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ウォン高で輸出企業が厳しいのはわかるが、悪いニュースばかり目につく。韓国経済はそんなに悪いのか――。
日韓の経済関係は冷え込んでいる。2013年1~9月期の日韓の貿易(輸出入)規模は、710億ドルと前年同期と比べて63億ドル(8.15%減)も減った。 2013年11月15日付の東亜日報は、「2010年以降、3年ぶりに日韓の交易規模が1000億ドルを下回る可能性が高い」と指摘。竹島問題などによる外交関係の悪化が経済に波及し、日本人や日本企業の韓国への関心も薄れてきたとみている。
13年1~9月に韓国を訪れた日本人観光客数は206万人で、前年同期に比べて70万人以上も減少した。なかでも韓流ブームをけん引してきた50~60代の女性層が大きく減少。日本国内のK‐POPブームも明らかに下火だ。
日本企業が韓国に投資した金額も、1~9月期は19億6000万ドルと、前年同期(33億ドル)に比べて40%超も減少した。
韓日産業技術協力財団のイ・ウグァン研究委員は、前出の東亜日報で「(日韓関係の悪化は)韓国人と韓国企業が受ける経済的被害のほうが一段と大きい」とみている。
さらには、英HSBCグループは法人向け金融部門を除き、韓国から撤退。英スタンダード・チャータード銀行の韓国の現地法人や韓国シティバンクも業績不振を理由に店舗を閉鎖し始めている。外資系金融機関は低金利局面でのローン需要の低迷や金融当局の規制などで苦戦し、規模縮小、撤退を余儀なくされている。
どれも韓国経済にとって、悪いニュースばかりだ。
第一生命経済研究所主任エコノミストの西濱徹氏は、「たしかに韓国経済は厳しい状況にあります」という。原因の一つは構造的な問題だ。韓国経済は外需依存度が高く、景気が世界経済の動向に大きく左右される傾向がある。
ここ数年、サムスン電子や現代自動車などがウォン安を背景に世界シェアを伸ばしていったのは周知のとおりだが、一方で韓国政府はインフラ投資をはじめとする公共投資の拡充を通じて財政拡張策を打ち出してきた。「これらは一時的には景気を押し上げましたが、内需を恒常的に引き上げるには至らなかったのです」。
韓国内は景気低迷などを背景に不動産価格の下落基調が続いており、それが信用収縮を招いている。それが「景気のさらなる下押しに繋がる『デフレスパイラル』に陥ることも懸念されています」と指摘する。
前出の第一生命経済研究所の西濱徹氏は、「韓国経済のけん引役だった中国が2012年来、減速したことは韓国経済にとって景気の下押し圧力になりました」と指摘。最近、その中国経済が回復の兆しにあるが、「その中国も国内メーカーが力をつけてきていますから、韓国勢もこれまで通り(業績を伸ばせる)というわけにはいかないでしょう」と、厳しい状況に変わりないとみている。
もちろん、「ウォン高」も痛い。日本の輸出企業はウォン安の影響で価格競争力を失い、大きな痛手を負ったが、それが1年ほど前に円安に反転して以降、「立場」が逆転した
韓国の経済団体が12年に輸出企業に対して行ったアンケートによると、輸出で利益を確保できる為替レートは「1ドル1086ウォン」という。すでに、それを上回るウォン高水準にある。
韓国の財閥専門サイトの財閥ドットコムのまとめによると、資産規模が上位10位以内の財閥グループの上場企業83社の2013年第3四半期の営業利益は合計で36兆3500億ウォン(約3兆4440億円)。前年同期に比べて4.7%減った。
好調が伝えられる最大手のサムスン電子でも、主力のスマートフォンが中国メーカーなどとの低価格競争に突入しており、収益低下が懸念されている。