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2006年にアメリカで発表された研究のように、移民の流入による賃金の変化を見た結果、自国民の賃金は実際に上がっていたなど、各種データは移民の必要性を示している。ただし、人の営みはデータだけでは測れないし、国柄の違いも大きい。経済評論家の三橋貴明氏は「日本経済再生に移民は不要」と断言する。
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移民受け入れには断固、反対だ。内閣府の経済諮問会議ワーキング・グループは「少子高齢化で生産年齢人口が減れば経済成長ができない」などと移民受け入れを提唱するが、それは明らかなまやかしだ。生産年齢人口が減っても経済成長はできる。彼らが移民受け入れに積極的なのは、決して「100年後の日本」のためではない。真の狙いは「短期的な外国人労働者の拡充」である。
だが、労働力不足を補う目的で安易に移民を受け入れれば、将来的にさまざまな社会問題が噴出するのは諸外国の例を見ても明らかだ。
たとえば台湾では、馬英九政権が実質的な中国系移民の受け入れを推進した結果、安価な賃金の中国人労働者と台湾人の間で賃金競争が激化し、台湾国民の所得がまったく伸びなくなってしまった。
昨年の台湾の実質賃金は15年前の水準を下回っている。かつては1世帯で3~4人の子供を養えたが、現在は1~2人がやっとという状況だ。
また、台湾における中国系移民の出生率は上がっているものの、全体の出生率は2010年に0.895まで低下した。直近でも1.07という世界最低水準のままである。賃金が上がらない中では子育てする余裕がないからだ。
移民受け入れを議論する上で決して無視できないのが、移民の出生率の高さだ。移民の第1世代はマイノリティだったとしても、世代を重ねることで勢力が拡大される。
EU諸国ではそうした傾向が顕著に現われている。スペインの外国人比率は1980年代まで1%程度だったが、今では15%に迫っている。ドイツやスウェーデンも人口の約15%は外国人だ。スウェーデンでは移民の失業率が16%に上る。
若い移民に至っては約40%に上る都市もあり、社会保障制度を蝕んでいる。文化や宗教上の対立など、移民を巡る社会問題も深刻だ。また、EU諸国からの移民が急増したスイスでは今年2月、移民流入規制を巡る国民投票が実施され、過半数の50.3%が流入規制に賛成票を投じた。
日本政府は毎年20万人の移民を受け入れることで100年後も人口1億人を維持できると試算するが、出生率の高い移民ばかりが増えれば、純粋な日本人は5000万人を切り、国民の半数以上が外国人という事態も起こり得る。はたしてそれで「日本」と言えるのか。率直な疑問が湧いてくるのは私だけではあるまい。