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時代を見通す日本の基礎情報

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違法格安“韓国人専用”ホテル摘発、大阪のど真中で「1泊2500円」の“異様”…

大阪で堂々と営業していた違法な“韓流ホテル”が摘発された。大阪府警は昨年秋、韓国人旅行者向けに格安ホテル「コニテル」を無許可で営業したとして、旅館業法違反容疑でホテル経営の韓国籍の男(30)=大阪市浪速区=を逮捕した。男は賃貸用マンションなど3棟の約40室をホテルとして使用していたのだ。宿泊客のほとんどが韓国人旅行者で、従業員も韓国人、関係書類も全てハングルで書かれているほど徹底した韓流ぶりだった。在日コリアンが全国で最も多い大阪。なかば当たり前になったハングルの風景の中で、コニテルは大胆な違法営業を続けていた。

1泊2500円の超破格値

 「帳簿もハングルで書かれとって、日本語の部分がないんですわ。専門の捜査員に解析してもらわんと詳細はわかりません」

 大阪府警南署が男の逮捕を昨年10月に発表した際、徹底した韓流ホテルぶりに同署幹部は苦笑いをみせていた。発表で宿泊料を説明する際も「ウォンは今、何円ぐらいやったかな」と為替の計算が始まった。

 府警などによると、男は平成23年6月ごろから営業を開始。大阪市浪速区内の賃貸用マンションなど3棟の37室をホテルとして使用していた。別の建物もホテルとして使っていた可能性があり、府警が調べを進めている。

 宿泊料金は1泊約2500円と超破格値だったため、韓国内では口コミで「格安ホテル」として知られていたという。

 3棟は、「本館」「別館」「新館」に分けられ、利用者は本館で鍵(ルームキー)を受け取り、徒歩数分の別館と新館に移動するシステムだ。本館は賃貸用ビルで、1階入り口の看板にはハングルの横に「コニテル」と日本語で書かれているが、「ホテル」など宿泊施設をうたったような日本語表記はない。日本人には何の施設かわからないが、「テル」は韓国語で宿泊施設を指し、韓国人にのみホテルであることがわかるようになっていた。

 府警は帳簿の解析を進めて利用実態を捜査しているが、男を逮捕した昨年10月31日には約20人が宿泊しており、いずれも韓国人旅行客だった。アルバイトの3人も韓国籍で、中には日本語がほとんど話せない者もいた。

 摘発後、入り口のシャッターにはハングルで「都合により営業していません。他の場所で宿泊されるようお願いします」と書かれた貼り紙があるが、日本語訳はない。日本で営業していながら、日本人は相手にせず、客としてみていない。張り紙からも異様なまでの韓流ぶりがにじみ出ている。

コソコソせず、むしろ堂々営業

 「日本の旅行の友達」

 「大阪最高、最大の施設」

 無許可にもかかわらず、隠れてひっそりと営業するどころか、コニテルのホームページ(HP)には短期賃貸マンションと称して堂々と施設の紹介文が書かれている。

 大阪市保健所によると、ホテルや旅館を営業する場合、旅館業法に基づいて保健所の許可を得なくてはならない。一方、短期賃貸マンションの場合は賃貸業となり、アパートの一種とみなされる。

 コニテルの無許可営業は昨年8月、南署に「違法な業者がある」と匿名の通報があり発覚した。府警からの連絡を受けて保健所が立ち入り検査したところ、男は「コニテルは短期賃貸マンションだ」と主張した。しかし、実際には短期賃貸マンションの基準となる1週間以上の滞在を満たさない利用者がいることが確認され、逮捕につながった。

短期賃貸マンションと称していたとしても、別館、新館の外観は一般的な賃貸用マンションで、入り口には一般住人の自転車も止められている。賃貸会社のホームページでも紹介されている“普通”の賃貸マンションだ。

 この普通の賃貸マンションをホテルとして使うという安直で粗い手口ながら、HPには部屋の内装だけでなく、建物の外観写真までも載せていた。利用した韓国人旅行客がホテルの実態を知ったとしても、宿泊費を安く抑えられることから重宝され、ましてや日本の警察や役所に通報する可能性も低かったことから、コソコソせず大胆に宣伝をしていたとみられる。

 実際に保健所の担当者も「通報があって検査に至ったが、事前の情報がなければ外からではホテルかどうかもわからなかった」と話しており、「言葉の壁」をまさに「壁」として使い、堂々と違法な営業を続けていたようだ。

韓国人観光客45万人

 12万889人。法務省の在留外国人統計によると、人口約886万人の大阪府で、100人に1人以上は韓国・朝鮮人となっている。府内では守口市の人口が約14・5万人、泉佐野市が約10万人であり、府内に占める在日コリアンの人たちの割合の高さがうかがえる。

 大阪の在留外国人約20万人の中で、韓国・朝鮮籍は約60%と圧倒的に多い。大阪の倍近く外国人が住んでいる東京都でも韓国・朝鮮籍は約10万人といい、大阪が全国最多。さらに、日本全体の中の韓国・朝鮮籍の23%が大阪で暮らしているのだ。

 そして、観光客も多い。大阪府によると、24年の外国人観光客は203万人。このうち、韓国人は約45万人で全体の22%を占める。観光客数は年によって増減があるが、毎年全体の20%前後を占めているといい、国籍別では中国に次いで2番目に多い。この傾向を受けて府は、観光看板のハングル・中国語併記など韓国・中国人の旅行者向けの観光設備を充実させる方針をとっている。

「言葉の壁」を逆手に…

 今回の事件は、韓国人旅行客や、ハングルの看板を立てる店が当たり前になった大阪での違法行為だったが、「新館」の賃貸用マンションに住む20代の男性は、旅行用のかばんを持ったアジア系の外国人がエレベーターに乗るのを時々見かけていたという。

 「旅行で友人の家にでも泊まりに来ているのかなと思っていた。ホテルになっていたなんて全然知らなかった」と驚きを隠しきれなかった。それでも「外国人が多い地域だから、そういうことが近くで起きても不思議ではないのかな」と、なかば呆れた様子でもあった。

 英語、中国語、ハングル…国際化する大阪の街には、外国語の看板や広告があふれている。しかし、こうした「言葉の壁」を逆手にとったような違法行為をどう摘発できるのか。堂々と無許可営業をしていた韓流ホテルが突きつけた課題は小さくはない。

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