼む慰霊碑が建てられている。北岡氏らはそれらを調査し聞き取りを重ねた。1万から3万人の虐殺が推計されるとのことである。また1999年、韓国左派系のハンギョレ新聞社の雑誌「ハンギョレ21」がベトナム人虐殺問題を追及するキャンペーンを始め、それに反発する元軍人組織(枯葉剤戦友会)がハンギョレ新聞社を襲撃した事件も、同誌で取り上げられている。

 これらについては前回の当欄でも少し触れたので、今回はこれにとどめる。前回、触れていなかったことを書く。「SAPIO」によると、朴槿恵大統領はこの枯葉剤戦友会とつながりがあるとのことだ。

 2007年、朴氏は戦友会本部を訪ね、会への支援を表明した。また2011年の戦友会定時総会にも朴氏は現れ、会は「退役軍人13万人の希望、朴槿恵」という歌を歌って歓待した、と同誌は伝える。朴氏にしてみれば2012年の大統領選に向け、多くの支持がほしかったのだろう。

 実は朴氏と退役軍人組織とのつながりは、これまでも伝えられていた。韓国メディア、中央日報によると、1998年、金大中元大統領がベトナムを訪問し、「ベトナムの国民に苦痛を与えた」と謝罪した。これに反発したのが当時野党だったハンナラ党(現セヌリ党)副総裁の朴槿恵氏だった。

 「参戦した勇士らの心と大韓民国の名誉を大きく傷つけた」

 なんと朴氏は、そういって金元大統領を批判していた(2009年10月21日電子日本語版)。自らの国の過去を見ることはけしからんというのだ日本に対して執拗に「正しい歴史認識」や「歴史の直視」を求めている朴氏が、自国の過去となるとまるで反対の姿勢なのである

日本を攻め、ベトナムを受け入れない“分裂”…“宗主国”もウイグル弾圧

冷静に事実を語らしめよ韓国軍がベトナム各地で行った大虐殺。強姦した少女を焼き殺す(1=ベトナムの慰霊廟)など、犠牲者3万人にも推計されるという(月刊誌「正論」7月号の特集ページから)

韓国軍がベトナム各地で行った大虐殺。強姦した少女を焼き殺す(1=ベトナムの慰霊廟)など、犠牲者3万人にも推計されるという(月刊誌「正論」7月号の特集ページから)

 自国と他国に対する、この歴史についての真逆の姿勢が歴史問題をややこしくしている。どの国にもそれはありがちなものだが、韓国は極端すぎる。過去を見つめ未来に向かっていこうとする姿勢など、どこにも感じられない。あるのはただただ反日なのだ。

 その韓国を取り込んで反日カードに使おうとしている中国も、歴史についての真逆の姿勢では同じ。70年以上前の過去をいま言い募るなら、文化大革命の虐殺の歴史、直近の天安門事件、そして現在、新疆ウイグル自治区などで行っている弾圧を見よということになる。

 執拗な歴史攻撃に対して、日本は黙っている必要などない。期せずしてだが今回起こってきた韓国軍によるベトナム民間人虐殺問題は、日本の中からおのずと出てきた反応といえる。ただ、過去の応酬合戦にしなくてよいと筆者は考える。日本は中韓と同レベルに堕するべきではない。

 事実を事実として、冷静に語らしめていくべきである。また前回触れたように、慰安婦問題を韓国内であおる「韓国挺身隊問題対策協議会」のような反日団体がベトナム問題でも動いている。日本がそれと一線を画すべきなのも無論である。

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