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IMF、韓国に警告 ウォン安誘導への“闇介入”にダメ出し 中国リスクも指摘

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韓国経済に警告が発せられた。各国の政策や経済・金融の状況を監視する国際通貨基金(IMF)が公表した韓国に関する年次報告書で、中国への依存度の高さが経済を下ぶれさせるリスクや国内需要のもろさを指摘。さらには、アベノミクスの円安に対抗する形で、ひそかに為替をウォン安に誘導する“闇介入”にも強烈なダメ出しをしている。

 IMFは加盟国に対し、通常年に1度、「サーベイランス」(政策監視)と呼ばれる調査を実施しており、経済の監視や政策助言を実施している。IMF協定の第4条に規定されていることから「4条協議」と呼ばれている。

 IMFのエコノミストチームによる調査などを経て、1月22日に公表された韓国に対する最新の年次報告書では「2014年に3・7%成長が期待されている」とした一方で「下ぶれリスクがある」と指摘している。

 具体的には、外部要因の短期的リスクとして「主要な貿易相手国の急激な成長鈍化」を挙げる。IMFは名指しこそしないものの、これが中国であることは明らかだ。朴槿恵(パク・クネ)大統領の「親中反日外交」を反映させるかのように、韓国経済も対中依存度を強めている。昨年の統計では、韓国の輸出のうち中国市場が占める割合は26・1%と過去最高水準に達した。

 韓国が接近する中国では、銀行の通常の融資ではない「影の銀行(シャドー・バンキング)」の不良債権化が大きな問題となっている。1月末のデフォルト(債務不履行)発生はひとまず回避したが、アジア経済に詳しい企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は「過剰債務を抱える中国はこれからインフラ投資抑制を余儀なくされる。韓国はなぜかそんな中国への依存度を高めている」と語る

ちなみに韓国産業通商資源部が発表した昨年の外国人直接投資で、日本からの投資額は、円安ウォン高の影響もあって40・8%も減っている。



 IMFは韓国の国内要因についても「内需が比較的弱い」としたほか、「民間部門の大きな債務」「家計所得の伸びの弱さ」「高齢化」などのリスクを挙げている。

 そして報告書の後半部分は為替の問題について言及、「ウォンは実質実効為替レートで過小評価されている」と明言する。実質実効レートは通貨の総合的な価値を示すもので、2008年9月のリーマン・ショック以降、円高ウォン安状態が続いていた。昨年10月以降、アベノミクスによる円安で約5年ぶりに円がウォンを下回っているが、IMFでは、まだウォン高の余地があると判断したわけだ。

 複数のIMF幹部の見解として、「ウォン価格は市場で決定し、介入は最低限とすべきだ」「介入の透明性を高めることが、当局の為替政策の信頼性に反映される」とした。この表現を裏返せば、韓国が不透明な「覆面介入」を続けており、当局の信頼性が低いことを示している。

 さらに「外貨準備はすでに十分な水準で、さらに蓄積することを正当化しない」との意見も表明している。外貨準備は為替介入の際にウォンを売ってドルなどの外貨を買うことで増えるもので、「これ以上介入するな」というメッセージが読み取れる。
サムスン電子や現代(ヒュンダイ)自動車など韓国の輸出製造業にとって、ウォン安が海外市場攻略の大きな武器となってきたが、政策的にウォン安が維持されているとの見方も強かった。

 年次報告によって、IMFも韓国の介入に懸念を示していることがはっきりした。日本がデフレ脱却を目的として量的緩和を実施した結果、円安になったことと性格を異にするものだ。

 前出の勝又氏は「昨年12月にIMFトップのラガルド専務理事が韓国を訪れ、『経常収支の黒字を減らし、内需振興に力を入れるべきだ』と指摘しており、IMFが韓国経済の現状を問題視している様子がうかがえる」と話す。

 IMFは昨年、年次協議とは別に、韓国の金融機関を評価する「ストレステスト」を行ったとされるが、結果は公表されていない。

 韓国政府は1997年のアジア通貨危機をきっかけにIMFに救済を求め、IMFの管理下で、財政再建や金融機関のリストラ、財閥解体など大ナタがふるわれたが、IMFの視線は再び厳しくなっているようだ。

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