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時代を見通す日本の基礎情報

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死にゆくビジネス」 衰退する犬肉産業と転業

「これは死にゆくビジネスだ」──10年にわたって営んできた食用犬の飼養場から、米国の動物保護活動家らが犬たちを連れ出すのを見て、ゴン・インヤン(Gong In-Young)さんはつぶやいた。

 移動作業当日、ゴールデンレトリバーやシベリアンハスキー、ロットワイラー、日本の土佐犬、韓国の珍島犬など200匹近くが、サークル内に置かれた金属製の小さなケージの中から、活動家らに対して激しく吠えていた。

 ゴンさんの飼養場は、全国に数千ある施設の内の一つ。食用として育てられる犬たちは、生まれてから食肉処理されるまで、ケージの外に出ることはない。

 韓国では、年間150万~250万匹の犬が食用として消費されているが、若い世代の需要減に伴い、犬肉産業は衰退傾向にある。

 この飼養場は、米国を拠点とする動物愛護団体「国際人道協会(HSI)」が閉鎖する5か所目となり、これまでで最大の規模を誇る。閉鎖を受け、「この仕事を辞めることができて幸せだ」とゴンさんは語った。

 そして、「昔は、他に食べるものがなかったから犬を食べた。だが今の若い人たちは犬を食べる必要がない。犬食は人々にとって奇妙なものとなった」と続けた。

■「好みの変化」

 調査会社ギャロップ・コリア(Gallup Korea)によると、昨年1年間に犬肉を食べた男性は、50~60代では回答者の約半数に上ったが、20代ではわずか同20%にとどまった。

 ゴンさんは、犬をペットとして買う人が増えていることも、犬肉が敬遠される大きな理由だと述べた。

 国際的な動物愛護団体らは、長年にわたって犬肉産業を批判の対象としてきた。HSIは昨年、飼養場4か所を閉鎖し、計225匹の犬を救出している。大半の犬は、米国やカナダへと飛行機で送られ、現地で里親に引き取られたという。

 飼養場の閉鎖・廃業に伴い、場主らは飼育していた犬の頭数に応じて最大6万ドル(約640万円)を受け取ることができる。これを原資にして、フルーツや野菜などを取り扱う、より「人道的」な事業を立ち上げることが可能となっている。

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ケージの中から外を見る犬。韓国・原州市にある飼養場で(2016年4月27日撮影)。(
■世界から注目が集まる五輪

 HSIのアンドリュー・プランブリー(Andrew Plumbly)氏は、犬を助ける活動が広く報道されることで飼養場の残酷さについての関心が高まり、「韓国の政策立案者らとの話し合い」につなげたいと語る。

 韓国は、2018年に平昌冬季五輪大会を開催する。プランブリー氏は、「世界は五輪に注目する。犬肉産業についても注目するだろう。(政策立案者らは)その圧力を感じ、前向きに対応してくれる可能性がある」と述べた。
韓国当局は、犬肉文化に関する否定的な評判に敏感だ。1988年のソウル五輪開催時には、大会の開幕に先立ち、ソウル市内にある犬肉レストランが閉鎖された。

 ゴンさんは、さまざまな事業に失敗し、その後に犬の飼養場を始めた。だが、この仕事を「誇りに思ったことは決して」なかったという。農場の収入は少なく、生活するのがやっとだった。毎年、約200匹を販売したが、1匹当たりの平均価格は約200ドル(約2万1000円)だった。

「私が廃業したら、犬たちははるかに幸せになると思った」と話すゴンさん。その横では、ペットのスピッツ「スノー」が、運び出されるのを待つケージの間を歩き回っていた。

 韓国での飼養場経営に特別な免許は不必要だ。だが、近隣住民に迷惑をかけていないか、犬の排せつ物が放置されていないかを調べるため、当局の定期的な検査があるという。

 ペットの犬とケージの中の犬の飼育環境の違いについて聞かれたゴンさんは、「天国と地獄の差だ」とコメントした。

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