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時代を見通す日本の基礎情報

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秘密保護法への不安煽った朝日 

特定秘密保護法への根拠のない不安が広がっている。内閣支持率も10ポイント以上下がった。先日もテレビのワイドショーが、東京・巣鴨の街頭で70代女性の「特定何とかという法律、怖いわ」と答える映像を流していた。内容を知っているとは思えないこの女性を含め国民が同法に不安を覚えるのは、一部の新聞が反対の大キャンペーンを張ったからだ。代表格、朝日新聞の報道は常軌を逸していた。

 同法が国会で成立した翌日の7日付同紙朝刊は、1面が「秘密保護法が成立」の白抜き横の大見出し、2面も「数の力 強行突破」の白抜き横見出し。第1社会面は「反対あきらめぬ」の白抜き横大見出し、「『廃止する活動 始めよう』」の縦見出しに、「怒り 列島包む」として全国5カ所の反対運動の写真を掲載している。大勢集まったようには見えないのに…。第2社会面に至っては「戦中に戻すな」の白抜き横大見出しに「『国民同士監視 怖いんだ』」の縦見出しといった構成。異様な紙面づくりである。

 8日付朝刊1面コラム「天声人語」も「戦争に駆り立てられる。何の心当たりもないまま罪をでっち上げられる。戦前の日本に逆戻りすることはないか。心配が杞憂(きゆう)に終わる保証はない。おととい、特定秘密保護法が成立した」と情緒的に読者の不安を煽(あお)る。

 しかし、よく読むと、言葉の威勢はよいが、根拠は希薄だ

3日付朝刊は「秘密漏らせば民間人も処罰」と題してシミュレーションを載せた。防衛省から紙ベースの記録を電子化してデータベースにしてほしいという依頼を受けた民間会社はその際、厳重な守秘義務を課せられた。記録一式が「特定秘密」に当たるという。だが、担当した航空機マニアのシステムエンジニアが、資料の中にあった研究開発中の航空機設計図や性能試験の詳細について、航空機マニアの会議でつい口を滑らせてしまう。と、仲間の一人が秘密情報をブログに書き、ネット上で瞬く間に拡散して防衛省の気づくところとなり、システムエンジニアが処罰されるという内容だ。

 ≪既存法違反の事例まで動員≫

 言うまでもないが、これは、これまでの法律でも処罰されるような案件だ。明らかに守秘義務違反だからだ。しかし、朝日は特定秘密保護法ができれば、「民間人も処罰の対象になる」と警告する。こんな社員がいるような企業に防衛省は仕事を発注できない。守秘義務を守らない企業と取引のある防衛省に、米国防総省もまた情報を提供できない。当たり前だ。

 6日付朝刊も「規制の鎖 あなたにも」「懲役10年 民間人でも厳罰」との見出しで以下のようなケースを紹介している。「防衛産業」(防衛省関係か?)の研究員が酒席で、大学の同窓生に北朝鮮のミサイル情報を漏らす。同窓生がやはりブログで書き、他の防衛マニアがそれを分析してネットで流布してしまう。そのため研究員と同窓生は捜査機関に事情聴取されるというものだ。これまた既存の法律でもアウトの案件だ。言葉は踊るが、中身に根拠はなく、プロパガンダというほかない。

朝日は特定秘密保護法の制定を機に安倍政権批判にシフトチェンジしたように見える。第1次安倍政権では、同社幹部が「安倍の葬式はうちで出す」「安倍叩(たた)きはうちの社是」と述べたとの話もある(小川榮太郎『約束の日』=幻冬舎)ほど政権と全面対立した。

 それが、今年2月初め、朝日の記者から会ってくれとの電話があって、記者は会うなり、「朝日は安倍政権と対立しないと決めた」と言う。第1次政権で対立してお互いに何もよいことがなかった。だから今度は是々非々で行くというのだ。理由を聞くと、第1次政権で対立して部数を相当落としたとのことだった。

 ≪憲法改正反対視野の前哨戦≫

 その後の論調は、記者の言った通り、極めて穏健なものだった。ひどく責め立てる主張はなく、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)や消費税増税では歩調を合わせさえした。しかし、逆にコアな読者に、不評を買って東京新聞や共産党のしんぶん赤旗に移られるなどして、部数を落としたという話もある。

 しかし、ここに来て是々非々の姿勢さえやめたようだ。原点に戻ったのである。視野に置いているのは憲法改正だろう。

 近い将来の最大の課題が改憲であることは衆目の一致するところだ。安倍政権が続けば、改憲が実現してしまう。ならば倒せということだ。17日に閣議決定した「国家安全保障戦略」についても、18日付社説で「9条掘り崩す」「軍事力の拡大ねらう」と一方的に批判。中国の脅威を背景に改憲の是非をめぐる熾烈(しれつ)な攻防戦が始まったと見るべきだろう。

 朝日の論調を侮れないのは、テレビのワイドショーでそれに合わせた番組作りをするところが少なくなく、ワイドショーが世論を作るからだ。冒頭の女性はその象徴だ。安倍政権にはこれらに抗すべく戦略的対応が求められる

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