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小笠原諸島(東京)の西之島で続く噴火活動は、約40年前の前回噴火を上回る規模に達したことが東大地震研究所の分析で分かった。新たに形成された陸地面積は昨年11月の噴火当初と比べて80倍に拡大。増加率はやや低下したが、専門家は活発な活動がいつまで継続するか注目している。(黒田悠希)
西之島は昨年11月20日、噴火による新たな陸地の出現が確認された。新島は溶岩流でほぼ同心円状に拡大し、昨年末にはもともとの西之島と合体。最も高い場所の標高は70メートル以上で、昨年末の倍近くに成長した。
東大地震研の前野深(ふかし)助教らは国土地理院の地形データなどを使って、昨年11月上旬とみられる海底噴火から今年4月中旬までに噴出したマグマなどの総量を推計。その結果、噴出量は東京ドーム約20杯分に相当する2500万立方メートルで、1973年から約1年半続いた前回噴火の2400万立方メートルを上回った。
島の成長率を示す1日当たりの噴出量は、当初の10万~15万立方メートルから2~3月は30万立方メートルに増加。4月中旬は20万立方メートル程度に減ったが、一時的な変動の可能性もあり、上空から観測している海上保安庁は「噴火活動は現状ではほぼ一定」としている。
前野助教によると、4月中旬までに誕生した陸地は80万平方メートル。東京ディズニーランドの約1・5倍の広さだ。ただ、1日当たりの拡大面積は4千平方メートルでピーク時の6割に低下した。
新島は当初、前回噴火で水深が浅くなった場所に噴出物が堆積したため、陸地ができやすかった。だが周囲にいくほど水深は深く、海底が埋まりにくくなっているとみられ、海保は「面積の増え方は減ってくるのでは」としている。
前野助教は「海底噴火で始まり新島が残った火山噴火は、国内では前回の西之島と1934年の薩摩硫黄島(鹿児島県)ぐらいしか知られておらず、非常に珍しい。どのように島が成長するのか興味深い」と話す。
西之島の噴火はいつまで続くのか。マグマの供給状態によっては、突然終息する可能性もあるが、無人島で観測網がないため予測は難しい。火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授は「噴火活動の傾向や継続期間は現状では分からない。さらに観測が必要だ」と話している