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南西諸島地域の防衛は中国の海洋進出に有効 |
2プラス2の共同声明は、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の改定を主な柱としており、弾道ミサイル防衛やサイバー防衛、宇宙空間における協力、共同ISR(情報収集・警戒監視・偵察)、施設の日米共同使用などが主要な協力項目として挙げられている。
ガイドラインの見直しは2014年末までに行われることになっているが、今回の見直しで日米同盟の姿はこれまでと大きく変わる。
従来、日米同盟の役割分担は「盾と矛」と呼ばれ、米軍が攻撃的役割(矛)を担い、自衛隊は防御的役割(盾)を担うことが想定されていた。これは、日本に対する直接侵略よりも、朝鮮半島や台湾海峡で紛争が起こり、それが日本に飛び火するというシナリオに備えていたからだ。
しかし、今日では、中国が毎日のように尖閣諸島周辺に政府公船を送りつけるなど、日本の領土が直接脅かされる状況が続いている。このような状況では、日本自身が盾も矛も持って主体的に国家の防衛に取り組み、米軍の支援を受けるという新しい役割分担が必要となる。
そこで、日本が最優先で取り組まなければならないのが、中国が海洋進出を推し進める南西諸島地域の防衛だ。南西諸島防衛は10年に民主党政権が出した防衛計画の大綱で打ち出され、那覇基地の戦力強化、潜水艦戦力の増強、与那国島への沿岸監視部隊の駐留などが進められてきた。だが、昨年日本政府が尖閣諸島の一部を購入して以降、東シナ海をめぐる情勢が悪化したため、安倍政権は大綱を再度見直して、南西諸島により強固な防衛網を築こうとしている。
7月に発表された中間報告では、機動展開能力等の着実な整備のため、部隊・装備の配備、統合輸送の充実・強化や民間輸送力の活用、補給拠点の整備、水陸両用部隊の充実・強化等について検討されることが示された。陸上自衛隊が検討している水陸両用団の創設やオスプレイの導入は、このような文脈で理解される必要がある。
これらの措置は、南西諸島での災害救援にも有用だ。南西諸島は台風の被害を最もよく受けるだけでなく、地震と津波の多発地域でもある。
1771年の八重山地震では最大85メートルの大津波が八重山地方を襲い、1万2千人規模の死者が出た記録が残っている。八重山地方には津波によって陸に揚げられた大石が今でも散見される。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震だけでなく、南西諸島における大規模災害にも備える必要がある。
近年、軍が災害救援で果たす役割に注目が集まっているが、それは軍がその自己完結能力によって、大規模災害の被害を受け、インフラが崩壊した地域でも支援活動を行うことができるからだ。指揮命令、通信、水陸両用能力、補給、医療支援、捜索救難などは、災害救援でも欠かせない要素である。
言い換えれば、効果的な災害救援を行えない部隊には、国を守ることもできないのだ。
南西諸島の防衛と災害救援に関して取り組みが大きく出遅れているのが、南西諸島に点在する民間の空港や港湾施設の活用だ。南西諸島は1200キロにわたって広がる。これは日本本土とほぼ同じ長さだが、このエリアに、現在自衛隊の実働部隊の拠点は沖縄本島にしかない。
東日本大震災における救援活動から得られた教訓は、部隊の機動展開能力とそれを支える拠点なしに効果的な作戦は行えないということだ。南西諸島の災害救援や防衛態勢を考えたときに、有事即応や本土からの増援を受け入れるには、現状ではあまりにも心許ない。南西諸島は防衛だけでなく、災害救援に関しても空白地帯であり、拠点の増強が必要だ。
国・自治体レベルでも財政状態が厳しいなか、新たな施設の建設は現実的ではなく、既存の民間施設を有効活用していく視点が求められる
こうした南西諸島防衛に寄与する民間施設として目下のところ注目すべきは、下地島空港である。沖縄で3000メートル級の滑走路がある民間施設は、年間約1500万人が利用する那覇空港とこの下地島空港だけだ。
この下地島空港は、現在定期路線がなく、国内で唯一の航空機の訓練専用空港として利用されている。最近まで、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が支払う定額使用料で維持管理費をまかなっていた。
しかし、経営再建に取り組むJALはコストなどを理由に12年に撤退。現在はANAと琉球エアーコミューター(RAC)、海上保安庁が使用しているが、ANAは来年度以降の利用意向を保留、新たに日本トランスオーシャン航空(JTA)が来年9月以降に操縦士の訓練飛行場としての利用を検討しているが、現時点では空港の維持に必要な約4億円(13年度)が確保できるめどは立っていない。
