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時代を見通す日本の基礎情報

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ポスト・トランプの大本命はバイデン氏ではなかった!?



著名ジャーナリストであるボブ・ウッドワード氏の新刊『Rage(怒り)』で、コロナウイルス感染症について嘘の発表を続けてきたことを暴露されたトランプ大統領は、支持率が急落して再選に黄信号が灯っている。しかし、対するバイデン氏も、健康問題や高齢批判がくすぶって、いまいち勢いに乗れていない。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、「この選挙で選ばれる新しいリーダーは、この2人のどちらでもないかもしれない」という大胆な見方を示した。

 * * *

 元民主党コンサルタントだった長い友人であるK氏と電話で話した。K氏は現在、ある有名な弁護士事務所に勤務している。筆者がまず聞きたかったのは、ウッドワード氏の新著がトランプ陣営にどれくらい打撃を与えたかだった。K氏は、「これは大きな打撃だ。トランプ大統領自身の肉声が入ったインタビューが報じられてしまったことが大きい。バイデン陣営にとって、これ以上の確かな証拠はない。トランプ氏が言を弄して取り繕おうとすればするほど、有権者の心にはこのエピソードが深く刻まれていく」と分析した。

 しかしながら、バイデン氏はこのチャンスを効果的に活かしているようには見えない。激戦州では、相変わらず統計の誤差内の大接戦が続いており、トランプ氏がリードしている州も少なくない。

 K氏に質問した。「バイデン陣営としては、まず徹底的にフロリダに力を注ぐべきではないのか。フロリダの代議員は248人と多い。ところが、最新の調査ではバイデン氏のリードはわずか1ポイント台だ。このままでは、ほんの小さなことでもトランプ氏に逆転されてしまうだろう」。K氏の答えはこうである。「だからこのタイミングで、ブルームバーグ(元NY市長)が1億ドルをフロリダでの選挙戦に支出すると発表したのだ」。

 民主党予備選に自費で参戦した億万長者のブルームバーグ氏は、一時はトップ争いに食い込む勢いを見せていたが、女性の有力候補だったエリザベス・ウォーレン氏をからかうような発言などで集中砲火を浴び、あっけなくドロップアウトしてしまった。そのブルームバーグ氏が、ついにバイデン氏のために一肌脱ぐことを決意したのである。バイデン氏を含む他の予備選候補から容赦ない排斥を受けたことを考えれば、なかなか懐の深い決断だ

 それにしても、トランプ氏がスキャンダルで減速し、ブルームバーグ氏が巨費を投じて援護射撃しても、バイデン氏の支持率が上がらないのはなぜか。K氏に質した。「バイデン氏の健康問題、高齢問題の影響はどうか。仮に大統領選挙に勝っても、就任時は78歳。2期目の就任時は82歳になる。8年間務めれば退任時は86歳だ。現実的にこれは難しいように見える。だとすれば、副大統領候補のカマラ・ハリス氏がバイデン政権の途中で大統領に就任する可能性も十分にある。民主党はそのシナリオまで考えているのか」

今も民主党中枢と強いコネクションを持つK氏は、さすがに慎重な答え方をしたが、そのいわんとすることは十分に伝わってきた。「私は確かな情報を持っているわけではない。しかし当然、その可能性は十分に考えたうえでの副大統領候補への抜擢だった」。

 バイデン氏はまだ薄氷を踏む戦いを強いられているが、民主党中枢部は、すでにバイデン勝利後のシナリオとして、史上初の女性大統領を考えているようである。バイデン氏はあくまで「対トランプ」の対抗馬であり、新しい政権の「本命」はハリス氏なのか。トランプ氏の再選が難しくなりつつある今、実はこの大統領選挙で有権者に問われているのは、「ハリス大統領」に対する信任なのかもしれない

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