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沈没事故での寄付金や報奨金…お金で見る韓国社会の価値観 逃亡オーナーは「史上最悪の犯罪者」に

サムスンの寄付は150億ウォン(約15億円)、報奨金は5億ウォン(約5千万円)-。300人以上の死者・行方不明者を出し、韓国水難史上最悪レベルといわれる旅客船「セウォル号」の沈没事故。救助や船体引き揚げの費用をはじめ、被害者補償や逃亡中の船舶運航会社実質オーナーに対する報奨金、財閥の寄付金に至るまで、今回の惨事では次から次へとお金の話が飛び出す。その金額からは韓国社会の持つ価値観が見えてくる。

 ◆寄付せぬ者は「ケチ」


 300人以上の死者・行方不明者を出した旅客船「セウォル号」の沈没事故現場 =韓国・珍島沖(AP)【拡大】



 今回の事故では財閥企業各社が相次いで、犠牲者遺族支援の寄付をした。サムスングループは150億ウォン、現代自動車グループは100億ウォン、SKグループは80億ウォン-などだ。

 寄付は本来、善意の表れなのだが、韓国では時として金持ちの義務となる。過去の災害でも有名人らが巨額の寄付をする流れができると、寄付しない者は逆に「ケチだ」との批判にさらされた。今回の財閥の寄付も「ケチな企業」というマイナスイメージを避けるための支出でもある。

 韓国の海洋水産省は5月19日、セウォル号の船体引き揚げにかかる費用が、最大で2千億ウォンに達するとの見積もりを公表した。韓国政府は犠牲者遺族らに対する賠償額を1千億ウォン以上と試算する。引き揚げ費用と合わせて3千億ウォン以上かかる費用はいったん政府が負担し、船舶運航会社「清海鎮海運」と、その実質オーナーとされる兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者(横領容疑などで指名手配)に全額を支払わせる方針だ。

 兪容疑者とその一族は韓国内のほか、米国やフランスなど海外で、不動産を中心に多額の資産を保有する。国税当局などによると資産総額は約2400億ウォンにのぼるとみられるが、一部メディアは隠匿資産を含めると資産総額が1兆ウォンにのぼると報じた。ただ、その多くは現金化が困難なうえ相当額の負債もあり、3千億ウォン以上の支払い能力はないとみられている。


◆「史上最悪の犯罪者」

 検察は現在、兪容疑者について史上最高額となる5億ウォンの報奨金をかけて行方を追っている。

 これまで、韓国の報奨金の最高額は1997年の強盗殺人事件と、2004年に20人の女性を殺害した連続殺人事件の際にかけられた5千万ウォンだった。兪容疑者も当初は5千万ウォンだったが、メディアや世論から「安すぎる」と批判され、一気に10倍に引き上げられた。報奨金額でみると兪容疑者は「韓国史上最悪の犯罪者」となる。

 韓国検察がここまで力を入れるのは、この事故で朴槿恵(パク・クネ)政権が危機に陥ったためだ。「朴大統領が『責任を取らせる』と宣言している兪容疑者の追及が不調に終われば、検察が世論と政権から責任を問われる」(法曹関係者)。5億ウォンは韓国検察の体面を維持するための値段だといえる。

 沈没事故以降、朴政権は救助や事後処理に関して世論の激しい批判にさらされた。対応に追われた政府は鄭●原(チョン・ホンウォン)首相を更迭したほか、後任の首相候補に検察OBで元最高裁判事の安大煕(アン・デヒ)氏を指名した。

 朴大統領の期待を一身に背負った安氏だったが、弁護士開業後の5カ月間に16億ウォンもの報酬を得ていたことが発覚した。1日当たりにすれば約1千万ウォンだ。これが「元検事・元判事だから得た報酬だ」との批判を受け、結局安氏も指名を辞退した。

 安氏は疑惑を指摘された後で11億ウォンを「社会に還元(寄付)する」と宣言した。これに対し韓国の中央日報は「11億ウォンの寄付で(批判の)台風を避けるのは、この国の首相の価値がその程度にしかならないということか」と、首相のいすの価値を“算出”している。(ソウル 加藤達也)

●=火へんに共

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◆「史上最悪の犯罪者」

 検察は現在、兪容疑者について史上最高額となる5億ウォンの報奨金をかけて行方を追っている。

 これまで、韓国の報奨金の最高額は1997年の強盗殺人事件と、2004年に20人の女性を殺害した連続殺人事件の際にかけられた5千万ウォンだった。兪容疑者も当初は5千万ウォンだったが、メディアや世論から「安すぎる」と批判され、一気に10倍に引き上げられた。報奨金額でみると兪容疑者は「韓国史上最悪の犯罪者」となる。

 韓国検察がここまで力を入れるのは、この事故で朴槿恵(パク・クネ)政権が危機に陥ったためだ。「朴大統領が『責任を取らせる』と宣言している兪容疑者の追及が不調に終われば、検察が世論と政権から責任を問われる」(法曹関係者)。5億ウォンは韓国検察の体面を維持するための値段だといえる。

 沈没事故以降、朴政権は救助や事後処理に関して世論の激しい批判にさらされた。対応に追われた政府は鄭●原(チョン・ホンウォン)首相を更迭したほか、後任の首相候補に検察OBで元最高裁判事の安大煕(アン・デヒ)氏を指名した。

 朴大統領の期待を一身に背負った安氏だったが、弁護士開業後の5カ月間に16億ウォンもの報酬を得ていたことが発覚した。1日当たりにすれば約1千万ウォンだ。これが「元検事・元判事だから得た報酬だ」との批判を受け、結局安氏も指名を辞退した。

 安氏は疑惑を指摘された後で11億ウォンを「社会に還元(寄付)する」と宣言した。これに対し韓国の中央日報は「11億ウォンの寄付で(批判の)台風を避けるのは、この国の首相の価値がその程度にしかならないということか」と、首相のいすの価値を“算出”している。(ソウル 加藤達也)

●=火へんに共

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