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そんななか、他ならぬ韓国国内からも「朴大統領の反日はやりすぎだ」という声が出始めた。韓国メディアの声を一部、紹介しよう。
〈国家指導者は、ときには国民感情を乗り越えて未来を見なければならない〉(朝鮮日報)、〈嫌いな人とも対話するべきだ〉〈冷静で理性的な国益計算が必要だ〉(中央日報)、〈歴史問題では朴大統領が広く手を差し出す時だ〉〈手遅れになる前に首脳会談を行なうべきだ〉(アジア経済)……。
ふだんは反日を煽る一方のメディアが、朴氏に冷静になるよう諌め、日韓首脳会談の開催を呼び掛けているのである。9月上旬に行なわれた世論調査では58%が「日本側の謝罪の有無にかかわらず、首脳会談を行なうべき」と回答したという(「アサン政策研究所」調べ)。
韓国政府内にも良識派はいる。今月8日、韓国外務省の第一次官が国会で「日本の集団的自衛権の行使問題を歴史問題と直結させて訴えても、国際社会ではあまり説得力を持たない」と発言した。何かにつけて“歴史問題”を吹聴する朴大統領への牽制である。
産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が話す。
「安倍首相は靖国神社に参拝しなかったし、官房長官などの主要閣僚が『村山談話を歴代内閣と同じように引き継ぐ』と発言するなど、日本側はそれなりに韓国側に気を使い、首脳会談の実現に向けてハードルを下げている。それは韓国政府側も理解しているし、アメリカからも『東アジアの安全保障のため、早く安倍首相との首脳会談を行なうべきだ』とプレッシャーを掛けられています。
しかし、肝心の朴氏が一向に態度を軟化させない。そのことに対する苛立ちが政権の内外に溜まり、外交担当者の発言やメディアの報道となって表われている」
コブシを振り上げ、喝采を浴びたはいいが、時間が経つにつれ、支える筋肉が震え始めているようである。