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時代を見通す日本の基礎情報

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絶句「当られ屋タクシー」 同業者警戒、立件は

 タクシーを主なターゲットにし、急ブレーキを踏んで追突事故を誘発、示談金名目で金銭を要求する「当たり屋」行為を特定の個人タクシーが繰り返している疑いがあるとして、社団法人「大阪タクシー協会」(大阪市中央区)が加盟する各タクシー会社に文書で注意喚起していることが27日、分かった。特定のナンバーも明示して同業者を“告発”するのは極めて異例という。同協会は「同業者を狙うなんて聞いたことがない」と憤っている。

 関係者によると、この個人タクシーが追突される事故は、大阪・ミナミの御堂筋を中心に約10年前から散発的に発生。確認できただけでも十数件あり、ベテランのタクシー運転手の間ではすでに有名だという。

 手口は黄色信号で加速し、後ろのタクシーも追走して交差点を通過しようとしたところ、急ブレーキを踏んで追突事故を誘発するもので、「人身事故になったら免許点数、困るやろ」「人身事故にしないから、けがの診断料をよこせ」などと迫り、示談金や車の修理代名目で数万~十数万円を要求していた。

 巻き込まれた運転手の多くは、免許点数が減点されて免許を停止されると死活問題になることから仕方なく要求に応じていた。抗議する運転手もいたが「赤信号だから止まっただけ。車間距離を取ってない方が悪い」と居直られたという。

 問題の個人タクシーは緑色のセドリックで、「何度もぶつかっているので、車体はかなりへこんでいる」(業界関係者)。タクシー協会には加入していないとみられる。

 また、大半はタクシーが狙われていたが、今年5月に一般の車が追突している場面を、ある運転手が目撃。業界関係者は「一般車にも被害が出ているとすれば大きな問題。不審なタクシーを見つけたら十分な車間距離を開けて運転し、もし事故にあっても金銭を払わずに警察に申告してほしい」と話している。

 ■「故意」立証困難、立件に壁

 追突事故を誘発して示談金を要求する「当たり屋」。追突事故の場合、追突した方に原則100%の過失割合が課されることを悪用した古典的な“犯罪”だ。しかし、追突された側の「故意」を立証するのが困難なため、立件は難しいのが実情だ。

 交通事故に詳しい谷清司弁護士(大阪弁護士会)は「追突された車が想定外の急ブレーキを踏んだ場合は、多少過失は軽減されるが、せいぜい1~2割減るだけで、追突された車が、追突した車の過失を上回ることはない」と指摘。今回の個人タクシーがよく使う手口のように、信号のある交差点であれば「急ブレーキは想定の範囲内ととられる」という。

 警察による立件の壁も高い。タクシー業界は今年5月、このタクシーについて、大阪府警南署に相談した。しかし、当たり屋行為はそもそも法律上想定しておらず、同署は「道交法違反などの法律で立件することは困難だろう」と説明する。示談を迫って金銭を要求する行為も、「脅迫的な言葉や文字がなければ恐喝に当てはめるのは厳しいのが実情」。ただ、「このタクシーが絡んだ事故の申告があれば、注意して対応する」としている。

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