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時代を見通す日本の基礎情報

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日本と日本人の名誉ために正面から戦っていくしかない」

政府は現在、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話の作成過程の検証作業を進めている。当時の政府関係者からの聴取に加え、慰安婦問題に詳しい専門家を交え、日韓両政府間でどのようなやりとりがあったか詳しく調べる方針だ。

 官房長官、菅義偉(すが・よしひで)がこの方針を表明したのは、今年2月20日の衆院予算委員会での談話作成時の事務方トップだった元官房副長官、石原信雄の証言がきっかけとなった。

 「日本軍や官憲が強制的に女性を募集した客観的資料はない」「談話は聞き取り調査に基づくが裏付け調査はしていない」

 石原はこう述べたが、こうした事実は以前、国会でも取り上げられていたのだ。9年3月12日、参院予算委で内閣外政審議室長、平林博=写真=は自民党の小山孝雄と次のようなやりとりを交わしていた。

 小山「これまでの調査では慰安婦の強制連行はなかったのか確認する」

 平林「政府の発見した資料の中に軍や官憲による慰安婦の強制連行を直接示すような記述はなかった」

石原元官房副長官発言ポイント

石原元官房副長官発言ポイント

小山「慰安婦の聞き取り調査の裏付けはとったか」

 平林「個々の証言を裏付ける調査は行っていない」

 平林は答弁にあたって、談話作成当時の政府関係者から説明を受けた。この結果、「軍が強制連行をした形跡はない」と、自信を持って答弁したという。説明を聞くなかで、平林は聞き取り調査のあり方そのものに疑問を持った。

 「調査の信頼性もさることながら、周りからの影響を受けながら元慰安婦の方は証言をされたという気がする。相当昔の話なのでかなり無理があったと思う」

 聞き取り調査については自民党の「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の9年3月19日の会合で、内閣外政審議官、東良信もこう答えている。

 「(強制性認定の)明確な根拠として使えるものではなかった」

 調査には日本政府を相手取り賠償請求訴訟を起こしていた元慰安婦ら原告側の弁護士、福島瑞穂(前社民党党首)がオブザーバーとして同席していた。

 こうした経緯を知る石原は談話について「いかなる意味でも、日本政府の指揮命令の下に強制したということを認めたわけではない」(平成17年の産経新聞インタビュー)と明言していた。

 ところが、これを覆したのが談話発表後の河野の記者会見だった。

 「調査結果は、強制連行の事実があったという認識でいいのか」との質問に次のように答えた。

 「そういう事実があったと。結構です」

 「客観的資料はみつからなかったのか」との問いにはこう述べた。

 「強制には物理的な強制もあるし、精神的な強制もある。精神的な強制は官憲側の記憶に残るというものではない。しかし、関係者、被害者の証言、それから加害者側の話を聞いている。いずれにしても、本人の意思に反した事例が数多くあるのははっきりしている」

 これは河野個人の見解にすぎない。平林は「(河野が)自分で作った談話を自分流に解釈した。資料では少なくとも見つからなかった。見つからなかったからこそ、曖昧な表現になった」と分析する。そのうえで平林は河野談話の検証を評価し、こう強調する。

「慰安婦問題は日本を道義的、政治的に貶め劣位に置くための韓国、中国の道具になっている。当時の日本政府のやり方がおかしければ明らかにした方がいい。日本と日本人の名誉ために正面から戦っていくしかない」(敬称略

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