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それが日米同盟の「絆の象徴」に思え、実際に日本との摩擦を抱える中国と韓国へのインパクトになる。ケネディ新大使がもつリベラルな姿勢や外交手腕に不安がないわけではない。それでも日米紐帯(ちゅうたい)の大枠は、対外的に強さを証明することになり、重層的な日米同盟の強化を印象づけることになった。
ケネディ大使着任という「絆の象徴」に対して、日米「絆の実質」は、10月3日の外相・防衛相レベルの日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同声明に明文化された。この文書では、安倍晋三政権が進める集団的自衛権の行使容認が米国から支持を受け、首相の「積極的平和主義」が評価された。中国や北朝鮮への対応を念頭に、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を平成26年末までに再改定することも確認した
日米分断を狙う中国と韓国が、この共同声明に衝撃を受けたことは容易に察しがつく。韓国紙、中央日報は「日米蜜月、試される韓国外交」と報じ、この集団的自衛権をもって米国が韓国より日本を重視しているとのそねみが噴出した。
中国は昨年9月に日本が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の所有権を政府に移転して以来、「敗戦国が歴史を書き換えようとしている」との宣伝戦をうってきた。一方の韓国も、安倍政権誕生による「日本の右傾化」キャンペーンを張ってきたが、少しも功を奏さなかった。
もっとも、彼らの衝撃は筋違いなのである。集団的自衛権の行使容認そのものが米国から求められてきた経緯があり、朝鮮有事になれば、日本が韓国を支援することができるという皮肉もある。米国のアジアにおける対中抑止の“機軸国”は日本だからだ。
米国は2012年1月の新国防戦略で、「台頭する中国をにらみながら米国の戦略的軸足(ストラテジック・ピボット)をアジアに移し、中国と再均衡(リバランシング)を目指す」と盛り込んでいる。ピボット戦略は米国が世界で展開する地域抑止であり、アジア以外にも欧州ではドイツ、中東ではトルコを地域の機軸国と考え、地域の抑止体制を構築しつつある
そんな折に、韓国紙、朝鮮日報の楊相勲論説室長は同紙13日付で、反日ムードの中で勇気ある反省の弁を述べている。日本という「戦犯国家」と戦った米英豪露までが、日本の集団的自衛権行使を歓迎する立場をとり、被害を受けた東南アジア諸国も日本軍の再登場を望んでいると嘆いてみせた。
楊室長は日本がいかに国際的に称賛され、逆に韓国が激高しやすい国民性かを率直に認める。ただ、この楊論文をもって韓国が対日融和に転じたと見るのは時期尚早で、むしろ事実を書いた楊室長の身の危険さえあると伝えられる。
日米同盟の強化が、薄皮をむくように韓国の対日意識を少しずつ変え、やがて日米韓3国同盟へ踏み込むようになることを祈る。(