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時代を見通す日本の基礎情報

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朴槿恵大統領に「体でも売れ」 韓国鉄道公社のスト闘争 JR総連が共闘

韓国では、約3週間続く鉄道公社のストライキにからみ、27日に行われた政府、労組、経営側の3者による会合でも妥協点を見いだせなかった。間もなく就任1年となる朴槿恵政権を揺さぶるストの背景とは-。(ソウル 加藤達也)

 朴政権は負債総額493兆4千億ウォンにものぼる土地・住宅公社などの「公企業・公共機関」の改革を目指している。鉄道公社については累積赤字が17兆ウォンに達するとされ、朴政権は新たに敷設される高速鉄道路線を子会社に運営させて、運賃や乗客サービス、経営合理化に「競争」を導入して合理化を進める考えだ。

 これに対して、親北朝鮮・左派に支えられた国内最大の労組団体「全国民主労働総連盟(民主労総)」と、左派メディアが一体となって朴政権を攻撃。鉄道公社の経営合理化を「公社売却による民営化で労働者の待遇が犠牲になる」として激しく揺さぶりをかけ、社会全体の分裂につながっている。

大統領に「体でも売れ」

 分裂の象徴とされるのがピョン・ソウンという女性タレントの“ネット書き込み事件”。韓国メディアによると、ピョンは18日、鉄道ストにからみ自身のフェイスブック(FB)にこう書き込んだ。

「(鉄道が)民営化されても電車代は変わらないから乗れ? あきれた話。国民の税金でつくったもの(鉄道公社)を何で売る? そんなに売りたいなら、姉さんの体でも売れ」

 「姉さん」とは朴大統領を指す。これにはさすがに「一国の大統領を売春婦呼ばわりするとは何事だ」とする非難があふれ、FBは炎上。ピョンは「配慮が足りなかった」と謝罪する羽目になった。

 「政権はもともと、公社を売却・民営化するとは一言も言っていないが、いまの経営状況をみれば破綻は必至。国家財政の負担軽減を考えればいずれは大なたをふるうことはさけられず、その流れは、多額の負債を抱えるほかの公共事業体にも波及するとみている」

 韓国の保守系シンクタンクの幹部はこう指摘。そのうえで、「タレントのFB書き込みは、浅はかの一言だが、たいした思慮もないタレントが安易にこんな発言をすることをみると、朴政権の権威・信用性の失墜現象が始まっているのかもしれない」と分析している。

「民営化」モデルは日本?

 そもそも、労組側が、赤字を抱える鉄道公社の売却・民営化が必至と認識しているのには先例がある。

 日本の旧国鉄である。

 

12月26日の左派系ハンギョレ新聞は、1面トップでこれに触れた。

 「日本 鉄道民営化 その後…彼ら(従業員)は安寧ではいられなかった」とする記事で1987年に分割民営化された日本の国鉄の“その後”を、日本の新社会党機関紙「週刊新社会」を引用して紹介。特に注目しているのは、経営合理化とJR北海道で頻発する鉄道事故の関連だ。

 それによると、JR北海道民営化当時1万4000人だった職員は6800人に減少する一方、特別列車の運行は2倍に増加。路線保守作業を外注化、下請けに回して経験のない未熟練労働者を現場に送っている-。

 ハンギョレは事故の背景をこう指摘。さらに、週刊新社会を引用して「(JR北海道の事故では)線路が(本来の位置から)4センチ近くも外れていても、人員と予算の余裕がなく、1年も修理できずにいる」「民営化以降、極端な採用抑制と人員削減の結果、40歳代の職員が全体の10%にも満たない」としている。

 ハンギョレはさらに朝日新聞からの引用として「(朝日は)鉄道民営化のせいで、本社と現場労働者の間にコミュニケーションの問題があるという事実を指摘し『2005年以降100億円台だった設備投資予算が経営悪化のため10年度には58億円に減った。路線を補修しようにも金がなく、補修しなければならない、と言ってもうるさい野郎だという反応を示されるので言えない』という会社内の雰囲気を(朝日は)伝えた」とし、「民営化が日本の鉄道の安全に致命的な悪影響を及ぼした」と主張。37兆円にものぼった国鉄当時の累積赤字解消の道筋を示したことや、サービス向上、運行ダイヤや運賃の安定化などの成果には一切触れず、民営化の“暗部”をことさら強調している。

 

日韓の労組連携で闘争強化?

 一方、ストで多数の逮捕者を出しながら闘争を続ける韓国鉄道公社の労組と、日本のJR総連が連携する動きを強め、日韓の公安当局が重大な関心を示していることが分かった。

 韓国公安当局によるとJR総連は組織部長を代表とする代表団を韓国に派遣。12月8日~12日の間、ソウル駅前やソウル市役所前での大規模集会に参加。さらに、韓国の国土交通大臣や国会議員らへの訪問にも同行。韓国側にカンパを手渡して協力を強調すると、韓国側から支援への謝意があり、両者の緊密な連携を物語ったという。

 日韓の治安機関が懸念するのは、JR総連と日本の過激派・革マル派との関連だという。

 韓国側治安機関は、今年11月22日の衆院国土交通委員会での、警察庁出身の平沢勝栄衆院議員と警察庁との問答に注目している。

 平沢氏はこの中で、JR北海道労組の上部団体がJR総連であると指摘。「JR総連については、政府が質問主意書の中で『(JR総連内部の)影響力を行使しうる立場に革マル派が浸透している』と言っているが、間違いないか」と質問。

 警察庁側は、「そう認識している」と答弁。さらに問答の中で「JR総連の執行役員の中には、JR北海道労組幹部だった者が含まれていると認識している」と答えた。

 

平沢氏は最終的に、JR北海道労組の中に革マルが入っていること、その出身者がJR総連に移って主要ポストを占めており、革マルとJR北海道労組、JR総連が「一体みたいなものだ」と述べた。

新たな脅威にも

 韓国の民主労総が親北朝鮮・左派であることは周知の事実である。

 そのため、韓国の労働運動は激しい政権攻撃に走り、保守体制の転覆にさえ挑むことがある。

 その民主労総傘下の主要労組である韓国鉄道公社労組と、日本の過激派、革マル派が浸透しているとされるJR総連が共闘態勢を取っているという事実。

 「日本の鉄道事故では原因は分かっても、状況や背景的に不可解なものが多いと聞いている。わが国においては、北朝鮮に扇動された勢力が国民、乗客の命を人質に取りかねない状況下、日本の過激派の浸透が懸念されるJR総連が韓国鉄道公社労組と連携を強めていることに注目すべきだろう」

 韓国治安機関筋は、公共鉄道の経営合理化をめぐる日韓の労組連携が新たな脅威にならないか、警戒感を示している。

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