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時代を見通す日本の基礎情報

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被害の60代男性が怒りの提訴「サクラにだまされた」出会い系サイトに5千万円

59歳までに彼女が欲しいという切実な思いで出会い系サイトに登録した男性。知り合った女性からデートの約束をキャンセルされ続けたばかりか、有料のポイントが必要なメール送信などを要求され、気づけば約5千万円をつぎ込んでいた。運営会社に対し「女性はサクラだ」と提訴に踏み切ったが…

59歳の誕生日までに彼女が欲しい。そんな思いで登録した出会い系サイトに約5千万円もの大金をつぎ込んだのに、相手の女性はサクラだったとして、関西地方に住む60代の男性がサイト運営会社に対し、支払った金額分の賠償などを求める訴訟を裁判所に起こした。男性はサイトを通じて「女性」と連絡を取り合ったが、会う約束をしてもドタキャンされるばかり。さらに「悪者から女性を助けるために必要」などとポイント購入を要求されるなどしていた。「女性はサクラに違いない」という男性の訴えに対し、サイト側は「実在の女性だ」などと反論。果たして裁判所はどちらの言い分に軍配を上げたのだろうか。


59歳の誕生日が近付き…


 約5年前、男性は59歳の誕生日を前に、ある出会い系サイトに登録した。


 サイトに登録すれば会員のプロフィルを見たり、会員同士でメールをやりとりしたりするのが可能になるが、それをするには有料のポイントが必要。1ポイント10円で、メールの送信は22ポイント、受信は24ポイント。会員のプロフィル写真を見るだけでも30ポイントを消費してしまう。


 男性はやがて、サイトを通じて「あやか」(仮名)と名乗る人物と知り合った。メールのやりとりをするうち、次第にあやかに好意を持つように。2回会う約束をとりつけたが、いずれも直前でキャンセルされてしまう。


 うち1回の理由は「急用」というありがちなものだったが、2回目の理由は「悪者に追いかけられているため、身動きがとれない」。なにやら雲行きがあやしくなっていた。


意味不明のメール要求


 あやかは会う約束をキャンセルしただけでなく、男性に「『大丈夫!』『守る!』『安心して!』って10回送って」とメールの送信を要求してきた。


 もちろん、メールを送ればその分、有料ポイントを消費してしまう。同じ言葉を何度も送るよう頼むのは、はたから見れば不自然で、ポイントを費消させるための要求に思える。


 ただ、男性はこれに応じてしまった。


 振り込み詐欺では、さまざまな人物が代わる代わる登場して会話のペースを握り、相手の判断能力を奪う。劇場型犯罪」と呼ばれる形態で、このサイトでも「劇場型」の展開が繰り広げられていったのだ。


 男性の場合、あやかに加え、「佑美」(仮名)と名乗る人物が登場する。


 同じくサイトで知り合った女性なのだが、佑美は自らを超能力者だとして、「あやかを悪者から助けるために必要」と訴え、こんなメールを送ってきた。


 「『ズーロア・ドッテイナユ』これを10回伝えて!」


 意味不明。文言はグーグルで検索しても出てこない。この文言を10回メールせよ、というのだ。


 だが男性は要求に従いメールを送信した。そしてポイントがなくなると、佑美は「ポイントなければどうするの?それくらい自分でわかるでしょ?」とポイント購入を催促してくることもあった。


3年間で5千万円つぎ込み


 さらにこの2人に加えて第三の人物も登場。悪者に捕らわれたあやかの居場所を特定するためや、男性自身にも危険が及んでいるのを回避するためとして、『解読』『PASS』などの言葉をメール送信するよう要求した。


 ほかにも「大金をあげるから」と特定の数字や記号をメールで送るよう指示されたこともあった。気づけば男性は、サイトを利用し始めてから約3年間で計約5千万円もの大金をサイトにつぎ込んでいた。男性はサイトの運営会社を相手取り、これまでに支払った全額の返還を求める訴訟を起こしたのだった。


 「女性はサクラ」という男性の訴えに対し、サイト側は「あやかと電話で実際に話したこともある」などとした上で、「あやかは実在の人物であってサクラではない」と真っ向から反論した。


 あやかは実在するか否か-。裁判所が下した結論はサクラだった。


サイトの写真は台湾人モデル


 裁判所は判決理由の中で、サイトに登録されている女性のプロフィル写真の一部が、香港や台湾の女性モデルだったと認定。その上で、サクラと認められる要因の1つとしてドタキャンの言い訳を挙げた。


あやかは「悪者に追いかけられている」と言い訳メールを送っていたが、裁判所は「明らかに不自然な理由で会うのを拒否している。サイトの会員ならこのような無意味なやりとりを行う合理的な理由はない」と指摘。あやかについて「実際に会えると誤信させてポイントを消費させるよう指示されていたサクラだった」と判断した。


 さらに「仮に実在の人物でも、サイト側から指示を受けてメールのやりとりをしていた」と述べ、女性が実在しようがしまいがサクラには代わりがないとして、サイト側に支払い分の賠償などを命じた


 国民生活センターによると、出会い系サイトをめぐる被害相談は後を絶たない。


 統計を取り始めた平成21年度の約3万3500件をピークに年々減少しているが、昨年度の1年間で約9600件の相談が寄せられた。
 同センターの担当者は「減っているとはいえ、相談数は依然多い。あと少し課金すれば女性と会えたり、大金がもらえたりすると思わせて金を使わせる手口は多く、注意する必要がある」と話している

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