3000メートル級という、戦闘機や大型輸送機の離着陸にも対応できる滑走路を有し、かつ尖閣諸島にも地理的に近い下地島空港は、防衛・災害救援の双方の観点から、南西諸島における要衝と言える。開港以来、給油目的で米軍が332回、防災訓練などで自衛隊が50回、下地島空港を利用した実績がある。
当然ながら、政府と自衛隊もすでに下地島空港の価値に気づいている。13年度の防衛予算の概算要求には「南西地域における航空自衛隊の運用態勢の充実・強化に係る調査研究」が含まれており、下地島空港が対象の1つであることは間違いない。
では、下地島空港にはどのような利用方法があるだろう。まずは那覇基地のF15戦闘飛行隊の「止まり木」としての使い方が考えられる。
12年度に航空自衛隊が中国機に緊急発進(スクランブル)した回数は306回で、前年に比べて倍増し、現在もその傾向は続いている。昨年12月に中国機が尖閣周辺を領空侵犯した際、那覇基地から緊急発進したF15が現場空域に到着した時には中国機は既に領空を出ていた。F15がスクランブルをしても、那覇から尖閣諸島までは十数分かかる。
だが、F15が下地島空港からスクランブルすれば、対処に要する時間を大幅に短縮することができる。
那覇基地には2つのF15飛行隊を配備予定だが、飛行隊そのものを下地島空港に移駐させる必要はない。F15の整備や訓練は「巣箱」である那覇基地で引き続き行い、整備の終わった機体と訓練が終わったパイロットを「止まり木」の下地島空港にローテーションで配備すればいいのだ。こうすれば下地島空港の新たな設備の整備は必要最小限で済む。
那覇空港はすでに発着便数が飽和状態にあり、頻繁なスクランブルを行うには支障がある。将来的に那覇空港に第2滑走路ができたとしても、距離の問題から下地島空港の方がスクランブルに適している。那覇基地や嘉手納基地がミサイル攻撃で一時的に使用できないなど、緊急時に自衛隊や米軍が下地島空港を使用できる利点も生まれる。また、大規模災害においては、救援活動の拠点として物資の集積や補給、来援部隊の受け入れが期待できる。
しかし、1971年に下地島空港の設置に当たって日本政府と当時の屋良朝苗琉球政府行政主席との間で軍民共用化をしないとする「屋良覚書」が交わされており、緊急時を除く軍事使用をすることができないことになっている。
地元では、04年に中国の潜水艦が先島諸島の領海を潜没航行したことをうけて、一時下地島空港への自衛隊誘致活動が起こったが、その後撤回されている。
だが、政府は下地島空港の軍事使用ができないとの立場は取っていないし、東シナ海情勢が緊迫する中で、地元との緊密な調整を前提とした大局的な判断が必要である。災害救援という視点も忘れてはならない。
他には、たとえば石垣島が有望な拠点となり得る。
現在、石垣島では海上保安庁の「尖閣専従部隊」の整備が進められているが、拡張されている石垣港に海上自衛隊のミサイル艇や掃海艇を置くことができれば、尖閣有事により早い対応が可能となる。今年3月に開港したばかりの新石垣空港は2000メートルの滑走路と誘導路を備えており、緊急時に自衛隊や米軍が利用すれば、より効果的な作戦が実施できる。
本稿では、空間領域として大変幅広い南西諸島を侵略や大規模災害から守るために、民間施設である下地島空港の利用に特に焦点を当てた。
だが、中国は南西諸島周辺の海と空で活動を活発化させ、国際法に反する行動を取る回数も増えている。さらには、南西諸島を越えた西太平洋において、北海、東海、南海の3艦隊が10月下旬から11月初旬にかけて大規模な合同演習も行った。
自衛隊も3万人規模の大規模な統合演習を行った。今後は、ここで取り上げた下地島と石垣島だけでなく、奄美大島や徳之島など南西諸島に点在する民間空港・港湾施設についても利活用を検討し、統合演習や災害訓練で使用することが求められる。
もちろん南西諸島だけでなく本土も含めた防衛・災害救援態勢の強化が必要である。南西諸島における自衛隊拠点の抗たん性を保ちつつ、戦略的に縦深性を持たせるために、特に西日本の部隊と南西諸島の部隊との連携を踏まえた強化でなければならない。たとえばオスプレイの訓練を本土の施設で受け入れることは、沖縄の負担軽減につながり、結果として南西諸島防衛の強化につながる。
これから年末にかけて、安倍政権の下で国家安全保障会議(NSC)の設置や国家安全保障戦略(NSS)の策定、防衛大綱の見直しなど、日本の安全保障政策に大きな転換点が訪れる。
南西諸島防衛は喫緊の課題である。ここで取り上げた民間施設の有効利用は、現行の防衛大綱や日米ガイドラインでも取り上げられながら、十分に実施されてこなかった。強固な「南西の壁」を築き、中国のアクセス拒否戦略に対抗するためには、日本もアクセス拠点の拡充が不可欠であることを忘れてはならない。